34 / 42
第34話 囚われた葉月。
しおりを挟む
「ドラザエモン! 例の武器、出来てるかぁ!?」
かなり立派な亜水の屋敷は二階建てで、広さもかなりある。白金が玄関で大声を張り上げると、奥からドタバタとドラザエモンが走ってきた。
「白金様に銀杏ねぇちゃん! 武器は出来てるよ! でも聞いて! さっきお母さんが拐(さら)われた!」
「な、なんじゃと!?」
「誰の仕業だ!?」
オレと白金は同時に叫ぶ。だが、犯人の目星は付いている。酒呑童子で間違いない。早く助けなくては!
「白金殿! 銀杏様!」
奥から亜水が走ってくる。日凛も一緒だ。
「鬼です! 鬼が出ました!奴め、あっという間に葉月を......私がそばにいながら......!情けない。討伐に行かれるのですよね!? 私もお供致します!」
覚醒が解け、盲目の亜水は目を閉じたままでそう言った。
「うー!お母さん、助ける!」
日凛も、パンッと両手を合わせ、気合いを入れる。
「いや、待て二人とも。奴は木蓮なのじゃ。今は酒呑童子という鬼に憑依され、心まで支配されてしまっているがな。あやつの強さは緑爪の比ではない。わしと白金でさえも、勝てるかどうかわからぬ。じゃが手立てはある。今回はわしと白金に任せてもらえぬか? 葉月は必ず助け出す。待っていてくれ」
鬼の正体が木蓮だと知り、亜水、日凛、ドラザエモンの三人に動揺が走る。
「わかりました。銀杏様と白金殿にお任せ致します。葉月を、よろしくお願い致します」
「うー!」
「絶対お母さん助けてね! 白金様、はいこれ、頼まれてた武器だよ!」
「おお、コイツがあれば百人力だ。ありがとな」
三人と握手を交わし、ドラザエモンからは武器も受け取った。
亜水家を出て、白金と手を繋ぐ。
「急ぐぞ銀杏!」
「うむ!神速歩で行こう。覚醒!」
オレは覚醒し、大人の体に変身した。
「おお! やっぱり、覚醒すると色っぽいな!」
「こ、こら! 今そんな事言っておる場合では無かろう! 全くもう......行くぞ、神速歩!」
一瞬にして木蓮の家の前に着く。門には錠が降りていて、扉は開かない。
「激震雷!」
三言呪で雷撃を放ち、木製の扉を破壊する。すかさず中へ飛び込むオレと白金。
家の中は、女たちで埋め尽くされていた。ほとんどの者が気絶している。だが意識のある者は、オレたちを見るなり襲いかかってきた。
「チッ! 操られてやがるのか! 『麻痺』!」
「そのようじゃ!『傀儡雷』!」
彼女たちが怪我をしないように注意しながら、動きを封じる。
部屋をバンバンと開けて飛び込んでいく。
「千里眼で位置は把握しておる! こっちじゃ!」
一番奥の部屋に、木蓮はいた。座布団に座り、円卓に並べられた豪勢な食事を堪能している。両脇には塁火と葉月がいて、彼にお酌をしたり、食事を食べさせていた。
「銀杏様、お逃げください! この鬼は木蓮君です! でももう、木蓮君は変わってしまいました」
葉月はお酌をしながらも、震える声でオレたちにそう訴えた。
「お兄ちゃん、もう昔の優しいお兄ちゃんじゃないの。白金様......助けて......」
塁火は泣きながら箸を持ち、木蓮の口へと食事を運ぶ。
二人は他の女性たちとは違い、どうやら洗脳されていないようだ。だが、恐怖によって支配されている。
「おい貴様! 今すぐ表に出るのじゃ! わしらが成敗してくれる!」
だが木蓮......いや、酒呑童子は、立ち上がろうとしない。
「足が不自由でね。外には出られない。用があるなら、ここで済ませてくれ」
「テメェ! ふざけるな!」
白金が叫ぶ。
酒呑童子は、やはり覚醒が解けているようだ。だがあの余裕の態度を見ると、覚醒出来る事には、おそらく気づいている。
(白金、どうにかして二人を酒呑童子から引き離してくれぬか。その瞬間を狙って、奴を神速歩で表に引きずり出す)
(わかった!)
