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第一章.死後の世界へ
§1.死後から始まるデスディニー4
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自分の葬儀を見るまでは死を認めないとはいったものの、太一たちには全くの情報がない。葬儀がいつ何処で行われるのか、まずは情報を入手しなければならなかった。
「家に帰ればいいんじゃないか?」
「うーん、おそらくご両親は葬儀の準備でご自宅にはいらっしゃらないかと」
太一の提案はあえなく却下されてしまう。
本当に太一の葬儀が行われるのだとすれば、真由美のいっていることはもっともだ。しかし、実家がダメだとしたら他にどこから情報を手に入れられるか、太一には思いつくことが出来ない。
「多分、学校でしたら情報を聞き出せると思いますよ」
真由美の的を得た意見を聞いて、太一も思わず納得してしまう。
確かに、同級生が突然死んだなどという大ニュースともなれば、暇を持て余している高校生の話題としては恰好の的になるだろう。そこから情報を聞き出すことは、さほど難しいことではないと思われる。
低スペックだと思っていた真由美から、まさかの名案が出たことに若干の戸惑いはあるが、太一はその意見に従うことにした。
太一の通う高校は、自宅から駅を跨いで一キロほど歩いた所に位置している。
元々、合格発表の後に学校へ寄るつもりだったこともあり、現在地からはさほど離れてはいない。ぎりぎり徒歩圏内と言えるだろう。少し面倒だが、頼みの綱の自転車が消えてしまったので歩くしかない。
太一が諦めて歩き出そうとすると、真由美にコートの袖を掴まれてしまった。
「なんだよ? 学校行くんだろ?」
「あ、えっと……」
まさか土壇場になって「やっぱり葬儀なんてありません。あなたは死んでなどいません」とでも言うのではないかという期待が太一を包む。しかし、そんな淡い期待は一瞬で蹴散らされてしまうのだった。
「車、あっちに停めちゃったんで、取りに行ってもいいですか……?」
そういいながら、真由美は逆方向を指差す。
肩透かしな返答にがっくりしながらも、ここで断れば半永久的に袖を離してもらえないだろうと思い、太一は仕方なく頷いた。
真由美の車は、踏切を渡り、駅前通りを越えた県道脇に路駐されていた。学校とは逆方向で、これにより十分程度のロスが生じてしまう。
早く真相を知って解放されたい太一としては、少し損してしまった感が否めなかった。
「なんでこんなとこに停めたんだよ?」
「え、あ、あの……いまいち椎名さんの居場所が見つけられなくて。歩いて探そうかと」
太一はロスを責めるような質問をするが、真由美の返答はマヌケなものだった。先程の名案に思わず感心してしまったが、やはり彼女の素はこうなのだろう。
太一のそんな心中に全く気付くことなく、真由美は鞄から車の鍵を取り出し、キーレス装置のボタンを押した。解錠を知らせるハザードが二回光り、それを確認した真由美は、太一に助手席へ座るよう指示する。太一はそれに素直に従い、車へと乗り込んだ。
内装はシンプルなもので、後付けでなにかを追加した様子もなく、車内を彩る小物類の一つも置かれていない。そもそも車種自体もベーシックなコンパクトカーで、色もホワイト。まるで、どこかの社用車のようだ。
太一がそんなことを考えていると、後部座席に鞄を置いた真由美が運転席へと乗車する。
「では、学校までの道案内をお願いしてもいいですか?」
真由美はシートベルトを締めながら太一に聞く。
その流れ自体は一応さまになってはいるのだが、どうしても彼女の容姿から運転している姿が想像できない。そもそも、アクセルペダルに足が届くのか不安で仕方がない。
「あ、あのー、道案内を……」
「ん? あ、あーごめんごめん。おっけー道案内するよ」
真由美への失礼な想像を停止し、太一は道案内を約束する。
