4 / 25
朝焼けメダリオン
4
しおりを挟む
「そんでさ......」
妹がカップに口をつけ、舌を出して眉をしかめるまでの動作を取った後、涙目でこちらに聞いてきた。
「結局はそのお隣さん、どんな子だったの?」
カップの熱見が図らずも済んだ。カップの香りを楽しんでいる風を装った私は、優雅なしぐさでカップを戻し、ケーキに視線を送りながら言う。
「えっと......」
記憶は鮮明になっている。楽しい記憶は多いのだが、あまり言いたくない記憶もあるのだ。
いつも、楽しみを見つけることには天性を持つ私ではあるが、入院中のあの場所には苦しい思いもしている。それを引き出さなくてはならない。
お隣さんに関しても楽しいことは多かった。しかし、そうでないことだってある。
特に......あー、いや、確証はないっけか? うん。
私は言葉を選びつつ答えた。
「私が覚えているのはさ、好奇心旺盛でそのくせ臆病、いじっぱりなのに寂しがり、あと......」
「え? え? ムジュンしてない?」
「どっちもあるのだよ。ただ、ご両親にはとってもかわいがられてた」
「あら、そうなの? なんかさ、びやだるとか、はりがねとか、言ってなかった?」
「そそ、親御さんがね、そういうふうに冗談で言ったっぽいね」
「ほー?」
たぶん、親御さんに関して興味津々なのだろうが、まあ、それよりも言うべきことはある。
「そうだ、なにかの大会にでるんだー! とかでさ、入院前はどこかの施設でトレーニングしてたって」
「あら? 運動してるの?」
「そそ、実際、身体能力凄くってさ、屋上走って見つかって怒られるまでがパターンだったのだよ」
「へぇ? 何のスポーツ?」
「覚えてない。変な名前だったけど、何かの施設ってのが、かなり広かったでーとか言ってた」
「むぅ......名前覚えないもんねぇ」
「しゃあないじゃん。苦手なんだよ」
「まあ、そうねぇ」
私は少し上を向いて記憶を探る。そして続けた。
「でも優しくてね、普段はそう見えないんだけどさ、意外な所で気遣ってくれた。......子供なのに、だよ?」
「良い子なのね?」
自分の体調は心配させるのであまり語りたくないが、まあ昔だから良いかなぁ。
「ただ、私がへこたれてる時でもさ、話しかけてきてうるさかったなぁ」
「うるさかったの?」
「うん、私、目は覚めてたけど動けなかったんだよ......」
妹は苦笑を浮かべる。
「空気読めなかったのね?」
「仕方ないんだとは思うけどねぇ......起きるの遅いなぁって感じだったからさ」
「でも、違ったんでしょ?」
当時、起きないのではなく、起きれない状態だったのだ。
近づいてつっつこうとするのだが、袖を引かれて止められるというようなやり取りが浮かぶ。
それらを飲み込み、私は続ける。
「私の状態に気付くまで、少し時間かかるんだよね。で、気付いたらそれはそれでうっとうしい」
「え、なんで?」
これは、私の駄目な所である。心配されるとやせ我慢してむりやり胸をはろうとするのだ。
「えっとね、私、だれかに気を使われるの、苦手なの」
「昔っからそうだよね」
妹はけらっと笑った。私は少し唇を尖らせた。
「まあ、ね」
それから少しケーキの角を崩して小さくしてから口に運ぶ。
ああ、このほろ苦さが良いのだ。チョコレートが甘すぎるのは、あまり好みじゃないんだよなぁ。嬉しい甘味に私は微笑み、話を続ける。
「でね、よくよく話を聞いたらさ、検査入院だったらしいからね」
「おや、何が悪かったのかしら?」
「さあ? さすがに聞かないし、たぶん、聞いても覚えてない」
ちょびっと誇張がある。私はそれを知ることとなり、記憶に残ってしまうのだが、それは、まあ、話の流れしだいだろう。
「でもさ、こっちは点滴眺めて苦しんでるってのに、お構いなしで『だいじょぶー?』って来るんだよ? 印象はイマイチだったね」
「あらあら、まあ」
再び、妹をみやると涼しい顔でカップを傾けている。おや? 実はもう適温かいな? 思って私もそれに真似して......あっつぃ。
カップから口を離して妹にうらめしい視線を送った。
「どぉーしたのぉ?」
目を細めて、こちらを見ている悪魔の微笑み。ブラフとはなかなかやるな。
「いやあ、私が猫舌だと忘れていた」
「人を使って毒見させないでね」
見抜かれていたか、ここで引き下がるのも悔しいので、軽く手を振る。
「毒は入ってないからさ、熱見が正しい」
「入れてないと思ってるの?」
「ははっ、私に毒はきかないからね」
「存在が毒だもんね」
「毒はためずに吐くものだよん」
「撒かれるほうはうっとうしいわね」
「むう、会話の中に一摘みの毒、それがエスプリってやつなのさ」
「コーヒーに入れたらどうなるかしらん?」
私は少し眉を顰める。一瞬考えてしまった。こういうのって言葉を止めた方が負けなのである。
「考えてしまった私の負けだね」
「いつ勝負になったのよ?」
実際、私のお腹は敏感なのだ。痛んだものを頂いたり、毒を盛られたりするとすぐ酷い目に合ったりする。勝利の微笑みを見せた妹へ、いずれお返しせねばなるまいと誓った。
「でもさ、結局はいい子だったのよね?」
考えている様子をみせた私に、妹は話題を戻した。舌を出して被害を軽減しながらも、ぼんやりと思い出す。
うーん、えっと、楽しそうにわらい、ちょびっとはにかみ、前を行き、ときどき後をついてくる。
「何が楽しいのかさ、笑ってる顔が多かった............かなぁ?」
「いっつもにっこにこしてるの?」
「いやぁ、面白い事を言う訳でもないのにねぇ、あっはははとかいう笑い方は、耳に残ってるよ」
「んー、それ良い風には聞こえないけど?」
「ん、まあ、印象的だったと言うべきなんだろうね」
**―――――
あいつの事を聞かれ、一番に思い出したのはある程度仲良くなった朝の事だ。
「あっははは、カラスの大群がおるで!」
声に引かれて少し寝ぼけ眼をこすりつつ、廊下へ出ると目が一気に覚めた。
「おおー!?」
その光景は私も初めてみた。病院外の電線という電線に、カラスさんが大群で占拠している。それは、ちょっと見た事のない異様な光景だった。
カラスさんは皆さまが雑談でもしているかの如く、『かあー』だとか、『あふぉー』だとか、ガヤガヤと楽しそうに騒いでいる。
「おー、カラスさんってば、いっぱい~♪」
廊下へ出てその光景からか、適当な鼻歌歌いはじめた私、後ろから袖を引かれた。そちらを見ると微妙な顔をしている。
「なんなん? あれ」
「そだね、いっぱいだねぇ? ああ、おっはよ」
横からあいつの挨拶がきた。
「おー、おはよう! あれ見てみ、すごいやろ?」
こっちは好奇心旺盛のようだなぁ。なんで自慢げなんだろう? そんなことを思いながら私もそちらを見る。
「ほんと、いっぱいだねえ」
何人か遊び仲間もいれ、それぞれおはようを言いあう。
「おはよー」
「はよはよー」
「おっはよーん」
しかし、この珍しい光景を眺めていると、通りがかりに不穏そうな呟きが耳に入った。
「お迎えでも来たのかしら?」
振り向くと、忙しそうにどこかへ向かうナースさんである。特殊な景色と病院という場所であり、大人は不吉を予想するのだろう。私もおそらくそうなる。
だが、当時から私ってカラスさんが好きな鳥さんであり、あさっての受け取り方をしてしまった。
「ぇ......」
息をのむ。
「お迎えって退院する人を迎えに来たの? じゃあカラスさんってば、よかったねえって言ってるんじゃん!」
「ぇ......?」
一瞬息をひそめる。そしてあいつは大きく笑いだした。
「あっははは、ほんまやな! たっくさん迎えに来てくれて。あんな多くのお迎えならよっぽど大物やな!」
「でしょ! カラスさん一同の祝福って、ちょっとすごくない?」
胸を張る私の自慢顔! 今思い返すと......ちょっとではあるが、思うことも、ある。
「しかし、だれが退院するんやろな?」
「そりゃ、大物だよ!」
「......大物って、どんなひとなん?」
「さあ?」
「ちょと、考えてみよっか?」
そうそう、私、平気で周りを巻き込んでこんな感じだったよね......。思い出だとしても、こういう勘違いってさ、たとえ妹が相手でも、話してて恥ずかしい。
ここに妹がいなければ、部屋の隅っこでのたうち回っているかもしれないもんだ。