「衝撃!」
白金は両手をそれぞれ累火と葉月に向け、手のひらから衝撃波を放った。お互い逆方向に吹き飛ぶ、累火と葉月。
「今だ!」
「神速歩!」
白金の号令が出た瞬間、オレは酒呑童子の体をひっ掴み、表に引きずり出していた。
ここは田園地区のさらに外れの方にある広場だ。ここなら心おきなく戦える。奴の体に触れてから、ここまでほんの一秒程。
白金に思念で現在地を伝える。累火と葉月、それ以外の女性たちも助け出して、そのあとここに来てくれる筈だ。
「覚醒!」
座り込んでいた木蓮、いや、酒呑童子が覚醒し、自らの両足で立ち上がる。
「よくも邪魔してくれましたね、銀杏様」
不気味な笑みを浮かべながら近寄ってくる、酒呑童子。つい先程までオレの心を支配していた怒りの感情が、一瞬にして恐怖に変わる。
はぁ、はぁ、やばい! 面と向かうと、やっぱ勝てる気しない! 白金、早く来てー!
【白金視点】
白金は、はやる気持ちを抑えつつ、累火と葉月の傷を術で癒していた。仕方がなかったとはいえ、二人を弾き飛ばし、怪我をさせてしまったからだ。
「白金様、私たちならもう大丈夫です。早く銀杏様のところへ行ってあげてください」
累火がそう言って微笑む。
「ああ、すまない。亜水たちには連絡したから、もうすぐ来ると思う」
ほっと胸をなでおろす葉月。
「じゃあ俺はいくぜ!」
そう言って木蓮の家を飛び出す白金。「お気をつけて!」と累火の声が背後に聞こえた。
「飛翔!」
白金の体が中に浮き、銀杏と酒呑童子のいる田園地帯へと高速飛行する。
(銀杏、無事でいてくれ!)
銀杏は強い。勝てないまでも、負ける事はないだろう。だが相手はあの酒呑童子だ。
見つけた!二人は戦闘中だが、銀杏が劣勢のようだ。不気味な触手のようなものに、捕らえられてしまっている。
地上に着地し、武器を構える。ドラザエモンに作ってもらった、手甲鉤(てっこうかぎ)だ。手に装着し、長く伸びた鉤爪で敵を攻撃する武器である。
「銀杏! 今助ける!」
じりじりと間合いを詰めながら、酒呑童子の隙を伺う。今は銀杏を人質に取られているに等しい状況だ。なんとか打開策を考えなくてはならない。
まずは銀杏を奴の体から解放しなくては!
「固定! 衝撃!」
銀杏の体を地面に固定しつつ、酒呑童子の体に衝撃波を放つ。酒呑童子の体が後方に吹き飛び、銀杏から離れる。
「へぇ。思ったよりやるね」
酒呑童子は面白そうに笑い、着地と同時に触手を繰り出す。また銀杏を捕まえる気だ。
「させるか! 俊敏! 飛翔! 」
自身の速度を高め、空中を高速移動する。触手たちが銀杏に到達する前に、白金は全て切り落とした。
「銀杏!」
「固定」を解除し、倒れこむ銀杏を抱きかかえる。
「白金......すまぬ、奴を食い止めるつもりが、足手まといに......」
ぐったりと、力なくうなだれる銀杏。
「頑張ったな銀杏。遅くなってごめんな。あとでいっぱい、抱きしめてやるから。結界を張る。少し待っててくれ」
「じゃが、そなたの力だけでは......」
心配そうに白金を見つめる銀杏。白金は、そっと銀杏の髪を撫でる。銀色の美しい髪が、サラサラと流れる。
「心配すんな。俺には秘策がある。安心して寝てろ」
「......うん。気をつけて......」
安心したのか、銀杏は目を閉じた。眠ってしまったのかもしれない。
「ババァ言葉、忘れてるぞ、来人......」
白金は銀杏に優しく口づけ、彼女を少し離れた場所の草むらに、そっと横たわらせた。
この間(かん)、酒呑童子は、手を出して来なかった。もちろん白金はいつでも応戦出来るように神経を張り詰めてはいたのだが。
酒呑童子のいる場所に戻り、再び手甲鉤を構える白金。酒呑童子はウネウネと自身の周りに触手を張り巡らせている。
「人質がいたから負けたと言われたら面白くないんでね。見逃してやったんだよ。もう銀杏様の霊力はたっぷり頂いたから、用済みだしな」
白金の怒りが沸点に達した。
「殺す!火炎!」
白金は炎を出現させ、手甲鉤にの爪部分に纏(まと)わせた。多少熱いが、直接手に纏わせるよりは数倍マシだ。
「燃えろ! 火炎爪(かえんそう)!」
白金は息もつかせぬ程の素早い連撃を酒呑童子に繰り出す。ちなみにシンプルすぎる技名は、今考えた!
