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18歳の秋 ハロウィン
ド~ンキ
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ぐっすり眠ったあと、僕とスルトはエドガーのマンションへ行った。エントランスにあるインターフォンを鳴らし、マンションの入り口を開けてもらう。エレベーターに乗ってエドガーの住んでいる部屋まで行った。そこでまたインターフォンを鳴らす。
「ケーゴ、スルトいらっしゃあい!!さ、入って?」
ワクワクした顔のエドガーが顔を出した。部屋に入ると、飾り付けをしているピーターもいた。
「ピーター!」
「おお!ケイゴ!スルト様!こんばんは!」
「お前も来ていたのか。楽しい夜になりそうだな」
ピーターが頑張ったおかげで、エドガーの部屋の中はすっかりハロウィン仕様になっていた。壁にはオレンジや紫、黒の装飾が飾られ、テーブルにお菓子がたくさん積まれている。部屋の隅には顔の形にくりぬいた本物のカボチャまであった。聞いたところによるとピーターの手作りらしい。ピーター…おつかれ…。
「さあ、座って。お酒もたくさん用意したんだよ。ケーゴのためにカシスリキュールとカルーアも買っといたから。オレンジジュースとミルクもね」
「わー!!さすがエドガー!!」
僕はテーブルに座ってさっそくカシスオレンジを作った。エドガーとスルトはワイン、ピーターはビールを注いで乾杯した。おいしそうにカシオレを飲んでいる僕を、他の3人がニコニコと見つめている。
「…なに?」
「いや、挙動ひとつひとつが愛おしいなと思って」
そう言ってエドガーがピーターに目で合図した。ピーターは頷き、スマホを取り出した。
ポロロン
「……」
「あ、気にしないでケイゴ。俺は空気。俺が持っているスマホも空気だ」
「…エドガー、まさかピーターをそのために呼んだんじゃないよね?」
「えっ?あ、いや、もちろんこのためだけじゃないよ…?」
「ピーター…時にはエドガーのこと殴ってもいいんだよ?」
「なんでだ?俺は好きでやっている」
この二人の関係性は、もはや共依存に近い。前世で僕とスルトが死んでしまった後、二人で支え合って生きてきたからなんだろうけど…。まあ二人がそれで幸せならそれでいっか。
「ところでケーゴ。ハロウィンと言ったら、何が思い浮かぶ?」
「え?カボチャ、お菓子、コスプレ…」
コスプレ、という言葉を口に出してから僕は青ざめた。エドガーの顔がニヤッとしたからだ。
「え…うそ、やめてよエドガー?」
「コスプレ、そうだよね。ハロウィンと言ったらコスプレだよねケーゴ?」
「ううん、ちがう、絶対ちがう」
「僕、今日ドン・キホーテに行ったんだけど、たまたま、本当にたまたま、いろんなコスプレ衣装みつけちゃってさ」
「いやあなたドン・キホーテとか普段いかないでしょ?!前世貴族様がドン・キホーテとか行くなよ!!」
「まあ、見つけちゃったらさ、買うしかないなーと思って。とりあえず置いてあったコスプレ衣装全種類買ってきちゃったんだよね」
「全 種 類 !!!」
「スルト、ちょっと手伝って」
「ああ」
エドガーが別の部屋のドアを開けると、そこには…それはもう部屋いっぱいの袋が置いてあった。エドガーとスルトがその部屋へ入りドアを閉める。なにやら袋を開封している音が聞こえてくる。
「…ピーターもドン・キホーテ行ったの?」
「ああ。行ったぞ」
「何種類くらい買ってた?」
「いや、もう分からん。数えきれない」
「はぁ~…」
「ケーゴ!!じゃーん!!」
勢いよく開いたドアの奥には、ドラキュラの恰好をしたエドガーと、海賊の恰好をしたスルトが立っていた。
「ぎゃーーー!!かっこいいいい!!!」
思わずそう叫んでしまうほど、コスプレした二人はかっこよかった。僕は無意識にスマホで二人を連写する。
「なに?!ハリウッドからいらした?!かっこよすぎない?!わーーー!!」
「あはは、喜んでもらえて嬉しいね、スルト」
「着替えただけでこんなに興奮されるのか」
「ピーター!!ピーターも何か着てよ!!」
「そうだね。ピーターはこの服を着てみたら?」
エドガーがピーターに渡したのは、アメリカのポリス衣装だった。ピーターは言われるがままそれを身に付ける。あああピーターもかっこいい!!!なんだここ天国か?!ハロウィン最高じゃん!!
その後も僕は3人にいろんな衣装を着せて楽しんだ。写真を撮りすぎてフォルダが3人でいっぱいになった。
「なんだよお!!エドガー!!最高じゃんかあ!!さっきはボロクソ言ってごめんね?」
「いいんだよ。ケーゴが喜んでくれてうれしい」
僕のチョイスで、最終的にエドガーは医者、スルトはドラキュラ、ピーターは軍服のコスプレ衣装を着てもらい、その恰好のまま4人でお酒を飲んだ。エドガーの医者姿ほんとやばし…なんだかエロい…。
しばらくして僕がほろよいになってきた頃、エドガーが本題に切り込んだ。
「実はケーゴ用のコスプレ衣装も用意してるんだけど、僕たちのために着てくれる?」
「いいよ!僕も着てみたい!」
エドガーが用意した衣装はほとんど全部確認した。でも僕が想像してたようなものはなく、全て男性用のまっとうなものだった。
「良かった!じゃあ、こっちに来て」
「あれ?コスプレ衣装はあっちの部屋じゃ…」
「ううん。あっちは僕たちの衣装。ケーゴ用の衣装はこっち」
エドガーはそう言って先ほどと違う部屋のドアを開けた。そこにも、コスプレ衣装の山…。
「あ、れ…?」
「さあケーゴどれにする?ナース?チャイナドレス?ポリスもあるよ」
「なんで全部女性用なんだよお!!!」
「ケーゴ、スルトいらっしゃあい!!さ、入って?」
ワクワクした顔のエドガーが顔を出した。部屋に入ると、飾り付けをしているピーターもいた。
「ピーター!」
「おお!ケイゴ!スルト様!こんばんは!」
「お前も来ていたのか。楽しい夜になりそうだな」
ピーターが頑張ったおかげで、エドガーの部屋の中はすっかりハロウィン仕様になっていた。壁にはオレンジや紫、黒の装飾が飾られ、テーブルにお菓子がたくさん積まれている。部屋の隅には顔の形にくりぬいた本物のカボチャまであった。聞いたところによるとピーターの手作りらしい。ピーター…おつかれ…。
「さあ、座って。お酒もたくさん用意したんだよ。ケーゴのためにカシスリキュールとカルーアも買っといたから。オレンジジュースとミルクもね」
「わー!!さすがエドガー!!」
僕はテーブルに座ってさっそくカシスオレンジを作った。エドガーとスルトはワイン、ピーターはビールを注いで乾杯した。おいしそうにカシオレを飲んでいる僕を、他の3人がニコニコと見つめている。
「…なに?」
「いや、挙動ひとつひとつが愛おしいなと思って」
そう言ってエドガーがピーターに目で合図した。ピーターは頷き、スマホを取り出した。
ポロロン
「……」
「あ、気にしないでケイゴ。俺は空気。俺が持っているスマホも空気だ」
「…エドガー、まさかピーターをそのために呼んだんじゃないよね?」
「えっ?あ、いや、もちろんこのためだけじゃないよ…?」
「ピーター…時にはエドガーのこと殴ってもいいんだよ?」
「なんでだ?俺は好きでやっている」
この二人の関係性は、もはや共依存に近い。前世で僕とスルトが死んでしまった後、二人で支え合って生きてきたからなんだろうけど…。まあ二人がそれで幸せならそれでいっか。
「ところでケーゴ。ハロウィンと言ったら、何が思い浮かぶ?」
「え?カボチャ、お菓子、コスプレ…」
コスプレ、という言葉を口に出してから僕は青ざめた。エドガーの顔がニヤッとしたからだ。
「え…うそ、やめてよエドガー?」
「コスプレ、そうだよね。ハロウィンと言ったらコスプレだよねケーゴ?」
「ううん、ちがう、絶対ちがう」
「僕、今日ドン・キホーテに行ったんだけど、たまたま、本当にたまたま、いろんなコスプレ衣装みつけちゃってさ」
「いやあなたドン・キホーテとか普段いかないでしょ?!前世貴族様がドン・キホーテとか行くなよ!!」
「まあ、見つけちゃったらさ、買うしかないなーと思って。とりあえず置いてあったコスプレ衣装全種類買ってきちゃったんだよね」
「全 種 類 !!!」
「スルト、ちょっと手伝って」
「ああ」
エドガーが別の部屋のドアを開けると、そこには…それはもう部屋いっぱいの袋が置いてあった。エドガーとスルトがその部屋へ入りドアを閉める。なにやら袋を開封している音が聞こえてくる。
「…ピーターもドン・キホーテ行ったの?」
「ああ。行ったぞ」
「何種類くらい買ってた?」
「いや、もう分からん。数えきれない」
「はぁ~…」
「ケーゴ!!じゃーん!!」
勢いよく開いたドアの奥には、ドラキュラの恰好をしたエドガーと、海賊の恰好をしたスルトが立っていた。
「ぎゃーーー!!かっこいいいい!!!」
思わずそう叫んでしまうほど、コスプレした二人はかっこよかった。僕は無意識にスマホで二人を連写する。
「なに?!ハリウッドからいらした?!かっこよすぎない?!わーーー!!」
「あはは、喜んでもらえて嬉しいね、スルト」
「着替えただけでこんなに興奮されるのか」
「ピーター!!ピーターも何か着てよ!!」
「そうだね。ピーターはこの服を着てみたら?」
エドガーがピーターに渡したのは、アメリカのポリス衣装だった。ピーターは言われるがままそれを身に付ける。あああピーターもかっこいい!!!なんだここ天国か?!ハロウィン最高じゃん!!
その後も僕は3人にいろんな衣装を着せて楽しんだ。写真を撮りすぎてフォルダが3人でいっぱいになった。
「なんだよお!!エドガー!!最高じゃんかあ!!さっきはボロクソ言ってごめんね?」
「いいんだよ。ケーゴが喜んでくれてうれしい」
僕のチョイスで、最終的にエドガーは医者、スルトはドラキュラ、ピーターは軍服のコスプレ衣装を着てもらい、その恰好のまま4人でお酒を飲んだ。エドガーの医者姿ほんとやばし…なんだかエロい…。
しばらくして僕がほろよいになってきた頃、エドガーが本題に切り込んだ。
「実はケーゴ用のコスプレ衣装も用意してるんだけど、僕たちのために着てくれる?」
「いいよ!僕も着てみたい!」
エドガーが用意した衣装はほとんど全部確認した。でも僕が想像してたようなものはなく、全て男性用のまっとうなものだった。
「良かった!じゃあ、こっちに来て」
「あれ?コスプレ衣装はあっちの部屋じゃ…」
「ううん。あっちは僕たちの衣装。ケーゴ用の衣装はこっち」
エドガーはそう言って先ほどと違う部屋のドアを開けた。そこにも、コスプレ衣装の山…。
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