能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 5月

光陰祭「武」

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「光陰祭『武』?何ですか、それ。」

以前お世話になった四組の学級委員長、白川 奏矢くんの口から放たれた聞き覚えのない言葉に私は聞き返す。

「あれ、知らない?他の学校で言う体育祭みたいなものだよ。正式名称は光陰祭~武の巻~っていうんだけどね。みんな「武」って呼んでる。光陰祭『武』には教師は一切介入してこない。せいぜい練習の時間を時間割の中にいれて、光陰部が提案した予算案から予算を組むくらいだよ。」

じゃあ、本当に何から何まで生徒がやるんだ・・・

「教師が介入してこないからこそ、学級委員長が学級を纏めなければいけないんだ。桐谷さん、困ってることないかなって思って声をかけたんだけど。」

声かけといて正解だったみたいだね、とさわやかに微笑まれた。

「どんなことしなきゃいけないか、教えてもらえませんか。」

というか、教えてもらわなきゃ困る。
学級委員長って大変だね。
藤沢先生、恨んでやる・・・

「まず、光陰祭『武』、略して『武』は縦割り学級対抗なんだ。各学年一組は白組、二組は赤組、三組は青組、四組は黄組。その顔合わせが今週末にある。その時に学級委員長は学級の代表として上級生に学級紹介と挨拶をしなければいけない。」
「学級紹介・・・」

なんて言えばいいの?
特にこれといった特徴もないと思うんだけど・・・
強いて言えば、プライドが高いクラスです、かな。

「学級紹介はクラスの良いところを言うのがいいよ。下手に悪いところを言えばクラスメートの反感を買うからね。良いところって言っても、そんなに深く考えず、ありきたりなもので大丈夫。」

そんなんでいいんだ・・・
どうやらこの学級紹介って形式的なものみたい。

「『武』は個人種目と学級対抗がある。一人一つ、個人種目に出なければいけないから、来週にある学級会でクラスメートに選ばせて。それから学級対抗リレーの走順を決めること。」
「それ、全部一時間でやるんですか?」

けっこうハードな時間割だな。

「五十分しかないから大変だけど、そこは僕らがうまく取り仕切っていくんだよ。」

なんでもないことのようにさらりと言う白川くんをじっと見つめた。
この子、初めて会ったときは綺麗な容姿と優しそうな雰囲気しか感じなかったけど、じっくり話して見ればすごく賢そう。
それに、上品な雰囲気があって、きっとこの子もすごいお金持ちなんだろうなと思う。
あと、なんというか、人を纏めるのになれたような雰囲気がある。
絶対的なカリスマ性ってわけじゃないけど、なんだかこの人についていきたくなるような、そんなものを持っている。

私みたいにクラスの中で孤立しているような人ではない、ということだけは明らかだ。

「そして、僕ら学級委員長が『武』という行事の中ですべき一番大切な仕事が、創作舞踊の打ち合わせだよ。」
「創作舞踊?」
「創作舞踊っていうのは、三年生が曲も、振り付けも、小道具も全部用意して、振り付けを下級生に教える、縦割りで協力して行う種目のこと。一番大きな種目だよ。それぞれの組に与えられた演技の時間は五分。」

へえ、なんかすごいな。
でも、五分間の演技ってけっこう大変だよね。
練習の時間も結構要るはず。
体育祭のためにそんなに授業は潰せないだろうし、休み時間に練習するのかな。

「創作舞踊の練習に使える授業数は四時間。二時間で振り付けを覚え、あとの二時間で通して踊ったり、細かい所の練習をする。」

うん、やっぱり、きつい。

「後半の二時間でスムーズに通し稽古ができるように、休み時間を活用する。その時、練習の指揮を執るのが学級委員長の役目。それから、クラスメートの手本となって踊れるように、創作舞踊の練習が始める前に放課後三年生の学級委員長のところに行って踊りを教えてもらうんだ。で、その最初の放課後練習が今日、なんだけど・・・」
「えっ?聞いてません、そんなこと!」

嘘でしょ?
私、誰からもそんなこと聞いてないよ!
すると白川くんはやっぱりかというようにため息をつく。

「教師は口出ししないようになってるし、三年生の学級委員長が直接連絡に来るはずなんだけど、三年三組の学級委員長はクセの強い人だからね。そんなことじゃないかと思ったよ。」

クセの強い人って、どういうこと?
私、今日からその人に演技を教えてもらうんだよね。
変な人だったら嫌なんだけどな。

「学級委員長って、普通光陰部がなるんだよね。三年三組の学級委員長も光陰部の人で、結構、我が強いというか。」

苦笑いをした白川くん。
ちょっと待って下さい。
学級委員長って、普通光陰部がするものなの?
私のクラスには、朱雲 蒼羽という光陰部がいるじゃん!

藤沢先生・・・
なんか、本当に憎らしくなってきた・・・

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