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第一章
俺の悩み
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恵まれた容姿、金持ちの両親。そんでもって愛想が良くてちょっと天然の俺。
俺のことを中途半端に知っている人はだいたいこう言う。
「悩みなんてないんじゃない?」
あるわボケ。
お前らは俺のことを、女をとっかえひっかえしているヘラヘラしたヤツだと思っているだろうが、実は違う。
毎回俺がフラれてんだよ。もしくは浮気されていたのが発覚して別れるかのどっちかだ。なんでか分かるか?
びっくりするほど早漏だからだよバカ野郎。
早漏なくらいでフラれるかと思ったお前。俺を一般的な早漏と一緒にするな。
毎回挿入して一分足らずで射精される女の子の気持ちにもなってみろ。そりゃあ嫌にもなるだろう。
俺だってできるだけ我慢しているんだ。コンドームを三枚重ねて挿入したこともある。だがな、0.02ミリを三枚重ねても0.1ミリにも満たないんだよ。そんなもん俺にとったらほぼ無意味だ。
0.1ミリにしようと思ったら五枚重ね。そんなことしたらさすがに俺のちんこがうっ血して真っ青になる。
まあそんな感じで、俺は幾度となく彼女にフラれたり浮気されたりを繰り返してきたわけだ。
実は今日も彼女の浮気が発覚した。さすがに「早漏だから浮気した」とは言われなかった。その代わりに、「寂しかった」とか「満たされなかった」とかぼんやりした言葉をたくさん並べられた。
ちんこ以外は気に入っているのか、彼女は別れたくないと泣きわめいていた。
でも、自分の息子が愚弄されたとなっちゃあ許すことはできない。愚息であっても俺にとっては可愛い可愛い大切なものなんだ。
◇◇◇
彼女と別れた俺は、暮らしているマンションに真っすぐ帰った。
玄関を開けると、灯りがついたリビングからテレビの音が聞こえてくる。
リビングでは、ルームメイトがサッカー観戦をして一人でわいわい盛り上がっていた。帰ってきた俺にも気付かないほど熱中している。俺は何も言わずにそいつの隣に座った。
ルームメイト、大地(だいち)は、やっと俺に気付いたかと思えば大げさにのけぞる。
「おっ!? あれ、爽(そう)、帰ってきたのか!? 今日はチカちゃんちで泊まるって……」
「浮気されてた」
「はあっ!? またかよお前!!」
「またちんこの尊厳を踏みにじられた……」
深いため息を吐き項垂れる俺に、大地は憐れみをたっぷり込めた目を向けた。
大地と俺は小学からの付き合いで、大学生になった今でも、こうしてルームシェアをするくらいには仲が良い。
金持ちだが自活力が底辺の俺は、家賃と最低限の生活費を支払い、貧乏だが家事ができる大地は、俺の身の回りの世話を甲斐甲斐しくしてくれる。
俺の親も、大地がいてくれるなら安心だと言って一人暮らし(?)を許可してくれた。
そして大地の親は、大地の分まで支援してくれてありがとうありがとうと泣きながら何度もお礼を言っていた。
これぞWin-Winの関係だ。
そんな大地とルームシェアを始めてまだ半年足らずだが、気心知れている幼馴染だからか、互いに気楽に過ごしているため今のところストレスなんて全くない。
そして大地は、俺が早漏であることも、今まで幾度となく彼女に浮気をされてきたことも知っている。
「大学入ってからは順調だと思ってたんだけどなあ。……なあ、爽、お前ってマジでそんなに早漏なの?」
「少なくとも浮気されるくらいには早漏だが!?」
「いやー、何回聞いても早漏が原因で浮気されるなんて信じられなくてな……」
「はは……たぶん実際見たらビックリすると思うぜ……」
「爽のソウは早漏のソウだったのか……」
「ぶっ殺すぞ」
だってさ、と大地がクスクス笑う。なにがおもろいねん。
「俺は逆に、遅漏でフラれてんだぜ?」
そう、大地は俺と正反対の悩みを持っている。大地のチは遅漏のチだ。
「それこそ信じらんねえ……。女子からしたら嬉しいもんじゃないの? 遅漏って」
「バカだな。女の子でもなあ、中イキできるくらい開発されてる子なんて少ないんだよ。中が気持ちいいと思えない子はたくさんいる。そんな子にとっちゃあ、延々と中に異物を出し入れし続けられるのは苦行でしかねえ」
「だったら早漏でいいじゃねえかよぉ!! ワガママ言うなよクソがぁぁっ!」
癇癪を起してクッションを床に投げつけた俺に、大地は苦笑いした。
「俺らを足して二で割ったらちょうどいいんだろうなあ」
早漏の俺と、遅漏のルームメイト、大地。
反対の理由で女性にフラれ続けた俺たちは、もはや正気じゃなかったのかもしれない。
だから、大地はあんなことを持ち掛けてきて、俺はそれに頷いてしまったんだ。
俺のことを中途半端に知っている人はだいたいこう言う。
「悩みなんてないんじゃない?」
あるわボケ。
お前らは俺のことを、女をとっかえひっかえしているヘラヘラしたヤツだと思っているだろうが、実は違う。
毎回俺がフラれてんだよ。もしくは浮気されていたのが発覚して別れるかのどっちかだ。なんでか分かるか?
びっくりするほど早漏だからだよバカ野郎。
早漏なくらいでフラれるかと思ったお前。俺を一般的な早漏と一緒にするな。
毎回挿入して一分足らずで射精される女の子の気持ちにもなってみろ。そりゃあ嫌にもなるだろう。
俺だってできるだけ我慢しているんだ。コンドームを三枚重ねて挿入したこともある。だがな、0.02ミリを三枚重ねても0.1ミリにも満たないんだよ。そんなもん俺にとったらほぼ無意味だ。
0.1ミリにしようと思ったら五枚重ね。そんなことしたらさすがに俺のちんこがうっ血して真っ青になる。
まあそんな感じで、俺は幾度となく彼女にフラれたり浮気されたりを繰り返してきたわけだ。
実は今日も彼女の浮気が発覚した。さすがに「早漏だから浮気した」とは言われなかった。その代わりに、「寂しかった」とか「満たされなかった」とかぼんやりした言葉をたくさん並べられた。
ちんこ以外は気に入っているのか、彼女は別れたくないと泣きわめいていた。
でも、自分の息子が愚弄されたとなっちゃあ許すことはできない。愚息であっても俺にとっては可愛い可愛い大切なものなんだ。
◇◇◇
彼女と別れた俺は、暮らしているマンションに真っすぐ帰った。
玄関を開けると、灯りがついたリビングからテレビの音が聞こえてくる。
リビングでは、ルームメイトがサッカー観戦をして一人でわいわい盛り上がっていた。帰ってきた俺にも気付かないほど熱中している。俺は何も言わずにそいつの隣に座った。
ルームメイト、大地(だいち)は、やっと俺に気付いたかと思えば大げさにのけぞる。
「おっ!? あれ、爽(そう)、帰ってきたのか!? 今日はチカちゃんちで泊まるって……」
「浮気されてた」
「はあっ!? またかよお前!!」
「またちんこの尊厳を踏みにじられた……」
深いため息を吐き項垂れる俺に、大地は憐れみをたっぷり込めた目を向けた。
大地と俺は小学からの付き合いで、大学生になった今でも、こうしてルームシェアをするくらいには仲が良い。
金持ちだが自活力が底辺の俺は、家賃と最低限の生活費を支払い、貧乏だが家事ができる大地は、俺の身の回りの世話を甲斐甲斐しくしてくれる。
俺の親も、大地がいてくれるなら安心だと言って一人暮らし(?)を許可してくれた。
そして大地の親は、大地の分まで支援してくれてありがとうありがとうと泣きながら何度もお礼を言っていた。
これぞWin-Winの関係だ。
そんな大地とルームシェアを始めてまだ半年足らずだが、気心知れている幼馴染だからか、互いに気楽に過ごしているため今のところストレスなんて全くない。
そして大地は、俺が早漏であることも、今まで幾度となく彼女に浮気をされてきたことも知っている。
「大学入ってからは順調だと思ってたんだけどなあ。……なあ、爽、お前ってマジでそんなに早漏なの?」
「少なくとも浮気されるくらいには早漏だが!?」
「いやー、何回聞いても早漏が原因で浮気されるなんて信じられなくてな……」
「はは……たぶん実際見たらビックリすると思うぜ……」
「爽のソウは早漏のソウだったのか……」
「ぶっ殺すぞ」
だってさ、と大地がクスクス笑う。なにがおもろいねん。
「俺は逆に、遅漏でフラれてんだぜ?」
そう、大地は俺と正反対の悩みを持っている。大地のチは遅漏のチだ。
「それこそ信じらんねえ……。女子からしたら嬉しいもんじゃないの? 遅漏って」
「バカだな。女の子でもなあ、中イキできるくらい開発されてる子なんて少ないんだよ。中が気持ちいいと思えない子はたくさんいる。そんな子にとっちゃあ、延々と中に異物を出し入れし続けられるのは苦行でしかねえ」
「だったら早漏でいいじゃねえかよぉ!! ワガママ言うなよクソがぁぁっ!」
癇癪を起してクッションを床に投げつけた俺に、大地は苦笑いした。
「俺らを足して二で割ったらちょうどいいんだろうなあ」
早漏の俺と、遅漏のルームメイト、大地。
反対の理由で女性にフラれ続けた俺たちは、もはや正気じゃなかったのかもしれない。
だから、大地はあんなことを持ち掛けてきて、俺はそれに頷いてしまったんだ。
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