おじ専女子の望まぬモテ期

蛭魔だるま

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 1人で中庭を歩いているとき声をかけられた。

「お嬢さーん、ちょーっとお話いいですかー?」

 どうせ勧誘だろうと無視した。

「ちょっと!はい、ストーップ」

 私の前に立ち、大げさに両手を前に出した。

「なんだ、史郎か」

 若干イラっとしながらもその人の顔を見ると知り合いだった。フットサルサークルの後輩、私とリサ先輩が勧誘した男だ。

「もーなんだじゃないですよ緋色ちゃん先輩!最近部室にも来てくれないし寂しかったんですから」
「春から聞いてないの?私辞めたよ」
「ええ!?知らないんですけど!なんで俺より先に春先輩に言うんすか!」

 頬っぺたを膨らませて怒った顔をしている。こういうところは私の同期や先輩たちからあざと可愛いと人気だったな。

「なんでってこの前部活のこと聞いてきたからその時に」
「もー俺に一番に伝えないとダメじゃないですか」
「なんで?」
「いやいやいや、俺のこと勧誘したの緋色ちゃん先輩でしょー?責任取ってもらわないと」
「責任って」
「罰としてー、俺とこの後ご飯行きましょーよー」
「え!?…ちょっと待って、財布確認してからで」

 バッグを漁っていると手を掴まれた。

「ダメっす。今回は俺が奢りまーす」

 私の手をそのまま掴んで歩き出した。

「後輩に出してもらうほど落ちぶれてないでーす。てか部活は?」
「俺もやめました、今」

 ニコニコ顔で振り返ってきた。

「いやいやいや」
「だーってー、緋色ちゃん先輩いないとつまんないし」

 面と向かってそう言われると恥ずかしさもあるけど、嬉しさが勝つ。

「仕方ない、ちょっとお高いお肉でも奢ってやるか」
「いや、俺が奢るって言ってますよね」

 私たちは無言で見つめ合った。たぶん、目をそらした方が奢られることになるだろう。後輩に奢られるわけにはいかない。

「あれ、緋色?…と、史郎か」

 勧誘のチラシを持った春が近づいてきた。

「げっ春先輩」

 少し不機嫌そうな春と、思いっきり嫌そうな顔をする史郎。

「何してんの?」

 なんか目線が下に…。史郎に掴まれたままの手を見ているようだ。

「ちょっと喋ってただけだよ」

 私のせいで史郎まで部活やめることはまだばれたくない。私は悪くない気もするけど、史郎と一緒に怒られる気もするから。

「史郎、サボってないでちゃんと勧誘しろよ」
「あ、俺サークルやめました」
「「は!?」」

 言うんかい。私の気遣いを返せ。

「あー春センパーイ」

 女子3人が春のもとに寄ってきた。私が知らないからたぶん勧誘した後輩なのだろう。

「じゃあ、そういうことで。お疲れーっす」

 私の手を引き史郎はどんどん進んでいった。

「おい!」

 近くにいる女子を無下に出来ず女子と私たちを交互に見ている。

「大丈夫ー、私が説得しとくからー」

 春に手を振って学校を後にした。
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