280 / 282
最後の決着編
斬られ役、神具を授かる
しおりを挟む280-①
「新たな……神具!?」
「うむ、だが……その前に一つ聞いておく事がある」
ラグドウンの言葉に、武光は息を呑んだ。
「はい、何でしょうか?」
「お主……神の力が欲しくは無いか?」
「えっと……神の力って、前に俺が魔王と戦った時のあの超絶パワーですよね? 要りませんよあんなもん」
即答した瞬間、武光は隣りのナジミに肘で小突かれた。脇腹を押さえる武光に、ナジミが小声で語りかける。
「ちょっと武光様!! 神々の御力に対して……あんなものとは何ですか!? あんなものとは!?」
神々の怒りを買うのでは……と、畏れ慄くナジミだったが、ラグドウンは特に気にした様子も無く話を続けた。
「ほう? 神の力が要らぬと申すか? お主は神の力をその身に宿した事があるはず……神の力の凄まじさは、その身を以って知っているはずだが?」
「いやいや、知ってるから要らんのですよ」
「人智を超えた絶大な力を得られるのだぞ? 一体何の不都合があると言うのだ?」
「いや、あの時みたいに『ステータス100億倍』みたいなワケの分からん事になってしもたら……」
武光は苦笑しながら、隣でオロオロしているナジミに視線を遣った。
「こいつを軽く抱きしめただけで全身バッキバキに複雑骨折させますし、チューしただけで頭を木っ端微塵に吹っ飛ばしますし、お○ぱいを揉もんだりしようもんなら、心臓抉り取ってしまいますやん…………イチャつくのに、めっっっちゃくちゃ邪魔ですっっっ!!」
「た、武光様っ!? 辞退するにしても、もっとマシな理由は無いんですかっ!?」
「無いな、全く無い!!」
「えぇー……もっとこう……何かあるでしょう!? 真面目に考えてくださいよっ」
「うーん……そもそも神様達の超絶パワーなんぞ無くても、俺には仲間達との友情パワーがあるしなぁ?」
「こ、こらーーー!! 神の力なんぞとは何ですか、なんぞとは!? 神々にお叱りを受けても知りませんからね!!」
「だってホンマに無いんやもん。何やお前、神様に嘘吐け言うんか、この罰当たり巫女ー」
「ばっ……罰当たり!? もういいです、武光様のアホ!! バカ!! 武光様なんて、神々に怒られちゃえば良いんですっ!!」
「「「「…………ぷっ」」」」
まるで子供の喧嘩のようなやりとりに、神々は噴き出し、高らかに笑った。
「お主ならば安心だ。それでは……神具を受け取るが良い」
「うわっ!?」
武光は眩い光に包まれ、気が付くと右手に板状の物体を握り締めていた。
形状は、縦長の長方形と、高さの低い二等辺三角形を組み合わせたような五角形、大きさはスマートフォンぐらいで、厚さは約1cmと言った所か。金属的な光沢を持つ金色の表面には、不思議な模様が刻まれている。
「ラグドウン様、これは一体……?」
「その《異界通行手形》があれば、お主の世界とこちらの世界を繋ぐ為の門を開く事が可能となり、二つの世界を往来する事が出来る」
「って事は……《異界渡りの書》と同じ物……?」
「いいや、異界渡りの書は一度使えば消滅してしまうが、異界通行手形は何度でも使用する事が出来る」
「つまり……異世界フリーパス!? 凄っ……!! でも、ホンマに良いんですか、こんな凄い物を頂いてしもて……」
神々は答えた。
「うむ、お主のような不届き者は、掟や規則で縛ろうとすればする程、却って面倒な事態を引き起こしそうなのでな」
「逆に許可を与えてきちんと管理した方が得策だと思ってね」
「ま、お前には『暗黒樹を討ち滅ぼして多くの生命を救った』って功績もあるからな!!」
「それに……アスタトの巫女に呪いまくられてはたまったものではありませんからね?」
「う……誠に申し訳ございません……」
神々に笑われて、ナジミは小さくなってしまった。
「しかし、異界通行手形で得られるのは、《こちらの世界の言葉や文字が理解できるようになる力》と《神の姿や声を認識出来るようになる力》だけだ。異界渡りの書と違って《神の力》を与える事は出来ぬが……良いな?」
「はい、もちろんです!!」
武光の返事に、ラグドウンは満足げに告げた。
「よかろう、では使い方を伝授するが……決して悪用せぬように。悪用した場合は……即座にお主を抹殺する、確と心得よ!!」
「いいっ!? あ、悪用なんてするワケないやないですか……ははは」
「……掟破りは悪役の華なのであろう?」
「う……意地悪言わんとって下さいよ……」
「ふ……冗談だ」
その後、神々は異界通行手形の使い方を武光に伝授すると、天へと昇り、それぞれが祀られている地へと帰って行った。
武光は 異界通行手形を 手に入れた!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
元王城お抱えスキル研究家の、モフモフ子育てスローライフ 〜スキル:沼?!『前代未聞なスキル持ち』の成長、見守り生活〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「エレンはね、スレイがたくさん褒めてくれるから、ここに居ていいんだって思えたの」
***
魔法はないが、神から授かる特殊な力――スキルが存在する世界。
王城にはスキルのあらゆる可能性を模索し、スキル関係のトラブルを解消するための専門家・スキル研究家という職が存在していた。
しかしちょうど一年前、即位したばかりの国王の「そのようなもの、金がかかるばかりで意味がない」という鶴の一声で、職が消滅。
解雇されたスキル研究家のスレイ(26歳)は、ひょんな事から縁も所縁もない田舎の伯爵領に移住し、忙しく働いた王城時代の給金貯蓄でそれなりに広い庭付きの家を買い、元来からの拾い癖と大雑把な性格が相まって、拾ってきた動物たちを放し飼いにしての共同生活を送っている。
ひっそりと「スキルに関する相談を受け付けるための『スキル相談室』」を開業する傍ら、空いた時間は冒険者ギルドで、住民からの戦闘伴わない依頼――通称:非戦闘系依頼(畑仕事や牧場仕事の手伝い)を受け、スローな日々を謳歌していたスレイ。
しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。
スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。
何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……?
「今日は野菜の苗植えをします」
「おー!」
「めぇー!!」
友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。
そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。
子育て成長、お仕事ストーリー。
ここに爆誕!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる