能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 4月

驚き ~朱雲 海side~

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「おれから報告がある。」

そう切り出したのは、紫月 司。
滅多に発言をしない彼が話しだしたことに、僕だけじゃなく、他のメンバーも驚いているようだった。

「実は、力の制御が完全にできるようになった。もう、力の暴走は起こらないと思
う。それから、おれの力が属性に目覚めた。」

思いも寄らなかったその話の内容に、皆が目を見開く。
喜ばしいことだ。

現在いる能力者の中では最も力が強い紫月。
今までは力の制御ができず戦力になり得なかったが、彼が力を制御し、属性を持ったというならばこれからは違う。
彼は貴重な戦力となるだろう。

「属性は、何なんだい?」

重要なのは、属性だ。
今能力者が抱える問題の一つとして、属性の偏りがある。
水属性の能力者が1人もいないのだ。
紫月の属性が水だったら、さらに喜ばしい。

「我が名は、紫月 司。紫月の血を受け継ぐ者。我が名の下に、我が力を行使する。」

皆が息を殺して見守る中、紫月が札を手の平にのせ朗々と文言を唱える。
感じる力は、かなり強い。

「水よ、我が掌中に集え。」

紫月の広げた右手に、水球が現れた。

「おれの力は、水だ。」

皆がどっと湧く。
これで、ひとまず安心だ。

「よかった、本当に。」

水属性の能力者が、現れた。
たった1人とはいえ、その1人は、とても強い力の持ち主。
きっと、これで光陰部は妖怪を倒しやすくなるはずだ。
命の危険だって、少なくなる。

何より、ソラが陰から力を使わなければならない場面が減る。
僕の最優先事項は、学園の生徒の安全なんかじゃない。
ソラが安全であること、ソラが傷つかないことだ。
僕のような人をシスコンと、世間は呼ぶのかもしれない。

それでも、いい。
他の誰でもなく、ソラだから、僕はこんなに1人の人のことで心を踊らせたり、傷ついたりするんだ。
何があっても、僕がソラを守ろう。
ソラは強くて、賢くて、守られる側ではなく、守る側に立とうとしているのを僕は知っている。
それでも、守りたいんだ。

決意と共に、目を開ける。
広がる視界にいるのは、光陰部のメンバー。
ソラのためなら、会長という特権を活かし、何だってやる。
この癖の強いメンバーにソラのことを勘づかせないよう、うまく振る舞うよ。
メンバーをソラのために利用することだって厭わない。
リュウは既にソラに接触してしまったが、それは美しい容姿に惹かれてのこと。
ソラが自分に靡かないと分かればすぐに離れていくはずだ。
ソラは、僕が守る。


コンコンコン。

ノックの音が聞こえると同時に、甘い声がかかった。

「失礼しまぁ~す。」

ああ、また彼女がやってきたのか。
その場にいた全員が、うんざりだというようにため息をついた。
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