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20歳の冬
バーテンダーごっこ
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「さて」
婚約イベントが終わり、エドガーがニコニコしながら手を叩いて場を切り替えた。
「じゃあ、さっそくお酒を作ってもらおうかな?僕のかわいいバーテンダーさん?」
「うっ」
「あ、ほらこれ。バーテンダーの衣装買ってきたんだ~。ドン・キホーテで」
「ドン・キホーテご愛用してんじゃねえですよ!!」
さっきまで最高にいい雰囲気だったのに、よくここでバーテンダーの話に戻せるねエドガー?!
嫌な顔をしている僕をよそに3人がカウンターに座った。はやく衣装を着てから酒を作れと目で威圧してくる。僕はしぶしぶ服を着替えて3人が座っている反対側に立った。
「…で?何が飲みたいの?」
「「ブルー・ラグーン」」
「ぐぅぅ…」
それ、磯崎さんが飲んでたやつじゃん!完全に根に持ってるよねこいつら?!
僕はふてくされた顔をしてシャンパングラスを3つ取り出した。カクテルグラスまで一式買ってきやがって…。リキュールとジュースとグラスと果物でぜったい婚約指輪より高くついてるだろ…!
「お酒に強いケーゴくんの分もお願いね」
「こんにゃろぉ…」
カクテルを作りながら毒づく僕を見て、エドガーがクスクス笑っている。スルトは不思議そうに尋ねた。
「しかし、酒に弱いお前がどうしてコクコク飲めていたんだ?酔っている様子も全くなかったぞ」
「ああ、僕が飲んでたものに一切アルコール入ってないよ。お客さん用のリキュールと従業員用のリキュール分けてるんだけど、従業員用は同じ色した水とかジュースとかが入ってる。ウォッカだったら水だし、コーヒー・リキュールだったらただのコーヒー。だからくそまずいんだよね」
「そうだったのか!」
「そうじゃないとΩの僕なんて3杯飲んだらべろべろだよ」
「だろうね」
「でも今日はお前も酒を飲めよ。ここだと酔いつぶれてもいいだろう」
「ええ…」
僕は3人の前にカクテルを置いた。差し出した左手をスルトに、右手をエドガーに掴まれ、手の甲にキスされる。完全に磯崎さんを意識してやがる。
「もう…やめてくださいよ」
「やめない」
「もぉぉ」
「ほら、ケーゴも飲め。お前の作る酒、なかなか美味いぞ」
「えっ、本当?」
「ああ。カクテル作るの上手だね、ケーゴ」
褒められて悪い気はしない。僕は自分の作ったカクテルを飲んでみた。ほんとだ、おいしい。今までお酒の代わりにくそまずい飲料を作って飲んでたから分からなかった。
「僕、バーテンダーの素質あるのでは…?」
「あるかもね」
お酒を飲みながら僕たちは談笑を楽しんだ。ピーターは色んなカクテルを頼んでくれたけど、エドガーとスルトはひたすらブルー・ラグーンを注文し続けた。くそっ。
婚約イベントが終わり、エドガーがニコニコしながら手を叩いて場を切り替えた。
「じゃあ、さっそくお酒を作ってもらおうかな?僕のかわいいバーテンダーさん?」
「うっ」
「あ、ほらこれ。バーテンダーの衣装買ってきたんだ~。ドン・キホーテで」
「ドン・キホーテご愛用してんじゃねえですよ!!」
さっきまで最高にいい雰囲気だったのに、よくここでバーテンダーの話に戻せるねエドガー?!
嫌な顔をしている僕をよそに3人がカウンターに座った。はやく衣装を着てから酒を作れと目で威圧してくる。僕はしぶしぶ服を着替えて3人が座っている反対側に立った。
「…で?何が飲みたいの?」
「「ブルー・ラグーン」」
「ぐぅぅ…」
それ、磯崎さんが飲んでたやつじゃん!完全に根に持ってるよねこいつら?!
僕はふてくされた顔をしてシャンパングラスを3つ取り出した。カクテルグラスまで一式買ってきやがって…。リキュールとジュースとグラスと果物でぜったい婚約指輪より高くついてるだろ…!
「お酒に強いケーゴくんの分もお願いね」
「こんにゃろぉ…」
カクテルを作りながら毒づく僕を見て、エドガーがクスクス笑っている。スルトは不思議そうに尋ねた。
「しかし、酒に弱いお前がどうしてコクコク飲めていたんだ?酔っている様子も全くなかったぞ」
「ああ、僕が飲んでたものに一切アルコール入ってないよ。お客さん用のリキュールと従業員用のリキュール分けてるんだけど、従業員用は同じ色した水とかジュースとかが入ってる。ウォッカだったら水だし、コーヒー・リキュールだったらただのコーヒー。だからくそまずいんだよね」
「そうだったのか!」
「そうじゃないとΩの僕なんて3杯飲んだらべろべろだよ」
「だろうね」
「でも今日はお前も酒を飲めよ。ここだと酔いつぶれてもいいだろう」
「ええ…」
僕は3人の前にカクテルを置いた。差し出した左手をスルトに、右手をエドガーに掴まれ、手の甲にキスされる。完全に磯崎さんを意識してやがる。
「もう…やめてくださいよ」
「やめない」
「もぉぉ」
「ほら、ケーゴも飲め。お前の作る酒、なかなか美味いぞ」
「えっ、本当?」
「ああ。カクテル作るの上手だね、ケーゴ」
褒められて悪い気はしない。僕は自分の作ったカクテルを飲んでみた。ほんとだ、おいしい。今までお酒の代わりにくそまずい飲料を作って飲んでたから分からなかった。
「僕、バーテンダーの素質あるのでは…?」
「あるかもね」
お酒を飲みながら僕たちは談笑を楽しんだ。ピーターは色んなカクテルを頼んでくれたけど、エドガーとスルトはひたすらブルー・ラグーンを注文し続けた。くそっ。
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