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私の幼なじみは、優しいのです
しおりを挟む「エリン!今日も来てやったぜ!」
「カイ、朝くらい静かにできないのか。」
我が家は今日も賑やかです。
「ごめんね、エリン。毎日毎日押し掛けちゃって。この2人がどうしてもエリンの家に行くって言って聞かなくてさー。」
「みんなが来てくれ嬉しいです。いらっしゃい。」
私の大好きな、幼なじみたちです。
カイは真っ赤な髪と明るい茶色の瞳を持っています。
いつも元気で、一緒にいて楽しいのですが、よく事件を起こすトラブルメーカーです。
そんなカイを抑えてくれるのがシン。
黒い髪に青い瞳で、すっごく頭がいいんです。
でも口うるさいので、たまにお母さんみたいって思ってしまうときがあります。
そして三人の中で唯一の女の子がカリン。
茶色の髪に緑の瞳で、とってもかわいい女の子です。
性格はサバサバしていて、私のお姉さんみたいな存在なのです。
「にしてもお前の父さん、いっつもいないよなー。」
「お仕事ですから。しょうがないです。」
何も言わなくてもいつものソファーに席を陣取るカイに苦笑しながら答えます。
そう、しょうがないんです、お仕事だから。
半分自分に言い聞かせるようにしていると、カイが不意に振り向きました。
明るく輝く茶色の瞳がまっすぐに私を捉えます。
「ホントにしょうがないと思ってんの?」
「え・・・」
急にどうしたのでしょう。
苛立ったような表情に胸がざわつきます。
「エリンは、寂しくないのか?」
本当に、それでいいのか?
そう言われて、思わず顔をしかめました。
寂しくないわけ、ありません。
でも、でも・・・
「もう!カイったら、エリンが困ってるじゃない。」
グルグル回る思考を止めてくれたのはカリンでした。
「馬鹿ね、カイったら。エリンが寂しくないわけないじゃない。もう14歳だっていうのに、こんなに父さま父さまって言ってるエリンなのよ?でもエリンはエル様に迷惑かけたくないから何も言わないだけ。察しなさいよね。」
「カリン・・・」
ありがとうの意味を込めて、カリンに目を向けます。
エル様というのは、父さまのことです。
「まったく、お前は本当に考えなしにものを言うからな。少しは考えてから言え。」
「ちぇっ、悪かったよ、エリン。」
シンにたしなめられて、バツが悪そうにカイが謝ります。
「いいんです、それに私、みんなと毎日こうして遊んでいるから、全然寂しくないと言ったらウソになりますけど、でも毎日が楽しいんです。」
三人がいなかったら、私は今頃一人ぼっちだったでしょう。
三人がいるから、私は毎日幸せなんです。
そう言って微笑むと、みんなが顔を見合わせます。
そして私を見て、パアッと笑ったのです。
なんと、いつもは滅多に笑わないシンまで!
「よし!じゃあ遊ぶか!」
「何して遊ぶー?」
「カイは遊ぶのではなくまず勉強してください、この前のテスト、赤点だったのでしょう?」
「うぐっ!」
ああ、いつもの雰囲気です。
カイ、シン、カリン。
いつもありがとうございます。
毎日家に遊びに来てくれること、本当に嬉しいんです。
きっとみんなは、私が寂しい思いをしているのに気付いていたのでしょう、最初から。
私を1人にしないようにしてくれているみんなの気持ちが、いつも伝わってくるんです。
私の幼なじみは、優しいのです。
この幸福な時間が、ずっと続きますように。
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