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二
救いの手
しおりを挟む「お前はどうしたいんだ?」
先輩にそう言われて考える。
今の状態から脱出したい。
けれどクラスに味方は誰一人いない。
「あいつらがやってる事、お前が同意じゃねぇって言えば【犯罪】だからな」
イジメでは済まされない。脅迫罪・強要罪に問われるだろう。L○NE等に証拠もあるのなら警察や弁護士に頼む事もできる。
だけど、Ωだからこその問題もある。
Ωのフェロモンに当てられたαが襲ってしまう所謂、フェロモンレイ○だと言われる可能性もある。
実際に抑制剤を飲んでいないのだから。
「助けを求めるのか?」
求めるのなら助けてやると先輩は言う。
「··················」
助けて下さい
ーーーーーーーーー
次の日から、呼び出される事はなくなった。教室でも誰も話しかけてきたり服を脱がすと言う事を誰もしない。
あまりにも呆気ない終わり方に逆に違和感を覚えた。
屋上に行った時に先輩がいたから一体何をしたのかと聞いた。
「内緒」
そんな言葉で納得行くわけがない。
「·····あー··まぁ、俺ら三年ってもう少しすれば受験か就職だろ?」
元々の主犯である上級生達にとってストレスの捌け口にしていた自分の存在は目の上のたんこぶになっている。
「証拠全部持ってるから受験先の大学にばらまかれたくねぇなら手を引けって言っただけだよ」
だから手を引くのは早かったとの事、そのまま自分のクラスも上級生達がやめるように言ったそう。
「·····犯罪紛いのことやるやつにゃそう言う弱みが出てくんだよ」
親まで出てくれば更に問題が生じる。今の時代、社会的に被害が及ぶ方が嫌だろう。だから手を引いたと先輩は言う。
「今度から抑制剤は飲んでおけよ」
そう言って先輩は知り合いが経営するΩ専門のクリニックを紹介してくれた。
「·····あの、先輩」
どうして自分にそこまでしてくれるのかと疑問に思った。
「ん?」
なんでだと思う?と、先輩は聞いてくる。
その顔がいつもより優しくて
輝いて見えた。
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