その返答に満足したのか、真由美はホッとした表情で鍵を回した。すると、控えめながらも頼もしい音を立ててエンジンが掛かる。それと同時に真由美はハンドルを握った。
「それでは出発しますね」
そういって、真由美はギアをドライブに入れ、サイドブーレーキを下ろす。最後にウィンカーを右に出すと、車体はゆっくりと前進を開始した。
(一応はちゃんと運転できるんだな)
しかし、太一の褒賞も虚しく、二人の乗る車はすぐ前を走る車へと突っ込んで行くではないか。
「ちょっ! なななななにやってんの!? ブレーキブレーキ! 止まれって!!」
だが、車は太一の呼び掛けに聞く耳を持たず、ぐんぐんとスピードを上げていく。
これには思わず太一も目をつぶり、体を丸め込んでしまう。
「どうかなさいましたか?」
真由美の素っ頓狂な声を聞き、太一はゆっくりと目を開ける。すると、車は何事もなかったかのように走行を続けているではないか。
「あ、あれ?」
「ビックリさせちゃいましたか?」
「え、あ、えっと……」
「この車も霊体で生成されていますので、衝突することはありませんよ」
真由美にそういわれて、今の状態を思い出す。
人だけではなく、自転車さえも自分をすり抜けてしまう状態だ。車がすり抜けて行ったとしても不思議ではない。
「それにしたって心の準備ってもんは必要だろうが! 前持って注意を促してなさいよ!!」
「あ、いや、もうご理解頂けてるものだとばかり……」
「だまらっしゃい!!」
その後、なんとか落ち着きを取り戻した太一は、学校までの道案内を再開する。
学校へは、駅前通りを元来た方へと進み、国道へと右折。更に、そこから二つ目の信号を左折し、百メートル程走れば到着する。車で移動すれば十分と掛からず到着できる距離だ。
しかし、太一たちが移動に要した時間は僅か四分。衝突しないことを活かし、真由美が一切止まることなく車を走らせたからだ。その間、太一の悲鳴が途絶えなかったのはいうまでもない。
「着きましたね」
車を降りた真由美は、軽く体を伸ばしながら太一に声を掛ける。
当の太一の表情は青ざめており、笑顔で彼女への返答を熟すのは不可能だろう。
「し、死ぬかと思った……」
「ですから、もう亡くなられてるんですって」
「お前な……」
真由美の空気を読まない言葉が、太一を一瞬イラつかせる。しかし、迎え撃つ元気もない太一は、諦めて学校へと入ることにした。
校門をくぐると視界いっぱいに広がる黄土色の校庭。体育の授業中なのか、緑色のジャージを着た生徒たちが、この二月の寒さにも負けず砂埃を巻き上げ走っている。
太一の通う高校は、学年ごとにジャージやネクタイの色を変えている。校庭を駆け巡っている生徒たちのジャージを見るに、彼らは一年生ということだろう。
(いいな、一年生は。悩みとか無さそうで。受験とか受験とか受験とか……)
やはり、学校へ来ると思い出してしまう。ショックのあまり無意識で地元へと帰還し、わけの分からぬまま死亡を宣告され、物体に触れられなくなって。
目まぐるしく駆け巡った非日常。
しかし、どれだけのことがあろうと、太一にとって今日は合格発表の日であって、不安ながらもこの日を待ち望んでいた。そして、どれだけのことがあろうとも結果は不合格で、それは必要以上に彼の心へと重くのし掛かる。
自分の努力は報われなかった。応援してくれた人の期待に応えられなかった。
次第に目頭は熱くなり、胸から喉へと空気が逆流してくる。
せめて、涙は流すまいと顔を上へと向けた。
すると、ふと視界に入る大時計。どこの学校にもあるシンプルな時計だ。故に、どれだけ劣化しようともその存在感は学校随一、学校の代名詞ともいえよう。
そんな大時計は堂々と三時半を示している。
「あ、早くしないと授業終わっちまう」
三年生は今自由登校期間で、登校している生徒も多くはない。
とはいえ、進路の決まった生徒達に向けて授業自体は平常通り行われているのだ。
太一の記憶によれば、この授業が今日の最終授業。これが終わってしまえば、生徒達は散り散りになってしまう。
それでも情報は集まるのであろうが、生徒同士の噂話など信憑性に欠ける。おそらく、自分が本当に死んでいるのなら、授業終わりにでも担任からなんらかの告知があるはずだ。
そう考えて、二人は教室へと移動を開始しようとした。
しかし、教室へと急ごうとした矢先、重要事項などを述べるためのチャイムが響き渡る。音の出処は校舎に備え付けられたスピーカー。
それを聞いた太一たちは足を止め、移動を中断する。
『校内にいる三年生は、授業を中断して体育館へ集合してください』
それだけを告げて放送は終了した。
授業を中断してまで三年生を集める意味。それは、きっと超重要事項であることは間違いない。
太一に嫌な予感が走る。
「た、体育館……行ってみますか?」
流石の真由美も太一から出る刺々しい雰囲気を察したのか、どこか遠慮した言葉遣いで意見を述べる。
真由美の言葉は疑問形で終わっているが、ここで断るという選択肢は存在しない。太一は必死で不安を押しとどめ、無言で頷いた。
体育館は校舎南側に隣接しており、校舎から伸びる渡り廊下を通って行く。だが、二人がいる校門付近から校舎内を通って行くと、かえって遠回りになってしまう。幸いなことに渡り廊下は一部外を通っているため、校庭を突っ切ればダイレクトに渡り廊下へ進入することができる。
太一は迷わずそのルートを選択し、早歩きで体育館へ向かう。
真由美も置いていかれまいと必死に小さな体を動かし、なんとか太一について行く。
ちょうど渡り廊下に差し掛かったところで、校舎から生徒達が次々と現れ出した。急いだ甲斐もあって、これから始まる緊急集会には一秒も遅れずに済みそうだ。
そんな緊迫した太一とは裏腹に、生徒達の大半は実に面倒臭さそうな顔をしている。中には、居眠りの妨害をされた不満を嘆く生徒や、放課後の予定を気にする生徒までいる始末だ。
(お前ら、人の生死が掛かってんだからさ)
気を取り直して体育館へと入場すると、やはりというか生徒達は中々並ばない。隅で無駄話に花を咲かせる生徒、追いかけっこをし出す生徒まで多種多様だ。
どちらかというと、太一も整列をしないでおふざけをしてしまう生徒だったのだが、今の状況では苛ついてしまう。自分を棚に上げるわけではないが、今回ばかりは本気で早くして欲しいと懇願するのであった。
数分後、やっと静かになった頃合いを見て舞台に一人の中年男性が上がる。
中肉中背のいたって特徴のない男。だが、そんな彼でもこの学校で教師達を統べる教頭なのだから世の中分からない。太一もこれといって接点があったわけではないので、彼の能力は未知数ではあるが。
とはいえ、彼がこの緊急集会の重要事項を持っているのは間違いない。太一は、大人しく教頭の話に耳を傾けることにした。
そして、教頭は舞台中央に置かれたスタンドマイクに向かい喋り出した。
『皆さんが静かになるのに七分掛かりました』
「ちょぉぉ! お前! そのくだりやりたかっただけだろぉぉ!!」
人の気も知らずに、お決まりのネタをいい出す教頭。これには堪らず太一も声を荒げてしまった。
教頭は集会の度に必ずこのセリフを吐く。生徒達の間では、これを言いたいが為に騒ぐ生徒をあえて注意しないのではないかと思われている。緊急集会の場でも変わらず言っているのだから、もはや疑いの余地はないだろう。
なんにしても、一応は会場が静かになった。
思わず声を荒げた太一だが、当然今の彼の声が届くはずもなく集会は進む。言いたいことを言えてか満足気な顔をした教頭は、一つ咳払いをして続きを語り出した。
『えー、先ほど三ーCの椎名太一君が……交通事故で亡くなられたとの連絡が入りました……』
静まり返る館内。その中で太一の心臓だけが激しく音を立て、まるで胸を突き破る勢いで脈打つ。 このまま倒れてしまいたいという思考に駆られるが、どうも思い通りにはいかないらしい。身体の感覚は一瞬で消え失せ、まるで鉛の様に重く、脳からの信号を一切受け付けない。ただ心臓だけがひたすら強く動作を続け、心音だけが虚しく鳴り響く。
こんなにも強く、こんなにも激しく心臓は動いているのに、自分は死んでいる。そんな矛盾した状況を誰が素直に受け入れられるだろうか。
否、受け入れられるはずはない。
「おいっ! なぁお前っ! おいって! 見えてんだろ? 聞こえてんだろぉーが!!」
感情に身を任せ、命令に従わない体を無意識に動かす。
しかし、太一の声は誰にも届かない。近くにいた生徒に手を掛けても、空気のようにすり抜けるだけだ。
それでも太一は必死にもがき、何度も声を上げ、何度も手を伸ばす。
「俺は死んでないっ! ここに居るんだっ!!」
「もうやめてくださいっ!!」
暴れる太一を止めたのは真由美だった。太一の腕を掴み、今にも泣き出しそうな表情でしがみつく。
全力で振り払おうとするが、それでも真由美は歯を食いしばり、決して太一の腕を離さない。次第に太一の行き場のない気持ちは、ついに真由美へと向いてしまう。
「なんで……なんでだよっ!!」
勢い良く発せられた言葉と共に、後方へと振り返る。そのまま真由美を押し飛ばそうとしたのかもしれない。あるいは掴みかかろうとしたのかもしれない。
だが、太一はそれを行動に移すことが出来なかった。
振り向いた先には、今にも溢れ出しそうな量の涙を量目に溜めた真由美が膝を付いていた。少し癖っ毛な栗色のショートボブはボサボサに乱れているし、黒いストッキングの右膝付近は少し破れている。
そんなになるまで、真由美は太一の腕を離さなかった。小さな体で、我を顧みず、ただただ必死に太一を止めたのだ。
「なんでそこまでするんだよっ!?」
太一の問いに真由美は答えない。腕を掴んだまま、ただ真っ直ぐに太一を見つめるだけだ。
そんな姿に、太一は再び苛立ちを覚えていく。
「もう、ほっといてくれよ。あんたに付きまとわれて迷惑なんだよ!!」
しかし、真由美は首を横に振った。
その動作を見て、太一は再び腕に力を入れようとするが、真由美が大きく息を吸うのを見て、動きを中断する。
そして、真由美はゆっくりと口を開いた。
「大丈夫ですから……絶対に……絶対に受け入れられますから……」
言葉と共に許容量を超えた涙が溢れ出す。
真由美の頬を伝う涙。それは大粒で、不揃いで、決して美しい物ではないだろう。
しかし、なぜだか太一はその涙に惹きつけられ、彼女の言葉を聞く気になった。
「私でも……ひっぐ……出来たんです……」
もう真由美の顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
それでも彼女は言葉を止めない。嗚咽が混じろうとも、涙で視界が雲ろうとも、絶対に思いを伝えたいと、必死に言葉を続ける。
「泣き虫で、のろまで、チビで……ひっぐ……自分の好きなところなんて一つもない……そんな私でも……」
次第に嗚咽は消えていき、声も強くなっていく。
真由美の気持ちが流れ込み、言葉は力を宿していく。
いつしか太一の苛立ちも収まり、気付けば真由美をじっと見つめていた。
「そんな私でも……死を受け入れて、新しい環境で夢を見つけることができたんです! あなたに出来ないはずかないんです!!」
太一は気付いた。
死んだのは自分だけではない。
目の前にいる少女だって、辛い死を経験してここにいる。
自分の死を乗り越えて、笑顔でいるのだ。
誰もが最初から受け入れられるわけではないだろう。信じられず、取り乱して、声を荒げてしまう。
それでも、いずれは折り合いを付けなければならない。
誰かの為ではなく、自分の為に。
彼女はそれを手伝いに来てくれたのかもしれない。
少しでも早く心の傷を癒し、新しい世界へ飛び立てるように。
それはきっと――天使の仕事だ。
「俺に、できるかな……?」
「え?」
「まだ割り切れないこともたくさんあるけど、俺にできるかな?」
太一は少女に問う。
涙でぐしゃぐしゃになった天使に、なにも包み隠さない正直な気持ちを。
そして、少女は虹のような満面の笑みで答えるのだ。
「はいっ! もちろんです!!」
「家に帰ればいいんじゃないか?」
「うーん、おそらくご両親は葬儀の準備でご自宅にはいらっしゃらないかと」
太一の提案はあえなく却下されてしまう。
本当に太一の葬儀が行われるのだとすれば、真由美のいっていることはもっともだ。しかし、実家がダメだとしたら他にどこから情報を手に入れられるか、太一には思いつくことが出来ない。
「多分、学校でしたら情報を聞き出せると思いますよ」
真由美の的を得た意見を聞いて、太一も思わず納得してしまう。
確かに、同級生が突然死んだなどという大ニュースともなれば、暇を持て余している高校生の話題としては恰好の的になるだろう。そこから情報を聞き出すことは、さほど難しいことではないと思われる。
低スペックだと思っていた真由美から、まさかの名案が出たことに若干の戸惑いはあるが、太一はその意見に従うことにした。
太一の通う高校は、自宅から駅を跨いで一キロほど歩いた所に位置している。
元々、合格発表の後に学校へ寄るつもりだったこともあり、現在地からはさほど離れてはいない。ぎりぎり徒歩圏内と言えるだろう。少し面倒だが、頼みの綱の自転車が消えてしまったので歩くしかない。
太一が諦めて歩き出そうとすると、真由美にコートの袖を掴まれてしまった。
「なんだよ? 学校行くんだろ?」
「あ、えっと……」
まさか土壇場になって「やっぱり葬儀なんてありません。あなたは死んでなどいません」とでも言うのではないかという期待が太一を包む。しかし、そんな淡い期待は一瞬で蹴散らされてしまうのだった。
「車、あっちに停めちゃったんで、取りに行ってもいいですか……?」
そういいながら、真由美は逆方向を指差す。
肩透かしな返答にがっくりしながらも、ここで断れば半永久的に袖を離してもらえないだろうと思い、太一は仕方なく頷いた。
真由美の車は、踏切を渡り、駅前通りを越えた県道脇に路駐されていた。学校とは逆方向で、これにより十分程度のロスが生じてしまう。
早く真相を知って解放されたい太一としては、少し損してしまった感が否めなかった。
「なんでこんなとこに停めたんだよ?」
「え、あ、あの……いまいち椎名さんの居場所が見つけられなくて。歩いて探そうかと」
太一はロスを責めるような質問をするが、真由美の返答はマヌケなものだった。先程の名案に思わず感心してしまったが、やはり彼女の素はこうなのだろう。
太一のそんな心中に全く気付くことなく、真由美は鞄から車の鍵を取り出し、キーレス装置のボタンを押した。解錠を知らせるハザードが二回光り、それを確認した真由美は、太一に助手席へ座るよう指示する。太一はそれに素直に従い、車へと乗り込んだ。
内装はシンプルなもので、後付けでなにかを追加した様子もなく、車内を彩る小物類の一つも置かれていない。そもそも車種自体もベーシックなコンパクトカーで、色もホワイト。まるで、どこかの社用車のようだ。
太一がそんなことを考えていると、後部座席に鞄を置いた真由美が運転席へと乗車する。
「では、学校までの道案内をお願いしてもいいですか?」
真由美はシートベルトを締めながら太一に聞く。
その流れ自体は一応さまになってはいるのだが、どうしても彼女の容姿から運転している姿が想像できない。そもそも、アクセルペダルに足が届くのか不安で仕方がない。
「あ、あのー、道案内を……」
「ん? あ、あーごめんごめん。おっけー道案内するよ」
真由美への失礼な想像を停止し、太一は道案内を約束する。
その返答に満足したのか、真由美はホッとした表情で鍵を回した。すると、控えめながらも頼もしい音を立ててエンジンが掛かる。それと同時に真由美はハンドルを握った。
「それでは出発しますね」
そういって、真由美はギアをドライブに入れ、サイドブーレーキを下ろす。最後にウィンカーを右に出すと、車体はゆっくりと前進を開始した。
(一応はちゃんと運転できるんだな)
しかし、太一の褒賞も虚しく、二人の乗る車はすぐ前を走る車へと突っ込んで行くではないか。
「ちょっ! なななななにやってんの!? ブレーキブレーキ! 止まれって!!」
だが、車は太一の呼び掛けに聞く耳を持たず、ぐんぐんとスピードを上げていく。
これには思わず太一も目をつぶり、体を丸め込んでしまう。
「どうかなさいましたか?」
真由美の素っ頓狂な声を聞き、太一はゆっくりと目を開ける。すると、車は何事もなかったかのように走行を続けているではないか。
「あ、あれ?」
「ビックリさせちゃいましたか?」
「え、あ、えっと……」
「この車も霊体で生成されていますので、衝突することはありませんよ」
真由美にそういわれて、今の状態を思い出す。
人だけではなく、自転車さえも自分をすり抜けてしまう状態だ。車がすり抜けて行ったとしても不思議ではない。
「それにしたって心の準備ってもんは必要だろうが! 前持って注意を促してなさいよ!!」
「あ、いや、もうご理解頂けてるものだとばかり……」
「だまらっしゃい!!」
その後、なんとか落ち着きを取り戻した太一は、学校までの道案内を再開する。
学校へは、駅前通りを元来た方へと進み、国道へと右折。更に、そこから二つ目の信号を左折し、百メートル程走れば到着する。車で移動すれば十分と掛からず到着できる距離だ。
しかし、太一たちが移動に要した時間は僅か四分。衝突しないことを活かし、真由美が一切止まることなく車を走らせたからだ。その間、太一の悲鳴が途絶えなかったのはいうまでもない。
「着きましたね」
車を降りた真由美は、軽く体を伸ばしながら太一に声を掛ける。
当の太一の表情は青ざめており、笑顔で彼女への返答を熟すのは不可能だろう。
「し、死ぬかと思った……」
「ですから、もう亡くなられてるんですって」
「お前な……」
真由美の空気を読まない言葉が、太一を一瞬イラつかせる。しかし、迎え撃つ元気もない太一は、諦めて学校へと入ることにした。
校門をくぐると視界いっぱいに広がる黄土色の校庭。体育の授業中なのか、緑色のジャージを着た生徒たちが、この二月の寒さにも負けず砂埃を巻き上げ走っている。
太一の通う高校は、学年ごとにジャージやネクタイの色を変えている。校庭を駆け巡っている生徒たちのジャージを見るに、彼らは一年生ということだろう。
(いいな、一年生は。悩みとか無さそうで。受験とか受験とか受験とか……)
やはり、学校へ来ると思い出してしまう。ショックのあまり無意識で地元へと帰還し、わけの分からぬまま死亡を宣告され、物体に触れられなくなって。
目まぐるしく駆け巡った非日常。
しかし、どれだけのことがあろうと、太一にとって今日は合格発表の日であって、不安ながらもこの日を待ち望んでいた。そして、どれだけのことがあろうとも結果は不合格で、それは必要以上に彼の心へと重くのし掛かる。
自分の努力は報われなかった。応援してくれた人の期待に応えられなかった。
次第に目頭は熱くなり、胸から喉へと空気が逆流してくる。
せめて、涙は流すまいと顔を上へと向けた。
すると、ふと視界に入る大時計。どこの学校にもあるシンプルな時計だ。故に、どれだけ劣化しようともその存在感は学校随一、学校の代名詞ともいえよう。
そんな大時計は堂々と三時半を示している。
「あ、早くしないと授業終わっちまう」
三年生は今自由登校期間で、登校している生徒も多くはない。
とはいえ、進路の決まった生徒達に向けて授業自体は平常通り行われているのだ。
太一の記憶によれば、この授業が今日の最終授業。これが終わってしまえば、生徒達は散り散りになってしまう。
それでも情報は集まるのであろうが、生徒同士の噂話など信憑性に欠ける。おそらく、自分が本当に死んでいるのなら、授業終わりにでも担任からなんらかの告知があるはずだ。
そう考えて、二人は教室へと移動を開始しようとした。
しかし、教室へと急ごうとした矢先、重要事項などを述べるためのチャイムが響き渡る。音の出処は校舎に備え付けられたスピーカー。
それを聞いた太一たちは足を止め、移動を中断する。
『校内にいる三年生は、授業を中断して体育館へ集合してください』
それだけを告げて放送は終了した。
授業を中断してまで三年生を集める意味。それは、きっと超重要事項であることは間違いない。
太一に嫌な予感が走る。
「た、体育館……行ってみますか?」
流石の真由美も太一から出る刺々しい雰囲気を察したのか、どこか遠慮した言葉遣いで意見を述べる。
真由美の言葉は疑問形で終わっているが、ここで断るという選択肢は存在しない。太一は必死で不安を押しとどめ、無言で頷いた。
体育館は校舎南側に隣接しており、校舎から伸びる渡り廊下を通って行く。だが、二人がいる校門付近から校舎内を通って行くと、かえって遠回りになってしまう。幸いなことに渡り廊下は一部外を通っているため、校庭を突っ切ればダイレクトに渡り廊下へ進入することができる。
太一は迷わずそのルートを選択し、早歩きで体育館へ向かう。
真由美も置いていかれまいと必死に小さな体を動かし、なんとか太一について行く。
ちょうど渡り廊下に差し掛かったところで、校舎から生徒達が次々と現れ出した。急いだ甲斐もあって、これから始まる緊急集会には一秒も遅れずに済みそうだ。
そんな緊迫した太一とは裏腹に、生徒達の大半は実に面倒臭さそうな顔をしている。中には、居眠りの妨害をされた不満を嘆く生徒や、放課後の予定を気にする生徒までいる始末だ。
(お前ら、人の生死が掛かってんだからさ)
気を取り直して体育館へと入場すると、やはりというか生徒達は中々並ばない。隅で無駄話に花を咲かせる生徒、追いかけっこをし出す生徒まで多種多様だ。
どちらかというと、太一も整列をしないでおふざけをしてしまう生徒だったのだが、今の状況では苛ついてしまう。自分を棚に上げるわけではないが、今回ばかりは本気で早くして欲しいと懇願するのであった。
数分後、やっと静かになった頃合いを見て舞台に一人の中年男性が上がる。
中肉中背のいたって特徴のない男。だが、そんな彼でもこの学校で教師達を統べる教頭なのだから世の中分からない。太一もこれといって接点があったわけではないので、彼の能力は未知数ではあるが。
とはいえ、彼がこの緊急集会の重要事項を持っているのは間違いない。太一は、大人しく教頭の話に耳を傾けることにした。
そして、教頭は舞台中央に置かれたスタンドマイクに向かい喋り出した。
『皆さんが静かになるのに七分掛かりました』
「ちょぉぉ! お前! そのくだりやりたかっただけだろぉぉ!!」
人の気も知らずに、お決まりのネタをいい出す教頭。これには堪らず太一も声を荒げてしまった。
教頭は集会の度に必ずこのセリフを吐く。生徒達の間では、これを言いたいが為に騒ぐ生徒をあえて注意しないのではないかと思われている。緊急集会の場でも変わらず言っているのだから、もはや疑いの余地はないだろう。
なんにしても、一応は会場が静かになった。
思わず声を荒げた太一だが、当然今の彼の声が届くはずもなく集会は進む。言いたいことを言えてか満足気な顔をした教頭は、一つ咳払いをして続きを語り出した。
『えー、先ほど三ーCの椎名太一君が……交通事故で亡くなられたとの連絡が入りました……』
静まり返る館内。その中で太一の心臓だけが激しく音を立て、まるで胸を突き破る勢いで脈打つ。 このまま倒れてしまいたいという思考に駆られるが、どうも思い通りにはいかないらしい。身体の感覚は一瞬で消え失せ、まるで鉛の様に重く、脳からの信号を一切受け付けない。ただ心臓だけがひたすら強く動作を続け、心音だけが虚しく鳴り響く。
こんなにも強く、こんなにも激しく心臓は動いているのに、自分は死んでいる。そんな矛盾した状況を誰が素直に受け入れられるだろうか。
否、受け入れられるはずはない。
「おいっ! なぁお前っ! おいって! 見えてんだろ? 聞こえてんだろぉーが!!」
感情に身を任せ、命令に従わない体を無意識に動かす。
しかし、太一の声は誰にも届かない。近くにいた生徒に手を掛けても、空気のようにすり抜けるだけだ。
それでも太一は必死にもがき、何度も声を上げ、何度も手を伸ばす。
「俺は死んでないっ! ここに居るんだっ!!」
「もうやめてくださいっ!!」
暴れる太一を止めたのは真由美だった。太一の腕を掴み、今にも泣き出しそうな表情でしがみつく。
全力で振り払おうとするが、それでも真由美は歯を食いしばり、決して太一の腕を離さない。次第に太一の行き場のない気持ちは、ついに真由美へと向いてしまう。
「なんで……なんでだよっ!!」
勢い良く発せられた言葉と共に、後方へと振り返る。そのまま真由美を押し飛ばそうとしたのかもしれない。あるいは掴みかかろうとしたのかもしれない。
だが、太一はそれを行動に移すことが出来なかった。
振り向いた先には、今にも溢れ出しそうな量の涙を量目に溜めた真由美が膝を付いていた。少し癖っ毛な栗色のショートボブはボサボサに乱れているし、黒いストッキングの右膝付近は少し破れている。
そんなになるまで、真由美は太一の腕を離さなかった。小さな体で、我を顧みず、ただただ必死に太一を止めたのだ。
「なんでそこまでするんだよっ!?」
太一の問いに真由美は答えない。腕を掴んだまま、ただ真っ直ぐに太一を見つめるだけだ。
そんな姿に、太一は再び苛立ちを覚えていく。
「もう、ほっといてくれよ。あんたに付きまとわれて迷惑なんだよ!!」
しかし、真由美は首を横に振った。
その動作を見て、太一は再び腕に力を入れようとするが、真由美が大きく息を吸うのを見て、動きを中断する。
そして、真由美はゆっくりと口を開いた。
「大丈夫ですから……絶対に……絶対に受け入れられますから……」
言葉と共に許容量を超えた涙が溢れ出す。
真由美の頬を伝う涙。それは大粒で、不揃いで、決して美しい物ではないだろう。
しかし、なぜだか太一はその涙に惹きつけられ、彼女の言葉を聞く気になった。
「私でも……ひっぐ……出来たんです……」
もう真由美の顔は涙でぐしゃぐしゃになっている。
それでも彼女は言葉を止めない。嗚咽が混じろうとも、涙で視界が雲ろうとも、絶対に思いを伝えたいと、必死に言葉を続ける。
「泣き虫で、のろまで、チビで……ひっぐ……自分の好きなところなんて一つもない……そんな私でも……」
次第に嗚咽は消えていき、声も強くなっていく。
真由美の気持ちが流れ込み、言葉は力を宿していく。
いつしか太一の苛立ちも収まり、気付けば真由美をじっと見つめていた。
「そんな私でも……死を受け入れて、新しい環境で夢を見つけることができたんです! あなたに出来ないはずかないんです!!」
太一は気付いた。
死んだのは自分だけではない。
目の前にいる少女だって、辛い死を経験してここにいる。
自分の死を乗り越えて、笑顔でいるのだ。
誰もが最初から受け入れられるわけではないだろう。信じられず、取り乱して、声を荒げてしまう。
それでも、いずれは折り合いを付けなければならない。
誰かの為ではなく、自分の為に。
彼女はそれを手伝いに来てくれたのかもしれない。
少しでも早く心の傷を癒し、新しい世界へ飛び立てるように。
それはきっと――天使の仕事だ。
「俺に、できるかな……?」
「え?」
「まだ割り切れないこともたくさんあるけど、俺にできるかな?」
太一は少女に問う。
涙でぐしゃぐしゃになった天使に、なにも包み隠さない正直な気持ちを。
そして、少女は虹のような満面の笑みで答えるのだ。
「はいっ! もちろんです!!」
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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