78 / 106
20歳の冬 就活(※)
就活
しおりを挟む
「…ん…」
「目が覚めたかい?」
「……」
目の前にいたのは石鹸の香りがする磯崎さんだった。僕は自分の体を見た。体液にまみれ、体中キスマークをついた体。
「あ…ぼ、僕…」
かたかた震えだした僕を磯崎さんが抱きしめてキスをした。僕は磯崎さんの胸に腕をついて拒もうとしたけど、力がかなわずに無理やりキスを続けられる。磯崎さんの匂いと体液で頭がまた真っ白になりそうだ。磯崎さんはそんな僕の体を撫で、おしりにそっと指を添えた。
「っ、やめてください!…んんんっ…!」
指が僕の中に入って来る。その指は僕の弱いところを何度も刺激した。
「あっ…んっ…磯崎さっ…、」
「まだ足りない。もっと君を抱きたいんだ圭吾くん」
「いやだっ!もう僕に触らないで!!離れてください!!この匂い、おかしくなる!!」
「素直になりなさい。おかしくなればいい。私の味を知った君は、もう私以外で満足できないんだから」
「やめろっつってんだろうがぁぁぁっ!!!」
「っ…」
思わず磯崎さんの頬をひっぱたいてしまった。磯崎さんは叩かれた頬を手で覆い僕を見る。その目はいつもの穏やかな磯崎さんじゃなくて、とても冷たかった。でも僕はめげずに叫んだ。
「僕に近づくな!!服返せ!!帰る!!」
「…圭吾くん。意識を失う前までの記憶がないのかい?」
「…ない、けど…」
それを聞いた磯崎さんはニッコリ笑った。
「そうだよね。やっぱり」
「でも、セックスしたんでしょ。今の状況見たら分かりますよ」
「そこからなんだ。ああ。セックスしたよ。金曜の夜に一度、土曜は丸一日、今日は君が意識を失うまでの間で数えきれないほど。何度も何度もね」
「え…?」
「そっか。本当になにも覚えてないんだね。だったら君がそんな態度をとるのも頷けるな」
「ちょ…ちょっと待ってください。なにを言って…。え?今日って土曜日じゃないの…?」
「日曜の夕方。土曜の朝からさっきまで、君は発情期だったんだよ」
「あ…」
そういえば…磯崎さんと朝食をとってる最中に発情期になって…。そうだ…それから僕、磯崎さんと…。で、でも待って。どうして一日半もの間発情期終わらなかったの…?
混乱してる僕に磯崎さんがまたキスをした。僕に覆いかぶさり、脚を開かせる。
「ちょっ!やめろって言ってんじゃん!!」
「あのね圭吾くん。私と君は運命の番なんだよ」
「は?」
「でも君は私とのセックスを覚えていないようだから、今から教えてあげる」
「いやいやいや何言ってんの?!いいです結構です僕には婚約者いますので!!!」
「そんなものになんの意味がある?紙切れで結ばれた相手より、運命で結ばれた相手を選びなさい」
「いやですけど?!ってかなんだよ運命って!!知らんわ!!そんなもんこっちは感じてねえんだわ!!」
「…はは、それが圭吾くんの素なのかな?ずいぶん口が悪いんだね」
「よく言われます!!それよりはやくどいてくれません?!」
「口が悪い圭吾くんも悪くない。それに、きっと私に抱かれたらかわいく鳴くようになるんだろうね」
磯崎さんは涼しい顔をして暴れる僕をおさえつけ、両手をネクタイで縛った。
「ぎゃーーー!!!やめれぇぇぇっ!!外せぇぇっ!!」
それでも僕が激しく暴れるものだから、磯崎さんがためいきをついて起き上がった。諦めてくれたと思ってホッとしていると、磯崎さんがスマホを取り出してどこかへ電話をかけた。
「私だ。縄を持ってきてくれないか」
「…ん?」
「ああ、発情期を終わらせた途端駄々をこねられていてね。縄で縛りでもしないかぎり大人しくしてくれそうになくて。…あー、そうだね。手と…首輪につける鎖も持ってきてくれ」
「……」
「ああ。すぐに。頼んだよ」
「……」
電話を切った磯崎さんと目が合った。しばらくの沈黙のあと、僕は素っ裸で両手を縛られたまま一目散に逃げた。
「あ、圭吾くん待ちなさい!」
「待つわけないよねぇ?!」
廊下へ繋がるドアを開けようとしたら、反対側からドアが開いた。部屋へ入ろうとしていたウェイターが僕を見て「わぁぁっ!」と声をあげた。そりゃそうだ。すっぱだかの人が目の前にあらわれたら誰だってそうなる。
「すみません通してください!」
「いや…でもお客様、あなた今裸ですし…」
「じゃ、じゃあ助けてください!!僕いま襲われそうなんです!!」
「…発情期抜けたんですね、お客様」
「え?」
「正気に戻ったらこんな感じなんですね」
「……」
ウェイターはにやにやしながら僕の体を舐めるように見た。…あれ、この人ただのウェイターじゃない…?
