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それは私が小学校三年生か四年生の頃だったでしょうか。
その日も私は父と銭湯に行きました。
けれど父は休憩スペースで知り合いを見つけるなりテレビを見ながら世間話を始めてしまいまったのです。
私はそれに飽きてしまい、先に浴場へ向かいました。
体を軽く流し、温泉が沸いている方の浴室に入るとお爺さんが一人、背中を丸めて黒褐色のお湯に浸かっていました。
私もその横に、熱いお湯に耐えながらゆっくり浸かりました。
「坊やは、この町に住んでいるのかい?」
お爺さんは私が肩まで湯に浸かると、こう話しかけてきました。
私はその問いに、強張ったように頷きました。
あまり快い反応をしなかったのは、小学校で「知らない人には気をつけて」と指導されたばかりで、このお爺さんにも警戒をしたからです。
それに何より、そのお爺さんの妙に離れてギョロっとした目と、まるで裂けたように大きな口が両生類や魚類を思わせて、気味が悪かった記憶があります。
けれど優しく話しかけてくれたので邪険にすることも出来ず、私はお爺さんの隣に座り続け、しばらくちょっとした会話をしました。
その日も私は父と銭湯に行きました。
けれど父は休憩スペースで知り合いを見つけるなりテレビを見ながら世間話を始めてしまいまったのです。
私はそれに飽きてしまい、先に浴場へ向かいました。
体を軽く流し、温泉が沸いている方の浴室に入るとお爺さんが一人、背中を丸めて黒褐色のお湯に浸かっていました。
私もその横に、熱いお湯に耐えながらゆっくり浸かりました。
「坊やは、この町に住んでいるのかい?」
お爺さんは私が肩まで湯に浸かると、こう話しかけてきました。
私はその問いに、強張ったように頷きました。
あまり快い反応をしなかったのは、小学校で「知らない人には気をつけて」と指導されたばかりで、このお爺さんにも警戒をしたからです。
それに何より、そのお爺さんの妙に離れてギョロっとした目と、まるで裂けたように大きな口が両生類や魚類を思わせて、気味が悪かった記憶があります。
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