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高校生編 4月
孤立と遭遇
しおりを挟む居心地が悪い。
1人ぼっちの休み時間がこんなに辛いものだとは思わなかった。
クラスに唯一の庶民で、学級委員という役職についてしまった私と友達になってくれる奇特な人はいなかった。
まあ、それだけなら友達がいない程度で済んだかもしれない。
しかし今、私には私の陰口が沢山聞こえる。
ここまで悪化した原因は、私の隣の席の人にある。
朱雲 蒼羽、私の、双子の弟。
この人が今日一日中私を睨み付け、授業の中で隣の人とペアを組んで学習するペアワークがあればペア替えを教師に要求する。
そのせいで、「桐谷 蒼来は朱雲家の子息の嫌われている」ということが知れ渡ってしまった。
権力のある朱雲家の子息が嫌っているなら私達も、というようにどんどん私を孤立させる風潮が広まっていった。
はあ・・・
ちょっと廊下にでて息抜きをしよう。
・・・息抜きになるか分からないけど。
授業開始までまだ時間があるのを確認して、私は廊下にでた。
「おい!お前!」
いきなり後ろから腕をつかまれ、心臓が飛び上がった。
な、何?誰ですか!?
心の中で叫んでから、冷静な顔を装って相手の方を向く。
「何ですか?」
そこにいたのは、茶髪で茶色の瞳を持った、体格の良い男子生徒だった。
ネクタイの色から察するに三年生。
威圧感があって、なんとなく獅子を連想させる。
それから、火の気配がする。
多分、火属性の能力者。
ということは光陰部の一員だろう。
そこまで考えて、先輩と目を合わせた。
「桐谷、蒼来。」
極上のワインを味わうように、ゆっくりと私の名前を舌にのせて転がす先輩。
「はい、そうですが・・・先輩の名前を教えていただいてもよろしいでしょうか。」
こちらの名前を知ってるならお前も名乗れと言外に告げると、先輩はわずかに目を見開いて、それからニヤッと笑った。
「オレの名前は、富金原 龍之翼。光陰部副会長を務めている。富金原家の長男だ。」
ふうん、副会長、ね。
「富金原先輩、何かご用ですか?」
参ったな。
私、あんまり目立ちたくないんだけど。
この人と関わったら人目が集まる気がする。
現に今、注目されてるし。
ばれないようにこっそりため息をついていると、いきなり顎をつかまれた。
決して強引ではなく、繊細なものを扱うような手つきだったけど、上を向かされた先にあった茶色の双眸は獲物を見つけた時のような、獰猛な感情を秘めていた。
「お前、オレのものになれ。」
私の頭がその言葉を処理するよりも早く、周囲がざわめく。
えっと、つまり、何?
え、誰か分かるように説明して下さい。
気付けば腰に手が回されており、私は富金原先輩に抱き寄せられている状況、で・・・?
「はっ、離して下さい!」
慌てて先輩の胸に手をつき逃れようとするけど、体格の良い高三男子にはかなわない。
これは、あれだよね、セクハラってことでいいんだよね?
「入学式でお前を見て、気に入った。大人しくオレのものになれ、ソラ。」
耳元で囁かれ、耳が熱くなるのを感じた。
何これ何これ、私、どうすればいいの!?
誰か助けて!
とりあえずセクハラ!と叫ぼうと思って口を開きかけた。
その時、ジャストタイミングで正義の味方は現れる。
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