妹がカップに口をつけ、舌を出して眉をしかめるまでの動作を取った後、涙目でこちらに聞いてきた。
「結局はそのお隣さん、どんな子だったの?」
カップの熱見が図らずも済んだ。カップの香りを楽しんでいる風を装った私は、優雅なしぐさでカップを戻し、ケーキに視線を送りながら言う。
「えっと......」
記憶は鮮明になっている。楽しい記憶は多いのだが、あまり言いたくない記憶もあるのだ。
いつも、楽しみを見つけることには天性を持つ私ではあるが、入院中のあの場所には苦しい思いもしている。それを引き出さなくてはならない。
お隣さんに関しても楽しいことは多かった。しかし、そうでないことだってある。
特に......あー、いや、確証はないっけか? うん。
私は言葉を選びつつ答えた。
「私が覚えているのはさ、好奇心旺盛でそのくせ臆病、いじっぱりなのに寂しがり、あと......」
「え? え? ムジュンしてない?」
「どっちもあるのだよ。ただ、ご両親にはとってもかわいがられてた」
「あら、そうなの? なんかさ、びやだるとか、はりがねとか、言ってなかった?」
「そそ、親御さんがね、そういうふうに冗談で言ったっぽいね」
「ほー?」
たぶん、親御さんに関して興味津々なのだろうが、まあ、それよりも言うべきことはある。
「そうだ、なにかの大会にでるんだー! とかでさ、入院前はどこかの施設でトレーニングしてたって」
「あら? 運動してるの?」
「そそ、実際、身体能力凄くってさ、屋上走って見つかって怒られるまでがパターンだったのだよ」
「へぇ? 何のスポーツ?」
「覚えてない。変な名前だったけど、何かの施設ってのが、かなり広かったでーとか言ってた」
「むぅ......名前覚えないもんねぇ」
「しゃあないじゃん。苦手なんだよ」
「まあ、そうねぇ」
私は少し上を向いて記憶を探る。そして続けた。
「でも優しくてね、普段はそう見えないんだけどさ、意外な所で気遣ってくれた。......子供なのに、だよ?」
「良い子なのね?」
自分の体調は心配させるのであまり語りたくないが、まあ昔だから良いかなぁ。
「ただ、私がへこたれてる時でもさ、話しかけてきてうるさかったなぁ」
「うるさかったの?」
「うん、私、目は覚めてたけど動けなかったんだよ......」
妹は苦笑を浮かべる。
「空気読めなかったのね?」
「仕方ないんだとは思うけどねぇ......起きるの遅いなぁって感じだったからさ」
「でも、違ったんでしょ?」
当時、起きないのではなく、起きれない状態だったのだ。
近づいてつっつこうとするのだが、袖を引かれて止められるというようなやり取りが浮かぶ。
それらを飲み込み、私は続ける。
「私の状態に気付くまで、少し時間かかるんだよね。で、気付いたらそれはそれでうっとうしい」
「え、なんで?」
これは、私の駄目な所である。心配されるとやせ我慢してむりやり胸をはろうとするのだ。
「えっとね、私、だれかに気を使われるの、苦手なの」
「昔っからそうだよね」
妹はけらっと笑った。私は少し唇を尖らせた。
「まあ、ね」
それから少しケーキの角を崩して小さくしてから口に運ぶ。
ああ、このほろ苦さが良いのだ。チョコレートが甘すぎるのは、あまり好みじゃないんだよなぁ。嬉しい甘味に私は微笑み、話を続ける。
「でね、よくよく話を聞いたらさ、検査入院だったらしいからね」
「おや、何が悪かったのかしら?」
「さあ? さすがに聞かないし、たぶん、聞いても覚えてない」
ちょびっと誇張がある。私はそれを知ることとなり、記憶に残ってしまうのだが、それは、まあ、話の流れしだいだろう。
「でもさ、こっちは点滴眺めて苦しんでるってのに、お構いなしで『だいじょぶー?』って来るんだよ? 印象はイマイチだったね」
「あらあら、まあ」
再び、妹をみやると涼しい顔でカップを傾けている。おや? 実はもう適温かいな? 思って私もそれに真似して......あっつぃ。
カップから口を離して妹にうらめしい視線を送った。
「どぉーしたのぉ?」
目を細めて、こちらを見ている悪魔の微笑み。ブラフとはなかなかやるな。
「いやあ、私が猫舌だと忘れていた」