「にしても、磯崎様に抱かれてあの方を嫌がるなんて。そんな人はじめて見ましたよ」
「彼、発情期のときの記憶がないんだ」
いつの間にか僕の背後に立ってた磯崎さんが答える。
「ああ、なるほどぉ」
「だから正気のときに抱いてあげないといけなくて。持ってきてくれたかい?」
「はい、どうぞ」
「……」
磯崎さんがウェイターから袋を受け取った。袋から出てきたのは当然、縄と鎖。ゾッとしてウェイターを押しのけて部屋を出ようとしたけど、二人がかりで取り押さえられてベッドまで引きずられた。暴れる僕をウェイターが馬乗りになっておさえつける。磯崎さんは僕の両手を縄で縛り、縄の端をベッドに括り付けた。そして僕の首輪に鎖を繋げ、鎖の端をベッドに括り付けた縄に繋げる。これで僕はもうベッドから出られなくなってしまった。
「目が覚めたかい?」
「……」
目の前にいたのは石鹸の香りがする磯崎さんだった。僕は自分の体を見た。体液にまみれ、体中キスマークをついた体。
「あ…ぼ、僕…」
かたかた震えだした僕を磯崎さんが抱きしめてキスをした。僕は磯崎さんの胸に腕をついて拒もうとしたけど、力がかなわずに無理やりキスを続けられる。磯崎さんの匂いと体液で頭がまた真っ白になりそうだ。磯崎さんはそんな僕の体を撫で、おしりにそっと指を添えた。
「っ、やめてください!…んんんっ…!」
指が僕の中に入って来る。その指は僕の弱いところを何度も刺激した。
「あっ…んっ…磯崎さっ…、」
「まだ足りない。もっと君を抱きたいんだ圭吾くん」
「いやだっ!もう僕に触らないで!!離れてください!!この匂い、おかしくなる!!」
「素直になりなさい。おかしくなればいい。私の味を知った君は、もう私以外で満足できないんだから」
「やめろっつってんだろうがぁぁぁっ!!!」
「っ…」
思わず磯崎さんの頬をひっぱたいてしまった。磯崎さんは叩かれた頬を手で覆い僕を見る。その目はいつもの穏やかな磯崎さんじゃなくて、とても冷たかった。でも僕はめげずに叫んだ。
「僕に近づくな!!服返せ!!帰る!!」
「…圭吾くん。意識を失う前までの記憶がないのかい?」
「…ない、けど…」
それを聞いた磯崎さんはニッコリ笑った。
「そうだよね。やっぱり」
「でも、セックスしたんでしょ。今の状況見たら分かりますよ」
「そこからなんだ。ああ。セックスしたよ。金曜の夜に一度、土曜は丸一日、今日は君が意識を失うまでの間で数えきれないほど。何度も何度もね」
「え…?」
「そっか。本当になにも覚えてないんだね。だったら君がそんな態度をとるのも頷けるな」
「ちょ…ちょっと待ってください。なにを言って…。え?今日って土曜日じゃないの…?」
「日曜の夕方。土曜の朝からさっきまで、君は発情期だったんだよ」
「あ…」
そういえば…磯崎さんと朝食をとってる最中に発情期になって…。そうだ…それから僕、磯崎さんと…。で、でも待って。どうして一日半もの間発情期終わらなかったの…?
混乱してる僕に磯崎さんがまたキスをした。僕に覆いかぶさり、脚を開かせる。
「ちょっ!やめろって言ってんじゃん!!」
「あのね圭吾くん。私と君は運命の番なんだよ」
「は?」
「でも君は私とのセックスを覚えていないようだから、今から教えてあげる」
「いやいやいや何言ってんの?!いいです結構です僕には婚約者いますので!!!」
「そんなものになんの意味がある?紙切れで結ばれた相手より、運命で結ばれた相手を選びなさい」
「いやですけど?!ってかなんだよ運命って!!知らんわ!!そんなもんこっちは感じてねえんだわ!!」
「…はは、それが圭吾くんの素なのかな?ずいぶん口が悪いんだね」
「よく言われます!!それよりはやくどいてくれません?!」
「口が悪い圭吾くんも悪くない。それに、きっと私に抱かれたらかわいく鳴くようになるんだろうね」
磯崎さんは涼しい顔をして暴れる僕をおさえつけ、両手をネクタイで縛った。
「ぎゃーーー!!!やめれぇぇぇっ!!外せぇぇっ!!」
それでも僕が激しく暴れるものだから、磯崎さんがためいきをついて起き上がった。諦めてくれたと思ってホッとしていると、磯崎さんがスマホを取り出してどこかへ電話をかけた。
「私だ。縄を持ってきてくれないか」
「…ん?」
「ああ、発情期を終わらせた途端駄々をこねられていてね。縄で縛りでもしないかぎり大人しくしてくれそうになくて。…あー、そうだね。手と…首輪につける鎖も持ってきてくれ」
「……」
「ああ。すぐに。頼んだよ」
「……」
電話を切った磯崎さんと目が合った。しばらくの沈黙のあと、僕は素っ裸で両手を縛られたまま一目散に逃げた。
「あ、圭吾くん待ちなさい!」
「待つわけないよねぇ?!」
廊下へ繋がるドアを開けようとしたら、反対側からドアが開いた。部屋へ入ろうとしていたウェイターが僕を見て「わぁぁっ!」と声をあげた。そりゃそうだ。すっぱだかの人が目の前にあらわれたら誰だってそうなる。
「すみません通してください!」
「いや…でもお客様、あなた今裸ですし…」
「じゃ、じゃあ助けてください!!僕いま襲われそうなんです!!」
「…発情期抜けたんですね、お客様」
「え?」
「正気に戻ったらこんな感じなんですね」
「……」
ウェイターはにやにやしながら僕の体を舐めるように見た。…あれ、この人ただのウェイターじゃない…?
「にしても、磯崎様に抱かれてあの方を嫌がるなんて。そんな人はじめて見ましたよ」
「彼、発情期のときの記憶がないんだ」
いつの間にか僕の背後に立ってた磯崎さんが答える。
「ああ、なるほどぉ」
「だから正気のときに抱いてあげないといけなくて。持ってきてくれたかい?」
「はい、どうぞ」
「……」
磯崎さんがウェイターから袋を受け取った。袋から出てきたのは当然、縄と鎖。ゾッとしてウェイターを押しのけて部屋を出ようとしたけど、二人がかりで取り押さえられてベッドまで引きずられた。暴れる僕をウェイターが馬乗りになっておさえつける。磯崎さんは僕の両手を縄で縛り、縄の端をベッドに括り付けた。そして僕の首輪に鎖を繋げ、鎖の端をベッドに括り付けた縄に繋げる。これで僕はもうベッドから出られなくなってしまった。
12
あなたにおすすめの小説
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる