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18歳の秋 同棲生活(書き下ろし)
張り紙
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圭吾、エドガー、スルト、ピーターの同棲生活が決まった翌週の金曜の夜。彼らはまたエドガーの家で一泊した。そして土曜の朝、寝坊助の圭吾以外のメンツがリビングに集まりぼーっとテレビを眺めていた。圭吾がいないと静かで穏やかな時間が流れる。3人はたまに談笑をしてはコーヒーをすすった。
スルトがコーヒーのおかわりを淹れるためにキッチンへ入ったとき、見覚えのあるミミズがのたくったような字が書かれた紙が貼られていることに気付いた。紙にはエドガーが住んでいるマンションの間取り図と、圭吾からのメッセージが書かれている。
「む。なんだこの紙は」
「ケイゴが書いて冷蔵庫に貼ったんです。なんでも俺たちとの同棲生活が楽しみだけど心配らしくて」
「心配?なにを心配することがあるのだ」
「なになに…?"問題1:誰がどの部屋に住むか”って書いてあるね」
「ああ、部屋決めか。そういえば決めていなかったな」
「確かに早めに決めないといけないね。次に"問題2:家事分担どうするか"…」
「家事は俺がしますよ」
「俺も手伝う。やったことはないが」
「僕も手伝うよ。最後に"問題3:僕に睡眠時間はあるのか"…」
「ケーゴは何を言っているんだ。あるに決まってるだろう」
「ほんとうにね。僕たちだってそこまでひどくないよ。まあ、今までよりは減るかもしれないけど」
「人間3時間眠れば生きていける」
「そういうこと」
「?!」
真顔で鬼畜な発言をしたスルトとエドガーを、ピーターは思わず二度見した。目が合った二人は「どうした?」と首を傾げる。
「どうかしたかピーター。おかしな顔をして」
「あっ、いえ」
「思ったことがあるなら遠慮しなくていいよ」
「えー…と、では、発言させていただきます…」
「どうぞ」
「前世と同じであればケイゴは…毎日8時間以上寝ないと不機嫌になります…」
「8時間?そんなに寝たら逆にしんどくならない?」
「俺も前世の護衛グセで睡眠はあまり取らないんで8時間寝る人の気持ちはあまり分からないのですが、ケイゴは前世では毎日8時間以上は寝ていました。夜お二人と過ごした翌日は、昼過ぎまで寝ていましたし」
「確かに今世のケーゴも普段からよく寝るな。休日は一緒に過ごすのだが、夜はすぐ寝るし朝は遅い。しかも熟睡しているからイタズラし放題だ」
「いいなあスルト。ああ早く一緒に住んで僕も寝てるケーゴにイタズラしたい…」
「と、とにかく!睡眠時間が短い時のケイゴはとても不機嫌になります!なので、平日はできるだけ8時間睡眠をさせてあげたほうがいいかと…」
「なるほどね。うん、分かった。平日はぐっすり8時間眠らせてあげよう」
「そうだな」
「ホッ…」
「8時間もイタズラする時間があるなんて楽しみだね、スルト」
「?!」
「だな。今度一緒にドン・キホーテに行くぞエドガー」
「?!?!」
「いいね。行こう行こう」
「…ケイゴごめん…。俺、余計なことしたかも…」
ピーターは二人に聞こえない声で呟きため息をついた。それから3人は、圭吾が貼り付けた紙にそれぞれメッセージを書いた。
「にしてもケーゴの字は汚いな」
「これきっと左手で書いたんだよ」
「いや、こいつは幼少のころからずっと字が下手なのだ」
「そんなわけない。あの顔でこの字はさすがにありえないよ」
「顔と字は関係ないだろう。それを言えばあの顔であの口の悪さだぞ」
「僕は信じないよ」
スルトがコーヒーのおかわりを淹れるためにキッチンへ入ったとき、見覚えのあるミミズがのたくったような字が書かれた紙が貼られていることに気付いた。紙にはエドガーが住んでいるマンションの間取り図と、圭吾からのメッセージが書かれている。
「む。なんだこの紙は」
「ケイゴが書いて冷蔵庫に貼ったんです。なんでも俺たちとの同棲生活が楽しみだけど心配らしくて」
「心配?なにを心配することがあるのだ」
「なになに…?"問題1:誰がどの部屋に住むか”って書いてあるね」
「ああ、部屋決めか。そういえば決めていなかったな」
「確かに早めに決めないといけないね。次に"問題2:家事分担どうするか"…」
「家事は俺がしますよ」
「俺も手伝う。やったことはないが」
「僕も手伝うよ。最後に"問題3:僕に睡眠時間はあるのか"…」
「ケーゴは何を言っているんだ。あるに決まってるだろう」
「ほんとうにね。僕たちだってそこまでひどくないよ。まあ、今までよりは減るかもしれないけど」
「人間3時間眠れば生きていける」
「そういうこと」
「?!」
真顔で鬼畜な発言をしたスルトとエドガーを、ピーターは思わず二度見した。目が合った二人は「どうした?」と首を傾げる。
「どうかしたかピーター。おかしな顔をして」
「あっ、いえ」
「思ったことがあるなら遠慮しなくていいよ」
「えー…と、では、発言させていただきます…」
「どうぞ」
「前世と同じであればケイゴは…毎日8時間以上寝ないと不機嫌になります…」
「8時間?そんなに寝たら逆にしんどくならない?」
「俺も前世の護衛グセで睡眠はあまり取らないんで8時間寝る人の気持ちはあまり分からないのですが、ケイゴは前世では毎日8時間以上は寝ていました。夜お二人と過ごした翌日は、昼過ぎまで寝ていましたし」
「確かに今世のケーゴも普段からよく寝るな。休日は一緒に過ごすのだが、夜はすぐ寝るし朝は遅い。しかも熟睡しているからイタズラし放題だ」
「いいなあスルト。ああ早く一緒に住んで僕も寝てるケーゴにイタズラしたい…」
「と、とにかく!睡眠時間が短い時のケイゴはとても不機嫌になります!なので、平日はできるだけ8時間睡眠をさせてあげたほうがいいかと…」
「なるほどね。うん、分かった。平日はぐっすり8時間眠らせてあげよう」
「そうだな」
「ホッ…」
「8時間もイタズラする時間があるなんて楽しみだね、スルト」
「?!」
「だな。今度一緒にドン・キホーテに行くぞエドガー」
「?!?!」
「いいね。行こう行こう」
「…ケイゴごめん…。俺、余計なことしたかも…」
ピーターは二人に聞こえない声で呟きため息をついた。それから3人は、圭吾が貼り付けた紙にそれぞれメッセージを書いた。
「にしてもケーゴの字は汚いな」
「これきっと左手で書いたんだよ」
「いや、こいつは幼少のころからずっと字が下手なのだ」
「そんなわけない。あの顔でこの字はさすがにありえないよ」
「顔と字は関係ないだろう。それを言えばあの顔であの口の悪さだぞ」
「僕は信じないよ」
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