「人を使って毒見させないでね」
見抜かれていたか、ここで引き下がるのも悔しいので、軽く手を振る。
「毒は入ってないからさ、熱見が正しい」
「入れてないと思ってるの?」
「ははっ、私に毒はきかないからね」
「存在が毒だもんね」
「毒はためずに吐くものだよん」
「撒かれるほうはうっとうしいわね」
「むう、会話の中に一摘みの毒、それがエスプリってやつなのさ」
「コーヒーに入れたらどうなるかしらん?」
私は少し眉を顰める。一瞬考えてしまった。こういうのって言葉を止めた方が負けなのである。
「考えてしまった私の負けだね」
「いつ勝負になったのよ?」
実際、私のお腹は敏感なのだ。痛んだものを頂いたり、毒を盛られたりするとすぐ酷い目に合ったりする。勝利の微笑みを見せた妹へ、いずれお返しせねばなるまいと誓った。
「でもさ、結局はいい子だったのよね?」
考えている様子をみせた私に、妹は話題を戻した。舌を出して被害を軽減しながらも、ぼんやりと思い出す。
うーん、えっと、楽しそうにわらい、ちょびっとはにかみ、前を行き、ときどき後をついてくる。
「何が楽しいのかさ、笑ってる顔が多かった............かなぁ?」
「いっつもにっこにこしてるの?」
「いやぁ、面白い事を言う訳でもないのにねぇ、あっはははとかいう笑い方は、耳に残ってるよ」
「んー、それ良い風には聞こえないけど?」
「ん、まあ、印象的だったと言うべきなんだろうね」
**―――――
あいつの事を聞かれ、一番に思い出したのはある程度仲良くなった朝の事だ。
「あっははは、カラスの大群がおるで!」
声に引かれて少し寝ぼけ眼をこすりつつ、廊下へ出ると目が一気に覚めた。
「おおー!?」
その光景は私も初めてみた。病院外の電線という電線に、カラスさんが大群で占拠している。それは、ちょっと見た事のない異様な光景だった。
カラスさんは皆さまが雑談でもしているかの如く、『かあー』だとか、『あふぉー』だとか、ガヤガヤと楽しそうに騒いでいる。
「おー、カラスさんってば、いっぱい~♪」
廊下へ出てその光景からか、適当な鼻歌歌いはじめた私、後ろから袖を引かれた。そちらを見ると微妙な顔をしている。
「なんなん? あれ」
「そだね、いっぱいだねぇ? ああ、おっはよ」
横からあいつの挨拶がきた。
「おー、おはよう! あれ見てみ、すごいやろ?」
こっちは好奇心旺盛のようだなぁ。なんで自慢げなんだろう? そんなことを思いながら私もそちらを見る。
「ほんと、いっぱいだねえ」
何人か遊び仲間もいれ、それぞれおはようを言いあう。
「おはよー」
「はよはよー」
「おっはよーん」
しかし、この珍しい光景を眺めていると、通りがかりに不穏そうな呟きが耳に入った。
「お迎えでも来たのかしら?」
振り向くと、忙しそうにどこかへ向かうナースさんである。特殊な景色と病院という場所であり、大人は不吉を予想するのだろう。私もおそらくそうなる。
だが、当時から私ってカラスさんが好きな鳥さんであり、あさっての受け取り方をしてしまった。
「ぇ......」
息をのむ。
「お迎えって退院する人を迎えに来たの? じゃあカラスさんってば、よかったねえって言ってるんじゃん!」
「ぇ......?」
一瞬息をひそめる。そしてあいつは大きく笑いだした。
「あっははは、ほんまやな! たっくさん迎えに来てくれて。あんな多くのお迎えならよっぽど大物やな!」
「でしょ! カラスさん一同の祝福って、ちょっとすごくない?」
胸を張る私の自慢顔! 今思い返すと......ちょっとではあるが、思うことも、ある。
「しかし、だれが退院するんやろな?」
「そりゃ、大物だよ!」
「......大物って、どんなひとなん?」
「さあ?」
「ちょと、考えてみよっか?」
そうそう、私、平気で周りを巻き込んでこんな感じだったよね......。思い出だとしても、こういう勘違いってさ、たとえ妹が相手でも、話してて恥ずかしい。
ここに妹がいなければ、部屋の隅っこでのたうち回っているかもしれないもんだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる