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世界樹の実
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「…は?子宮ができるには、時間がかかる?」
「ああ、そうだ。」
儀式が終わり奥の間から出てきた先生達は、ルランドにそう告げられ脱力していた。
確かに、あんなに燃え上がった後に「実は準備がまだでした」と告げられれば、怒りたくもなるものだ。
「いやー、すまんすまん!別に騙すつもりは無かったのだが、あのように純粋な愛の形をみるのは暫くぶりでな。つい、より深いものが見たいと思ってしまったのだ。」
ルランドは全く悪びれる様子もない。
「まぁ、そう怒るな。魔術とは違うので、瞬間で変化するものではないが、実の力は本物だ。おそらく一カ月程で身体は作り変えられる。」
一カ月…。それは僕たちが城から出て、エルフの里にたどり着くのに掛かった時間だ。
とすると、丁度城に帰る頃には先生の身体に子宮が出来ているということだろう。
「…そうか。丁度いい。ファガス、城に戻り王から解放されたら、どこか田舎の村で静かに式を上げ、家族をつくろう。」
アレンは先生を抱きしめて、握った手にキスを落とした。
しかし、それをみたルランドが口を挟む。
「あー、しかしな。紋と実がどのように作用するかは私にも分からん。ただ、紋が暴走し始めたら見境がなくなり、誰の子を孕むかも分からなくなる。くれぐれも気をつけよ。」
「…うう、そんな…。」
せっかく2人が正しい形で結ばれたと思ったのに、これではあまりにも可哀想だ。
「あの…、何か紋を静める方法はないのでしょうか?例えば、エルフの精子とか…。」
僕は、以前先生が紋の解放の為に、エルフの血を引く校長とセックスをしていた事を思い出した。
「ああ、そういえば、人間との混血児がそちらで生活をしていると聞くが、あやつも年だろう。混血はエルフの純血とは違い、老いるのが早い。回復の力は低いであろうなぁ。」
そう言いながらルランドが僕の方をじっと見てくる。今までルランドの関心は先生達であって、僕など全くの無関心であったのに、急にどうしたのだろう。
「其方、ピートといったなぁ。千里眼が使えるのか?」
「ええ、まぁ。まだ広い範囲は見えませんが…。先程の儀式に貴方が忍び込んだのも、中で何があったのかも見ていました。」
本当は神秘の儀式を覗くつもりは無かったのに、ルランドが「用をたしてくる。」と言って姿を眩ませてたのを探すうちに、結局儀式を覗き見る事になってしまった。
「ふむ、ピート、おそらく其方はエルフの血を引いておる。千里眼の能力を持つのは本来エルフだけだ。だから、校長と同じく其方の体液にも紋を解放する力がはるはずだ。」
「なっ…!」
びっくりするほどに初耳であった。千里眼は、先祖代々の能力だと聞かされていたが、それがエルフに由来するものだとは…。
しかし、そうなると合点のいくこともある。
それは、先生がこの旅で発情することが少なかったという事だ。
僕個人としては、旅の途中で先生が発情して、もっと役得な事があるかと思ったが、実際はほとんどなかったのである。
それは僕の体液が先生の中に注がれたからという事か。
「若さ故、老いぼれの体液よりも強い効果があるはずだ。」
「………では、ファガスはピートの体液を取り込んでいれば、いつか紋を解消する事ができるのか?」
アレンがルランドを問い詰める。
「まぁ、そういう事になる。エルフの血を引いていれば受精の可能性は限りなく低い。治療だと割り切れ、アレン。」
アレンは、今までは僕が先生を抱く事は寛容であったが、夫婦の契りを結んだ今となっては複雑な思いなのだろう。
「アレン…、また紋の事はゆっくり考えよう。何か共存する手立てがあるかもしれない。ひとまず実を王に届けよう」
先生の提案で、その場は収まったのだ。
しかし、大きな変化があったのは城への帰りの道中だったのだ。
先生とアレンは目を塞ぎたくなるくらいラブラブだったし、先生は僕にも相変わらず優しく接してくれた。
アレンは先生と僕の関係を思い悩んでいる様であったが、それでもどこか吹っ切れたように、僕たちの関係を見守ってくれた。
なにより子宝の実を王の言いつけ通り手に入れて、街に戻れる事が皆嬉しかったのだ。
エルフの里を出て10日程たったある日、変化は突然やってきた。
「ファ、ファガス…?お前、髭は?」
「あ、朝起きたら、、全て抜け落ちてしまっていたのだ…」
先生のお顔に髭がなかったのだ…!!
それはもう、ツルツルで綺麗な顔が剥き出しで、心臓がドキドキしてしまう程に。
「そ、それも実の効果なんですかね?他に変化はありますか?先生?」
「い、いや、他には何も…」
本人も動揺し、自分のアゴをぺたぺたと触っているのだが、それ以上に動揺しているのはアレンだった。
「…っ!ファガス、お前のその顔…学生時代以来だ…!ああー、どうすんだよ!その顔、みんなに見られちまう!!」
「いや、髭が無いだけだ、そんなに違わないだろ…」
「ばかー!お前がそんなに無自覚だから、俺は髭を生やせってアドバイスしたんだぞ!他の奴が寄ってこないように!!」
「なっ!?そんな理由だったのか!!私は、てっきり自分の顔に締まりがないからだとばかり…」
なるほど、先生が髭を生やしていた理由が分かった。アレンが男避けの為に勧めたのだ。確かに、今のお顔で人前に出たら大変な事になりそうだ…。
髭が生えてて、年相応に見えていた先生は髭がなくなればとても若く、より麗しくみえた。
澄ました瞳とすらりと伸びた鼻筋、形の良すぎる唇、白く透き通るような肌、どれをとっても宝石の様だと思った。
しかし、アレンと僕の心配を他所に、その後も数日しても髭が再び生えてくる気配もない。
そうこうしている内に、先生の体毛は全て薄く女性のようにツルツルに抜け落ちてしまったのだ。
「ああ、そうだ。」
儀式が終わり奥の間から出てきた先生達は、ルランドにそう告げられ脱力していた。
確かに、あんなに燃え上がった後に「実は準備がまだでした」と告げられれば、怒りたくもなるものだ。
「いやー、すまんすまん!別に騙すつもりは無かったのだが、あのように純粋な愛の形をみるのは暫くぶりでな。つい、より深いものが見たいと思ってしまったのだ。」
ルランドは全く悪びれる様子もない。
「まぁ、そう怒るな。魔術とは違うので、瞬間で変化するものではないが、実の力は本物だ。おそらく一カ月程で身体は作り変えられる。」
一カ月…。それは僕たちが城から出て、エルフの里にたどり着くのに掛かった時間だ。
とすると、丁度城に帰る頃には先生の身体に子宮が出来ているということだろう。
「…そうか。丁度いい。ファガス、城に戻り王から解放されたら、どこか田舎の村で静かに式を上げ、家族をつくろう。」
アレンは先生を抱きしめて、握った手にキスを落とした。
しかし、それをみたルランドが口を挟む。
「あー、しかしな。紋と実がどのように作用するかは私にも分からん。ただ、紋が暴走し始めたら見境がなくなり、誰の子を孕むかも分からなくなる。くれぐれも気をつけよ。」
「…うう、そんな…。」
せっかく2人が正しい形で結ばれたと思ったのに、これではあまりにも可哀想だ。
「あの…、何か紋を静める方法はないのでしょうか?例えば、エルフの精子とか…。」
僕は、以前先生が紋の解放の為に、エルフの血を引く校長とセックスをしていた事を思い出した。
「ああ、そういえば、人間との混血児がそちらで生活をしていると聞くが、あやつも年だろう。混血はエルフの純血とは違い、老いるのが早い。回復の力は低いであろうなぁ。」
そう言いながらルランドが僕の方をじっと見てくる。今までルランドの関心は先生達であって、僕など全くの無関心であったのに、急にどうしたのだろう。
「其方、ピートといったなぁ。千里眼が使えるのか?」
「ええ、まぁ。まだ広い範囲は見えませんが…。先程の儀式に貴方が忍び込んだのも、中で何があったのかも見ていました。」
本当は神秘の儀式を覗くつもりは無かったのに、ルランドが「用をたしてくる。」と言って姿を眩ませてたのを探すうちに、結局儀式を覗き見る事になってしまった。
「ふむ、ピート、おそらく其方はエルフの血を引いておる。千里眼の能力を持つのは本来エルフだけだ。だから、校長と同じく其方の体液にも紋を解放する力がはるはずだ。」
「なっ…!」
びっくりするほどに初耳であった。千里眼は、先祖代々の能力だと聞かされていたが、それがエルフに由来するものだとは…。
しかし、そうなると合点のいくこともある。
それは、先生がこの旅で発情することが少なかったという事だ。
僕個人としては、旅の途中で先生が発情して、もっと役得な事があるかと思ったが、実際はほとんどなかったのである。
それは僕の体液が先生の中に注がれたからという事か。
「若さ故、老いぼれの体液よりも強い効果があるはずだ。」
「………では、ファガスはピートの体液を取り込んでいれば、いつか紋を解消する事ができるのか?」
アレンがルランドを問い詰める。
「まぁ、そういう事になる。エルフの血を引いていれば受精の可能性は限りなく低い。治療だと割り切れ、アレン。」
アレンは、今までは僕が先生を抱く事は寛容であったが、夫婦の契りを結んだ今となっては複雑な思いなのだろう。
「アレン…、また紋の事はゆっくり考えよう。何か共存する手立てがあるかもしれない。ひとまず実を王に届けよう」
先生の提案で、その場は収まったのだ。
しかし、大きな変化があったのは城への帰りの道中だったのだ。
先生とアレンは目を塞ぎたくなるくらいラブラブだったし、先生は僕にも相変わらず優しく接してくれた。
アレンは先生と僕の関係を思い悩んでいる様であったが、それでもどこか吹っ切れたように、僕たちの関係を見守ってくれた。
なにより子宝の実を王の言いつけ通り手に入れて、街に戻れる事が皆嬉しかったのだ。
エルフの里を出て10日程たったある日、変化は突然やってきた。
「ファ、ファガス…?お前、髭は?」
「あ、朝起きたら、、全て抜け落ちてしまっていたのだ…」
先生のお顔に髭がなかったのだ…!!
それはもう、ツルツルで綺麗な顔が剥き出しで、心臓がドキドキしてしまう程に。
「そ、それも実の効果なんですかね?他に変化はありますか?先生?」
「い、いや、他には何も…」
本人も動揺し、自分のアゴをぺたぺたと触っているのだが、それ以上に動揺しているのはアレンだった。
「…っ!ファガス、お前のその顔…学生時代以来だ…!ああー、どうすんだよ!その顔、みんなに見られちまう!!」
「いや、髭が無いだけだ、そんなに違わないだろ…」
「ばかー!お前がそんなに無自覚だから、俺は髭を生やせってアドバイスしたんだぞ!他の奴が寄ってこないように!!」
「なっ!?そんな理由だったのか!!私は、てっきり自分の顔に締まりがないからだとばかり…」
なるほど、先生が髭を生やしていた理由が分かった。アレンが男避けの為に勧めたのだ。確かに、今のお顔で人前に出たら大変な事になりそうだ…。
髭が生えてて、年相応に見えていた先生は髭がなくなればとても若く、より麗しくみえた。
澄ました瞳とすらりと伸びた鼻筋、形の良すぎる唇、白く透き通るような肌、どれをとっても宝石の様だと思った。
しかし、アレンと僕の心配を他所に、その後も数日しても髭が再び生えてくる気配もない。
そうこうしている内に、先生の体毛は全て薄く女性のようにツルツルに抜け落ちてしまったのだ。
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