能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 6月

様々な者の思惑 ~3年side~

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「お前なんか、大っ嫌いだ。」

弟の言葉にショックを受けていた私は、まだこのとき、知る由もなかった。


ほぼ全学年の全生徒が、各学年の学年1位の名前と、その点数を確認しているということを。
全教科満点を取る生徒なんて、前代未聞だということを。
もちろんそれは『彼ら』も知っていて・・・
私の名と、その点数を確認した彼らが何を思い、これからどう行動するようになるのか・・・

私はまだ、知る由もなかった。



***



「ソラ・・・」

彼女の名を確認して、僕はそっとその名を呼ぶ。
ソラ。
たった二文字なのに、それを口にするだけでどうしてこんなに胸が痛くなるのだろうか。
・・・会いたい。
でも、この名前の付けがたい感情を制御できるようになるまで、僕はソラに近づけない。
紫月とソラの間に何もないということは、最近知った。
それでも・・・ソラが僕以外の男と仲良くしているのを見るのが、とても癪にさわって。

僕とソラは、兄妹なのに。
こんな感情、抱いてはいけないのに。

封じ込めるようにグッと拳をつくる。

ソラと僕は兄妹じゃない。
だからいいじゃないか。
たとえ僕が、彼女に『恋』という名の感情を抱いたとしても。

そんな、甘い誘惑の言葉をささやくもう一人の自分を振り切るように、僕は軽く首を振った。

僕とソラは、兄妹だ。
血のつながった、兄妹。
ソラは僕の、大事な妹。



***


1年のトップを確認し、オレはニヤリと笑った。
やっぱりな。
こうでなくちゃおもしろくねぇ。

最初は、面白いおもちゃがやってきたと思った。
オレに惚れさせて、それからこっぴどくフる。
そのときアイツはどんな顔をするのか・・・
それを見てみたいと、思った。

だが・・・
このごろ、それがお遊びなのか、そうでないのかがぐちゃぐちゃになってきている。
きっと、アイツに絡んだときの反応が、予想外すぎて退屈しねぇからだな。
本気で面白いと、思い始めているオレがいる。

幼いころから、望めばなんでも手に入ったオレ。
唯一なびかなかったアイツは・・・本当に、面白れぇ。

もし仮に、アイツがオレに惚れたとして、そのままフるのがもったいねぇと思うようになってきた。
そのまま遊びを続行してもいいなんて思い始めているオレ自身が、何より笑えて、そんな風に思わせてくれるアイツが、ほしくてほしくてしょうがねぇ。



***



1年の、学年トップ。
桐谷 蒼来。
その名を口の中で転がす。
その名を聞くのは今日が初めてじゃない。

龍が目をつけている女。
龍のタチの悪い遊びなんて、今に始まったことじゃないが。
しかしどうも今回はいつもと違う気がする。
まず、相手の女が龍に落ちていない。
龍の遊びが長引いている。
長引くにつれ、龍の目の色が、変わってきている気がする。

そして海。
女だけでなく、光陰部以外の人間には興味のかけらも示していなかった海が、龍に絡まれていた桐谷をかばったという。

「ソラ・・・」

ほら、今だって、海はだれにも聞かれていないと思っているのかもしれないけど、俺にはちゃんと聞こえてる。
なんだよ、ソラって。
なんで海が1年の女子を下の名前で呼ぶんだ?
なんなんだよ、その切なそうな声と表情は。
お前が握りしめている拳、だれにも気づかれていないとでも思ってるのか?
バカにすんな。
あの日から、海と龍のことしか眼中になかった俺をなめるんじゃない。


危険だ。

海と龍が、俺の、命よりも大事な幼馴染が、変わろうとしている。
桐谷 蒼来。
お前が『今』を壊すというのなら・・・


俺がお前を、壊してやる。

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