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幼児編
贈り物
しおりを挟む突発的に抱きついてからしまったと我に返る。
うわあ、私なんてことしてるんだろ・・・
お兄ちゃんとはいえ、今日会ったばっかりの人だよ!?
私、かなりの人見知りで警戒心は人一倍強いはずだよね!?
いくらカイお兄ちゃんが優しいとはいえ、どうしたんだ、私!
私の警戒心、どこ行った?
警戒心よ、戻ってこいとカイお兄ちゃんに抱きついたまま考える。
離れるタイミングを、完璧に逃してしまった。
うわあ、どうしよう・・・
カチンコチンに固まっていると、背中に何かの感触を感じた。
そうっとカイお兄ちゃんの顔を見上げる。
・・・どうやら、背中に感じた感触は、カイお兄ちゃんの腕のようだ。
あれ、これどういう状態?
えーっと、私がカイお兄ちゃんに抱きついて、カイお兄ちゃんが腕を私の背中に回してて・・・
身内とはいえ、金髪碧眼の美少年と抱き合っているということに気付いた瞬間、顔が熱くなった。
耳まで赤くなっている自信がある。
「ご、ごめんなさい、急に、その・・・」
抱きついたりなんかして、とモゴモゴ謝罪する。
「謝らなくてもいいよ、ソラ。」
優しい声音が上から振ってくる。
「僕、すごくうれしいんだ、ソラが僕に懐いてくれて。僕が覚醒した時、妹がいるってこと聞いて、うれしかった。沢山可愛がろうって思ったけど、ソラはなかなか覚醒しなくて。本邸に来る度、ソラの力を感じてまだかなって待ってたんだ。ソラがちゃんと覚醒してくれるか、不安だったし、心配だったんだ。」
カイお兄ちゃんの言葉に、私は目を見開く。
カイお兄ちゃんは、私を待っててくれてたんだ。
私が眠っている間、心配しながら、待っていてくれていた人がいた。
朱雲家について知ってから、家族の温かみを感じることを少し諦めていた。
前世で、私は捨てられたから、家族の存在に憧れていた。
だからその分、ショックは大きかった。
でも、諦める必要はないんだ。
カイお兄ちゃんが、与えてくれる。
それが嬉しくて、カイお兄ちゃんに抱きついている腕にキュッと力を込める。
「今日、本邸に行ってびっくりした。ソラが覚醒してることが分かったんだ。しかも、誰も気付いていなかった。なんて幸運なんだろうって思ったよ。5年間、力の制御に苦しんでいるソラを助けてあげられなかった。だけど、今なら助けられるって思ったんだ。お兄ちゃんらしいことを一つもしていない僕が妹にできる、最初の贈り物だと決心して、ソラの所まで行ったんだ。」
最初の、贈り物。
今日一日で、私はカイお兄ちゃんに沢山の物をもらった。
感謝しても、しきれない。
「こうしてソラを家に連れて来たけど、正直不安だった。ソラにとっては、あの家にいた方がよかったんじゃないだろうか。それから、ソラに嫌われないだろうかって。」
カイお兄ちゃんの心配は、杞憂だ。
この家の人達は優しいし、居心地も良い。
それに、カイお兄ちゃんのことは、大好きだ。
「私、カイお兄ちゃんのこと、大好きだよ。」
小さな声で、でもしっかりと言葉にする。
背中に回された腕が、ギュッと私を強く抱きしめた。
「うん。ソラがそう思ってくれたことが、すごくうれしい。」
カイお兄ちゃんの腕の中で心地よさにひたりながら、ソラの体が子供の内は子供らしく、思いきり甘えてみようかな、なんてことを考えていた。
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