「チッ、思ったよりやるじゃないか」
酒呑童子は信じられない程の超高速で、白金の攻撃を全てかわし切った。だが髪の毛や服には、炎が燃え移っている。
「へっ、炎まではかわしきれないようだな!」
白金は勝機ありと見て、果敢に攻め続ける。
「ふぅ。俺はいつでもお前を瞬殺出来るんだ。だが、ただ殺してもつまらない。絶望させてから殺さないとな。だけどお前はかなりタフな精神の持ち主だ。だから最上級に酷い事実を見せて、絶望させてやるよ」
今まで回避に徹していた酒呑童子だが、突如攻撃に転じる。白金の顔面を右手で鷲掴みにし、ミシミシと指を食い込ませる。
「さぁ、見るがいい。お前の大切な銀杏が、滅びる様を」
「ううっ! うわぁー!」
白金は酒呑童子の手を掴み、逃れようとする。だが彼の心を今支配している光景に、心は折れかかっていた。
かなり立派な亜水の屋敷は二階建てで、広さもかなりある。白金が玄関で大声を張り上げると、奥からドタバタとドラザエモンが走ってきた。
「白金様に銀杏ねぇちゃん! 武器は出来てるよ! でも聞いて! さっきお母さんが拐(さら)われた!」
「な、なんじゃと!?」
「誰の仕業だ!?」
オレと白金は同時に叫ぶ。だが、犯人の目星は付いている。酒呑童子で間違いない。早く助けなくては!
「白金殿! 銀杏様!」
奥から亜水が走ってくる。日凛も一緒だ。
「鬼です! 鬼が出ました!奴め、あっという間に葉月を......私がそばにいながら......!情けない。討伐に行かれるのですよね!? 私もお供致します!」
覚醒が解け、盲目の亜水は目を閉じたままでそう言った。
「うー!お母さん、助ける!」
日凛も、パンッと両手を合わせ、気合いを入れる。
「いや、待て二人とも。奴は木蓮なのじゃ。今は酒呑童子という鬼に憑依され、心まで支配されてしまっているがな。あやつの強さは緑爪の比ではない。わしと白金でさえも、勝てるかどうかわからぬ。じゃが手立てはある。今回はわしと白金に任せてもらえぬか? 葉月は必ず助け出す。待っていてくれ」
鬼の正体が木蓮だと知り、亜水、日凛、ドラザエモンの三人に動揺が走る。
「わかりました。銀杏様と白金殿にお任せ致します。葉月を、よろしくお願い致します」
「うー!」
「絶対お母さん助けてね! 白金様、はいこれ、頼まれてた武器だよ!」
「おお、コイツがあれば百人力だ。ありがとな」
三人と握手を交わし、ドラザエモンからは武器も受け取った。
亜水家を出て、白金と手を繋ぐ。
「急ぐぞ銀杏!」
「うむ!神速歩で行こう。覚醒!」
オレは覚醒し、大人の体に変身した。
「おお! やっぱり、覚醒すると色っぽいな!」
「こ、こら! 今そんな事言っておる場合では無かろう! 全くもう......行くぞ、神速歩!」
一瞬にして木蓮の家の前に着く。門には錠が降りていて、扉は開かない。
「激震雷!」
三言呪で雷撃を放ち、木製の扉を破壊する。すかさず中へ飛び込むオレと白金。
家の中は、女たちで埋め尽くされていた。ほとんどの者が気絶している。だが意識のある者は、オレたちを見るなり襲いかかってきた。
「チッ! 操られてやがるのか! 『麻痺』!」
「そのようじゃ!『傀儡雷』!」
彼女たちが怪我をしないように注意しながら、動きを封じる。
部屋をバンバンと開けて飛び込んでいく。
「千里眼で位置は把握しておる! こっちじゃ!」
一番奥の部屋に、木蓮はいた。座布団に座り、円卓に並べられた豪勢な食事を堪能している。両脇には塁火と葉月がいて、彼にお酌をしたり、食事を食べさせていた。
「銀杏様、お逃げください! この鬼は木蓮君です! でももう、木蓮君は変わってしまいました」
葉月はお酌をしながらも、震える声でオレたちにそう訴えた。
「お兄ちゃん、もう昔の優しいお兄ちゃんじゃないの。白金様......助けて......」
塁火は泣きながら箸を持ち、木蓮の口へと食事を運ぶ。
二人は他の女性たちとは違い、どうやら洗脳されていないようだ。だが、恐怖によって支配されている。
「おい貴様! 今すぐ表に出るのじゃ! わしらが成敗してくれる!」
だが木蓮......いや、酒呑童子は、立ち上がろうとしない。
「足が不自由でね。外には出られない。用があるなら、ここで済ませてくれ」
「テメェ! ふざけるな!」
白金が叫ぶ。
酒呑童子は、やはり覚醒が解けているようだ。だがあの余裕の態度を見ると、覚醒出来る事には、おそらく気づいている。
(白金、どうにかして二人を酒呑童子から引き離してくれぬか。その瞬間を狙って、奴を神速歩で表に引きずり出す)
(わかった!)
「衝撃!」
白金は両手をそれぞれ累火と葉月に向け、手のひらから衝撃波を放った。お互い逆方向に吹き飛ぶ、累火と葉月。
「今だ!」
「神速歩!」
白金の号令が出た瞬間、オレは酒呑童子の体をひっ掴み、表に引きずり出していた。
ここは田園地区のさらに外れの方にある広場だ。ここなら心おきなく戦える。奴の体に触れてから、ここまでほんの一秒程。
白金に思念で現在地を伝える。累火と葉月、それ以外の女性たちも助け出して、そのあとここに来てくれる筈だ。
「覚醒!」
座り込んでいた木蓮、いや、酒呑童子が覚醒し、自らの両足で立ち上がる。
「よくも邪魔してくれましたね、銀杏様」
不気味な笑みを浮かべながら近寄ってくる、酒呑童子。つい先程までオレの心を支配していた怒りの感情が、一瞬にして恐怖に変わる。
はぁ、はぁ、やばい! 面と向かうと、やっぱ勝てる気しない! 白金、早く来てー!
【白金視点】
白金は、はやる気持ちを抑えつつ、累火と葉月の傷を術で癒していた。仕方がなかったとはいえ、二人を弾き飛ばし、怪我をさせてしまったからだ。
「白金様、私たちならもう大丈夫です。早く銀杏様のところへ行ってあげてください」
累火がそう言って微笑む。
「ああ、すまない。亜水たちには連絡したから、もうすぐ来ると思う」
ほっと胸をなでおろす葉月。
「じゃあ俺はいくぜ!」
そう言って木蓮の家を飛び出す白金。「お気をつけて!」と累火の声が背後に聞こえた。
「飛翔!」
白金の体が中に浮き、銀杏と酒呑童子のいる田園地帯へと高速飛行する。
(銀杏、無事でいてくれ!)
銀杏は強い。勝てないまでも、負ける事はないだろう。だが相手はあの酒呑童子だ。
見つけた!二人は戦闘中だが、銀杏が劣勢のようだ。不気味な触手のようなものに、捕らえられてしまっている。
地上に着地し、武器を構える。ドラザエモンに作ってもらった、手甲鉤(てっこうかぎ)だ。手に装着し、長く伸びた鉤爪で敵を攻撃する武器である。
「銀杏! 今助ける!」
じりじりと間合いを詰めながら、酒呑童子の隙を伺う。今は銀杏を人質に取られているに等しい状況だ。なんとか打開策を考えなくてはならない。
まずは銀杏を奴の体から解放しなくては!
「固定! 衝撃!」
銀杏の体を地面に固定しつつ、酒呑童子の体に衝撃波を放つ。酒呑童子の体が後方に吹き飛び、銀杏から離れる。
「へぇ。思ったよりやるね」
酒呑童子は面白そうに笑い、着地と同時に触手を繰り出す。また銀杏を捕まえる気だ。
「させるか! 俊敏! 飛翔! 」
自身の速度を高め、空中を高速移動する。触手たちが銀杏に到達する前に、白金は全て切り落とした。
「銀杏!」
「固定」を解除し、倒れこむ銀杏を抱きかかえる。
「白金......すまぬ、奴を食い止めるつもりが、足手まといに......」
ぐったりと、力なくうなだれる銀杏。
「頑張ったな銀杏。遅くなってごめんな。あとでいっぱい、抱きしめてやるから。結界を張る。少し待っててくれ」
「じゃが、そなたの力だけでは......」
心配そうに白金を見つめる銀杏。白金は、そっと銀杏の髪を撫でる。銀色の美しい髪が、サラサラと流れる。
「心配すんな。俺には秘策がある。安心して寝てろ」
「......うん。気をつけて......」
安心したのか、銀杏は目を閉じた。眠ってしまったのかもしれない。
「ババァ言葉、忘れてるぞ、来人......」
白金は銀杏に優しく口づけ、彼女を少し離れた場所の草むらに、そっと横たわらせた。
この間(かん)、酒呑童子は、手を出して来なかった。もちろん白金はいつでも応戦出来るように神経を張り詰めてはいたのだが。
酒呑童子のいる場所に戻り、再び手甲鉤を構える白金。酒呑童子はウネウネと自身の周りに触手を張り巡らせている。
「人質がいたから負けたと言われたら面白くないんでね。見逃してやったんだよ。もう銀杏様の霊力はたっぷり頂いたから、用済みだしな」
白金の怒りが沸点に達した。
「殺す!火炎!」
白金は炎を出現させ、手甲鉤にの爪部分に纏(まと)わせた。多少熱いが、直接手に纏わせるよりは数倍マシだ。
「燃えろ! 火炎爪(かえんそう)!」
白金は息もつかせぬ程の素早い連撃を酒呑童子に繰り出す。ちなみにシンプルすぎる技名は、今考えた!
「チッ、思ったよりやるじゃないか」
酒呑童子は信じられない程の超高速で、白金の攻撃を全てかわし切った。だが髪の毛や服には、炎が燃え移っている。
「へっ、炎まではかわしきれないようだな!」
白金は勝機ありと見て、果敢に攻め続ける。
「ふぅ。俺はいつでもお前を瞬殺出来るんだ。だが、ただ殺してもつまらない。絶望させてから殺さないとな。だけどお前はかなりタフな精神の持ち主だ。だから最上級に酷い事実を見せて、絶望させてやるよ」
今まで回避に徹していた酒呑童子だが、突如攻撃に転じる。白金の顔面を右手で鷲掴みにし、ミシミシと指を食い込ませる。
「さぁ、見るがいい。お前の大切な銀杏が、滅びる様を」
「ううっ! うわぁー!」
白金は酒呑童子の手を掴み、逃れようとする。だが彼の心を今支配している光景に、心は折れかかっていた。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
嫁に来た転生悪役令嬢「破滅します!」 俺「大丈夫だ、問題ない(ドラゴン殴りながら)」~ゲームの常識が通用しない辺境領主の無自覚成り上がり~
ちくでん
ファンタジー
「なぜあなたは、私のゲーム知識をことごとく上回ってしまうのですか!?」
魔物だらけの辺境で暮らす主人公ギリアムのもとに、公爵家令嬢ミューゼアが嫁として追放されてきた。実はこのお嫁さん、ゲーム世界に転生してきた転生悪役令嬢だったのです。
本来のゲームでは外道の悪役貴族だったはずのギリアム。ミューゼアは外道貴族に蹂躙される破滅エンドだったはずなのに、なぜかこの世界線では彼ギリアムは想定外に頑張り屋の好青年。彼はミューゼアのゲーム知識をことごとく超えて彼女を仰天させるイレギュラー、『ゲーム世界のルールブレイカー』でした。
ギリアムとミューゼアは、破滅回避のために力を合わせて領地開拓をしていきます。
スローライフ+悪役転生+領地開拓。これは、ゆったりと生活しながらもだんだんと世の中に(意図せず)影響力を発揮していってしまう二人の物語です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる