転職に失敗したおっさん、異世界転生し事務職無双する

ほぼ全裸体のハシラジマ

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おじさん、異世界に転生する

紙の山の底から〜放置された緊急依頼書〜

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 地下倉庫――そこは、もはや倉庫ではなかった。

 

 書類の山。

 崩れた棚。

 破れた封筒。

 

 どこもかしこも、紙と紙と紙で埋め尽くされていた。

 ファルコは、ハンナ、リンネ、文化的ゴブリンたちとともに、汗を流しながら仕分け作業を続けていた。

 書類の山が雪崩を起こさないよう、慎重に一枚一枚めくっていく。

 

 

 「魔獣退治の依頼。二年前……」

 

 「こっち、盗賊団討伐……期限、三年前……」
 リンネが冷静に分類していく。

 

 「これ、普通の荷運び依頼だな」
 「こっちは迷子の捜索ですね」
 「これは……破れて読めないです!」

 

 そんな中、ハンナがひときわ分厚い封筒を引っ張り出した。

 

 「ちょっと、これヤバいかもよ」

 

 ファルコが覗き込む。
 封筒には真っ赤な文字でこう書かれていた。

 

 > 【緊急指定】特殊災害案件 即時支援要請

 

 リンネが、すぐに中身を取り出して読み上げる。

 

 「発信元は……トーヴ村。内容は――
 『原因不明の黒い液体が大量噴出。悪臭甚大。水脈汚染。被害拡大中。至急支援求む』」


 ファルコの眉間にシワが寄った。

 

 「……これ、扱いが普通の依頼と違う。汚水問題か? すぐに即時支援をって、いつ期限だ?」

 

 裏返した封筒の裏には赤字でデカデカと書かれている期限。

 

 > 至急対応/報告期限:半年前

 ファルコの背筋に、冷たいものが走る。

 

 「半年前!? ってことは……まだ対応されてないってことか!? 手遅れ感がスゴいんだが!?」

 
 リンネがすばやく地図を開く。

 

 「トーヴ村、ここです。支局から、馬車でおよそ一日圏内」

 

 「近いじゃねぇか!! なんで誰も行ってないんだよ!!」

 

 シエル補佐官が青ざめた顔で呟く。

 

 「そ、それ……地下に埋もれてたから……たぶん……」

 

 「三年前の依頼が埋もれている時点で分からんでもないけどな!」


 ファルコはしばし腕を組んで考えた。

 

 「とりあえず、俺たちはここで書類整理が優先だ。現場調査は……日雇い冒険者を派遣して、状況確認させる」

 

 「それが……現実的ですね」

 

 リンネがコクリと頷いた。

 

 シエル補佐官もすぐに対応し、協会の待機冒険者数名が、馬車に乗ってトーヴ村へ急行した。

 

 

 ――それから四日後。

 

 協会の玄関ホールに、
 ボロボロに汚れた日雇い冒険者たちが、よろよろと帰還した。

 

 「うわああああああああああ!!」
 「助けてくれぇぇえ!!!」
 「鼻が! 鼻が死んだ!!」

 

 

 受付が混乱し、ファルコたちも呼び出される。

 

 「何があった!?」

 

 ファルコが叫ぶと、ひとりの冒険者が震える声で答えた。

 

 「黒い水が……そこらじゅうにあって……
 しかもクサイんだ!! 何だアレ!!」

 

 「飲んだら……腹くだして、三日寝込んだ仲間もいた……!!」

 

 「村が沈んでる!! ボートで往来してんだ!!」

 

 

 ファルコとリンネ、ハンナ、文化的ゴブリンたち。
 全員が、同時に顔を引きつらせた。

 

 

 「……こりゃ、ただごとじゃねぇな」

 

 ファルコが深々と溜息を吐いた。

 

 「結論、現地支援、行くしかないか」

 

---

 こうして、
 ファルコたちはクサすぎる村トーヴ村に向けて出発することになった。
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