死に別れた縁と私と異界の繋

六

七

　荒っぽい妖怪や下級の神々よりもマナーは良いが、逆に言えば此方もマナーを求められているのではというプレッシャーがあるのか町の商人達は緊張感を持って接客しているらしい。


　治安は昨日と比べればかなりマシだ。


「と、言うよりお目上の神様なんだから治安は悪くなる事はないよね」

「···確かに」


　これで治安悪化するなら神様と言う印象は悪くなるだろう。



「いやいや、神人でもやべぇ奴はやべぇぞ」






「·············」



「···············」






　隣から聞こえる声に振り向くと




「···鳳来様？」



「よっ！」と、人の言い笑みを浮かべて手を上げる鳳来はいつ、この屋敷にやって来たのだろうか？


「ちゃんと正面から入ってきたぜ」


　正面玄関から入らなければ不法侵入になるだろう。



「長なら今町の方に行ってますよ」

「あぁ、知ってる。さっき会ってきた」


　東の君主の側近達が町に来たから対応しているからそれの対応に追われていると鳳来は笑いながら話す。

「俺は結ちゃんに用があるの」

「私？」


　海外の知り合いの神に会って結と同じ現象で神隠しにあった人間の事を聞いてきたらしい。


「大変だったんだぜ。話聞くまでに神輿は壊されるわ着物は破られるわ引っ掻かれるわぶん殴られそうになるわ···連れが何人かやられた」




　一体どんな神様に話を聞いたのだろうか····


　そのお連れの方は大丈夫なのだろうか。



「身体だけは丈夫な奴らだから大丈夫」


　それよりも玉を潰されそうになった時は戦慄したと言い、思い出した鳳来は結に

「結ちゃん慰めて～」

　と、抱き着いた。


　屋敷中に結の悲鳴が聞こえたと言う。






　－－－－－－－








「鳳来様。長が知ったら怒るのでやめて頂きませんか？」


「ちょっとしたスキンシップじゃねぇか」


「何がダメなの？」と、言う鳳来の元の国ではハグは挨拶の一種かもしれないが、ここは倭の国土。
　この国ではハグは過激なのかもしれない。

「混浴はポピュラーなのにな」

　矛盾していると言われれば何も言い返せない。

「それであの···神隠しの話は···」

　客間に茶を持ってきた結が本題に入る。

「あぁ。実はな····」



鳳来が聞いたその話は、何とも言い難いもので結はただ驚愕するばかりだった。