能力者は正体を隠す

ユーリ

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高校生編 7月

規格外

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「その通りです。すでに光陰部の方の一部には知られていました。けど、それを無理矢理口止めしていたのは私です。その方たちに責任はありません。」

私のせいで紫月先輩たちが責められるのは避けたい。
恩や好意の感情を利用したのは、私だから。

「どうせ紫月あたりだろ?」

何もかも見透かすような、鋭い目で富金原先輩が言う。
どこまでもこの人は私の予想を超えてくる。
そこまで当てちゃう?普通。

「紫月が力の暴走を抑えられるようになり、水の属性に目覚めた時期とお前らが親しくなり始めた時期がちょうど同じなんだ。蒼来、お前がなにかしたんだろ?」

す、鋭い・・・!
ここまで分かっているのなら今更ごまかしは無意味だな。
内心諦めがちに、私はゆっくりと頷く。

「なにかした、と言われればそうですね。たまたま屋上に行ったとき、紫月先輩が力の暴走をおこしているのを見つけました。苦しそうだったので、私の力を流し込んで安定させました。そのとき先輩は意識がもうろうとしていたので大丈夫かと思ったのですが、後日声をかけられてしまいました。」

懐かしいなあ、と思いながら過去の話を語る。
あれからまだそんなにたってないはずなのに、ずいぶん昔のことのように思う。
密度のこい時間だったから、そんなこと思うのかな?

「・・・いろいろとつっこみたいことはあるが、どうやって屋上に入ったんだ?万が一にも人が入らないように鍵がかかっていたはずだが。」

納得できない、とでも言うように富金原先輩が眉間に皺をよせる。
なんだか先輩も、こういう顔してるとあんまり苦手だとは思わないんだけどなあ。
先輩の戸惑う姿が新鮮だ。

「多分、見てもらうほうが早いです。これを使う人がこの場にはいないようなので、言葉で話しても伝わりにくいかと。一旦図書室から出るので、鍵をしめてくれませんか?」

百聞は一見にしかず。
見てもらえば納得だろう。
図書室から出ると、戸惑ったような碧館先輩が鍵をかけた。

「土よ、我が望みに従い、道を開けよ。」

カチャリ。
明るい音がして、私が手を扉にかざすとガラガラっと開いた。

「土属性の力の応用です。土の属性をもつ扉を支配下におきました。攻撃よりも放出する力の量が少なくても良いかわりに、繊細なコントロールが求められます。」

そう言うと、カイお兄ちゃん以外の全員が顔をひきつらせた。
カイお兄ちゃんはどこかあきらめたような表情だ。

「そ、それ、泥棒しほうだいじゃね?」
「そうですね、やろうと思えば風属性の力を使って姿を他の人に見えなくさせることもできます。」

だから泥棒もしようと思えばできる。
しないけど。
ほら、と言って3秒間ほど姿を消してみれば、みんな放心ぎみだった。

「あ、でもこの力は、カイお兄ちゃんと一緒に朱雲の屋敷をでるときしか使ったことがありませんからね。泥棒してないです。」
「覚醒後すぐにそれが使えたのかよ・・・」

なんだかもう疲れたような面々に、カイお兄ちゃんが苦笑いと申し訳なさを混ぜたような複雑な顔で頭を下げた。

「ごめん、うちの妹、いろいろと規格外で。」

・・・なんか、すみません。

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