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20歳の冬 就活(※)
帰宅
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「…なあ、ケーゴ」
一旦話がまとまったあと、スルトが気まずそうに声をかけた。僕がスルトの目を見ると、スルトは目を逸らして頭をがしがし掻いた。そしてためらいながら呟く。
「…本当に俺たちでよかったのか…?」
「…え…」
「その…あいつが言ってた…運命の番とやら…と、番にならず後悔はしないか…」
「ま、まってスルト…なに言って…」
「俺はαだが…どうやらお前の運命の番ではないらしい…」
「僕なんてそもそもβだしね」
「ス、スルト…?エドガーまで…」
「あの時はイソザキにああ言ったが…、今後お前は俺たちで満足できるのか…?俺はあんなお前を…一度も見たことがなかった…」
「…スルトやめてよ…」
「正直に言うと、お前を抱くのがこわい。以前のように悦んでくれないお前を見るのが…すごくこわい」
「……」
「僕はそれほど気にしてないよ。だってさっきも言ったけどそもそもβだしね。α性に対する劣等感はもともとあった。その上で僕はケーゴに悦んでもらえるように努力してきたつもり。もしケーゴが今までのセックスで満足できない体になってしまったら、僕は今のケーゴに悦んでもらえるように頑張るだけだよ」
「ですがスルト様はこんな気持ち初めてなのでしょう。だってαの中でもかなり強い性を持っていらしてたんだから」
また気まずい沈黙が流れる。僕は立ち上がってスルトの前でしゃがんだ。
「…スルト。ごめんね…」
「……」
「スルトとエドガー以外の人に…何度も抱かれて…悦んじゃって。それを見せてしまって…。本当にごめん」
「……」
「磯崎さんが言ってた。僕の中の形、変わっちゃったって。あの人の体以外じゃ満足できない体になったって」
「……」
スルトの両頬に手を添えてこちらを向かせると、スルトはおそるおそる僕の目を見た。涙がポロポロ流れてる。
「…そんな僕でも、まだ好きでいてくれる?」
「俺が…お前を愛さなくなることは…今後一生ありえない…っ」
「…スルトォ…っ」
スルトの言葉で僕もぶわっと涙を溢れさせた。ためらいがちにスルトの背中に腕をまわすと、スルトは力強く抱き返してくれた。それで我慢してたものが溢れかえる。僕は声をだしながら泣いた。
「こんなっ…!こんな汚くなった僕でもっ…他のやつの体で悦ぶような僕でもっ…!ずっと好きでいてくれる…っ?」
「愛しているから辛いんだ…っ!嫌いになれないから苦しいんだっ…!俺はっ…たとえ運命の番であっても…あいつにお前を渡したくないっ…!だがこわいんだ…っ!お前がいつか…俺に愛想をつかしてあいつの元へ戻ってしまうのではないかと…っ」
「あんなやつが運命の番ならっ、そんなのいらないっ…!今世も、来世も、ずっとずっと…!僕はスルトとエドガーじゃないといやだ…っ!!ピーターがそばにいてくれないといやだぁっ…!僕、三人以外に触れられたくないよっ…、どんなに気持ち良くたって、ほかのやつに抱かれるのはいやだぁっ…」
抱き合いわんわんと泣いている僕とスルトを、エドガーとピーターが見守っている。しばらくしてエドガーが僕たち二人を抱きしめた。
「僕はたとえケーゴがイソザキを選んでも手放すつもりはなかったよ。もし今後ケーゴがイソザキの元へ戻ろうとしたって手放さない。そうなったらケーゴに鎖を繋いでこの家に閉じ込めるつもりだからね」
「ひぅ…っ?」
「その時はイソザキのことなんて忘れてしまうくらい可愛がってあげるからね。手足を縛って、目隠しをして、体と道具を使って眠る暇もなく絶頂させ続けてあげる」
「エ…エドガーさん…?」
「…ケーゴ、あまり聞くな…。こいつ、平常に見えてかなり頭がおかしくなっているようだ」
「体がイソザキの形になった?問題ないよ。何度も何度も抱き続けてまた僕とスルトの形に戻せばいいだけだから。時間はいくらでもあるんだ。形が元に戻るまでずっとずっと、ずーっと抱き続けてあげる。ね、スルトそうでしょ?」
「あ、ああ。そうだな…?」
一旦話がまとまったあと、スルトが気まずそうに声をかけた。僕がスルトの目を見ると、スルトは目を逸らして頭をがしがし掻いた。そしてためらいながら呟く。
「…本当に俺たちでよかったのか…?」
「…え…」
「その…あいつが言ってた…運命の番とやら…と、番にならず後悔はしないか…」
「ま、まってスルト…なに言って…」
「俺はαだが…どうやらお前の運命の番ではないらしい…」
「僕なんてそもそもβだしね」
「ス、スルト…?エドガーまで…」
「あの時はイソザキにああ言ったが…、今後お前は俺たちで満足できるのか…?俺はあんなお前を…一度も見たことがなかった…」
「…スルトやめてよ…」
「正直に言うと、お前を抱くのがこわい。以前のように悦んでくれないお前を見るのが…すごくこわい」
「……」
「僕はそれほど気にしてないよ。だってさっきも言ったけどそもそもβだしね。α性に対する劣等感はもともとあった。その上で僕はケーゴに悦んでもらえるように努力してきたつもり。もしケーゴが今までのセックスで満足できない体になってしまったら、僕は今のケーゴに悦んでもらえるように頑張るだけだよ」
「ですがスルト様はこんな気持ち初めてなのでしょう。だってαの中でもかなり強い性を持っていらしてたんだから」
また気まずい沈黙が流れる。僕は立ち上がってスルトの前でしゃがんだ。
「…スルト。ごめんね…」
「……」
「スルトとエドガー以外の人に…何度も抱かれて…悦んじゃって。それを見せてしまって…。本当にごめん」
「……」
「磯崎さんが言ってた。僕の中の形、変わっちゃったって。あの人の体以外じゃ満足できない体になったって」
「……」
スルトの両頬に手を添えてこちらを向かせると、スルトはおそるおそる僕の目を見た。涙がポロポロ流れてる。
「…そんな僕でも、まだ好きでいてくれる?」
「俺が…お前を愛さなくなることは…今後一生ありえない…っ」
「…スルトォ…っ」
スルトの言葉で僕もぶわっと涙を溢れさせた。ためらいがちにスルトの背中に腕をまわすと、スルトは力強く抱き返してくれた。それで我慢してたものが溢れかえる。僕は声をだしながら泣いた。
「こんなっ…!こんな汚くなった僕でもっ…他のやつの体で悦ぶような僕でもっ…!ずっと好きでいてくれる…っ?」
「愛しているから辛いんだ…っ!嫌いになれないから苦しいんだっ…!俺はっ…たとえ運命の番であっても…あいつにお前を渡したくないっ…!だがこわいんだ…っ!お前がいつか…俺に愛想をつかしてあいつの元へ戻ってしまうのではないかと…っ」
「あんなやつが運命の番ならっ、そんなのいらないっ…!今世も、来世も、ずっとずっと…!僕はスルトとエドガーじゃないといやだ…っ!!ピーターがそばにいてくれないといやだぁっ…!僕、三人以外に触れられたくないよっ…、どんなに気持ち良くたって、ほかのやつに抱かれるのはいやだぁっ…」
抱き合いわんわんと泣いている僕とスルトを、エドガーとピーターが見守っている。しばらくしてエドガーが僕たち二人を抱きしめた。
「僕はたとえケーゴがイソザキを選んでも手放すつもりはなかったよ。もし今後ケーゴがイソザキの元へ戻ろうとしたって手放さない。そうなったらケーゴに鎖を繋いでこの家に閉じ込めるつもりだからね」
「ひぅ…っ?」
「その時はイソザキのことなんて忘れてしまうくらい可愛がってあげるからね。手足を縛って、目隠しをして、体と道具を使って眠る暇もなく絶頂させ続けてあげる」
「エ…エドガーさん…?」
「…ケーゴ、あまり聞くな…。こいつ、平常に見えてかなり頭がおかしくなっているようだ」
「体がイソザキの形になった?問題ないよ。何度も何度も抱き続けてまた僕とスルトの形に戻せばいいだけだから。時間はいくらでもあるんだ。形が元に戻るまでずっとずっと、ずーっと抱き続けてあげる。ね、スルトそうでしょ?」
「あ、ああ。そうだな…?」
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