能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 4月

1人になれる場所

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誰も信じなければ良い。
誰かを信じても、いつかは裏切られるんだ。
そうして傷つくのは、自分。

信じるな、誰も。
自分だけを信じていれば、傷つくこともない。

前世の自分の考えが、今の私の心にじわりじわりと忍び寄ってくる。
生まれてから今まで、触れてきた人の優しさを思い出す。

カイお兄ちゃん、サキ、リン、ダイ、リク。
たった5人との触れ合いだったけど、大切で、何にも代えがたいものだった、と思う。
その中でも特に大きな存在だった、カイお兄ちゃんとの思い出。
ついさっきまで、考えるだけで胸が温かくなって笑顔になれるような、幸せなものだった。

でもね、それじゃだめなんだ。
私以外の人が全員、警戒することをやめてしまっても、私だけは常に、全てのものに警戒しなくてはいけない。

それが、強すぎる力を持ってしまった者としての義務。
なのに、転生してから今までの間、警戒する、という、私にとって忘れてはいけないことを忘れていた。

「全部全部、信じられない。信じては、いけない。」

言葉にして口に出した途端、前世の自分と今の自分が溶け合うのを感じた。

ふっと体が軽くなる。
これが本当の自分だ。

ううん、こんな自分でいなくてはならない。
純粋に人の愛情を受け取れる日は、もう決して来ないんだろう。
それがどんなに冷たくて、色のない生き方なのか、私は知ってる。
本当は、嫌だ。
みんなを純粋に、信じていたい。
でも、それをしないのが、できないのが私だし、私の選んだ生き方だ。

私の強すぎる力が誰かに利用されてはいけない。
欠けていた自分の一部を取り戻したような感じだ。
同時に自分の力がさらに強くなったのを感じた。
多分、私の一部が、私の力の一部を封印してたんだ。
警戒することを忘れていた私がいつ利用されるとも限らない。
だから、警戒することを知ってる私の一部が力の一部を封印した。

少しでも、私の力が弱くなるように。

その力が、今、返ってきた。
自分の欠片との再会を果たし歓喜にふるえる自分の力の存在を感じつつ、扉に手をかける。

心の整理が終わったとはいえ、私は未だ一人になることを望んでいて。

それができる場所は思いつく限りここしかない。
鍵がかかっていたけど、力を使えば簡単に開いた。

「・・・え?」

誰もいない場所。
そう思ってここに来たのに。

そっと扉を開けると、そこには信じられないような光景が広がっていた。

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