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デンジャラス日奈子の新事業構想
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「ふ~。やっぱりオフタイムは温泉に限るわね」。
「ですよねー、私もそう思います」。
「あっ、美央ちゃん、見て見て。あの雲、ハートに見えるわ」。
「あの雲ですね。でも、その隣の雲はAという文字に見えなくもない。これがほんとうのハートのA(エース)だったりして」。
そんなやりとりを交わしながら、のほほんとした想いで、つかの間の温泉タイムを楽しんでいるのは、有限会社おてんば企画の代表取締役・日奈子と、編集部長の美央であった。場所は湯のまち・おてんば市の中でも老舗の温泉施設として知られる、ニューおてんば温泉の露天風呂。目の前に広がる蔵王山麓は、まさに一大パノラマのような絶景だ。
この日は新しい期の始まり-四月-ということもあり、土曜の休みを返上した全体会議があったが、午前中で会議を終えて、お昼は仕出し弁当を社員全員で食べたあと、大空に放たれた風船のごとく即解散となり、代表-編集部長という大御所の女ふたりが露天風呂へと足を運んでいたのである。大御所といっても、日奈子はまだ四十代前半だったし、美央にいたっては二十代半ばであった。
「美央ちゃん、背中を流してあげようか」。
「いえ、まさか。私の方こそ社長の背中を流してさしあげますわ」なーんて。
親子ほど年齢の違う女同士の裸のつき合いは、いたって平穏なひとときに包まれていた。土曜日の午後ということもあり、温泉は結構混み合っていた。年配の方が多く、なかにはお孫さんだろうか、青空の下ではしゃぎ声をあげる小さな女の子の姿も。塀ひとつ隔てた男子の露天風呂には、きっとお兄ちゃんでもいるのだろう。「温泉って気持ちいい。そっちはどう?」なんて声を張りあげていた。そんな微笑ましい光景を見つめながら、日奈子が美央に語りかけた。
「美央ちゃんね、じつは私、今年は新しいビジネスに挑戦しようと思っているの。もちろん会社には迷惑をかけず、最初は自分ひとりでやるつもりなんだけど、もしその事業がうまくいったら、あなたにも手伝ってほしいのよね。日奈子と美央の“ひなみおコンビ”でひと泡吹かせない?」とかなんとか、おだんご状に結いあげた黒髪を気にしながら、ちょっとエロいしぐさを見せる日奈子の横顔を見やると、また始まった――とあきれ返る美央であった。
「新しいビジネスって何ですか? 女子プロレスの延長ですか」と尋ねながら、怪訝な表情を浮かべる美央に対し、日奈子の口からはまるで予想外の答えが返ってきた。
「うーん、結果的には女子プロレスとのコラボもあり得るかもしれないけど、まずはひとつの顔を持った事業として始めるつもり。社内のみんなには、まだ内密にしてほしいんだけど、芸能プロダクションを立ちあげようかと思っているのよ」と日奈子がいってのけたのには驚いた。
「もちろん地域密着型の芸能プロダクション。具体的にいうと、ここニューおてんば温泉とのコラボレーションになるわね。おてんば温泉のど真ん中でもある、ニューおてんば温泉の宴会場を拠点に、芸能活動をスタートさせたいの。もちろんニューおてんば温泉の社長夫妻からOKはもらっているわ」。
そういうと、日奈子はザバッという音を立てて、蔵王の山並みに向かい、自分のヌードを誇示しながら、「私はやるからね」と自らにいい聞かせるのであった。
「あちゃー。また始まった」と思いながら、「芸能プロダクションですか。それって結構インパクトがありますね」といい、美央は苦笑いを浮かべる以外になかった。つんと突き出した日奈子の胸。四十代とは思えないほど、均整のとれたボディーが美しい。
「きっと」と美央は思った。日奈子の胸の頂には、デンジャラスな小悪魔が巣くっているに違いない。
「ですよねー、私もそう思います」。
「あっ、美央ちゃん、見て見て。あの雲、ハートに見えるわ」。
「あの雲ですね。でも、その隣の雲はAという文字に見えなくもない。これがほんとうのハートのA(エース)だったりして」。
そんなやりとりを交わしながら、のほほんとした想いで、つかの間の温泉タイムを楽しんでいるのは、有限会社おてんば企画の代表取締役・日奈子と、編集部長の美央であった。場所は湯のまち・おてんば市の中でも老舗の温泉施設として知られる、ニューおてんば温泉の露天風呂。目の前に広がる蔵王山麓は、まさに一大パノラマのような絶景だ。
この日は新しい期の始まり-四月-ということもあり、土曜の休みを返上した全体会議があったが、午前中で会議を終えて、お昼は仕出し弁当を社員全員で食べたあと、大空に放たれた風船のごとく即解散となり、代表-編集部長という大御所の女ふたりが露天風呂へと足を運んでいたのである。大御所といっても、日奈子はまだ四十代前半だったし、美央にいたっては二十代半ばであった。
「美央ちゃん、背中を流してあげようか」。
「いえ、まさか。私の方こそ社長の背中を流してさしあげますわ」なーんて。
親子ほど年齢の違う女同士の裸のつき合いは、いたって平穏なひとときに包まれていた。土曜日の午後ということもあり、温泉は結構混み合っていた。年配の方が多く、なかにはお孫さんだろうか、青空の下ではしゃぎ声をあげる小さな女の子の姿も。塀ひとつ隔てた男子の露天風呂には、きっとお兄ちゃんでもいるのだろう。「温泉って気持ちいい。そっちはどう?」なんて声を張りあげていた。そんな微笑ましい光景を見つめながら、日奈子が美央に語りかけた。
「美央ちゃんね、じつは私、今年は新しいビジネスに挑戦しようと思っているの。もちろん会社には迷惑をかけず、最初は自分ひとりでやるつもりなんだけど、もしその事業がうまくいったら、あなたにも手伝ってほしいのよね。日奈子と美央の“ひなみおコンビ”でひと泡吹かせない?」とかなんとか、おだんご状に結いあげた黒髪を気にしながら、ちょっとエロいしぐさを見せる日奈子の横顔を見やると、また始まった――とあきれ返る美央であった。
「新しいビジネスって何ですか? 女子プロレスの延長ですか」と尋ねながら、怪訝な表情を浮かべる美央に対し、日奈子の口からはまるで予想外の答えが返ってきた。
「うーん、結果的には女子プロレスとのコラボもあり得るかもしれないけど、まずはひとつの顔を持った事業として始めるつもり。社内のみんなには、まだ内密にしてほしいんだけど、芸能プロダクションを立ちあげようかと思っているのよ」と日奈子がいってのけたのには驚いた。
「もちろん地域密着型の芸能プロダクション。具体的にいうと、ここニューおてんば温泉とのコラボレーションになるわね。おてんば温泉のど真ん中でもある、ニューおてんば温泉の宴会場を拠点に、芸能活動をスタートさせたいの。もちろんニューおてんば温泉の社長夫妻からOKはもらっているわ」。
そういうと、日奈子はザバッという音を立てて、蔵王の山並みに向かい、自分のヌードを誇示しながら、「私はやるからね」と自らにいい聞かせるのであった。
「あちゃー。また始まった」と思いながら、「芸能プロダクションですか。それって結構インパクトがありますね」といい、美央は苦笑いを浮かべる以外になかった。つんと突き出した日奈子の胸。四十代とは思えないほど、均整のとれたボディーが美しい。
「きっと」と美央は思った。日奈子の胸の頂には、デンジャラスな小悪魔が巣くっているに違いない。
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