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59. ラウンジでの会話

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 昴は昊とは三つ年齢が離れており、今は地方の方で金融関係の会社に勤めているらしい。


 空港のラウンジの席で三人は話す。


「とにかく···っ!」

 両親、特に母の言っている洋のイメージは本人とは全く違うと昊は言う。

「洋君はそりゃ普段はツンデレで素直じゃないし口は悪いし生意気だし、たまに「このガキまじでグズグズにしたろうか?」って思う時もあるけどさ」

「昊さん?」

 何か悪口を言われた気がする。

「俺の為に親にご飯教わって作ってくれたりするけど卵焼きは基本焦がすし、洗濯物畳んでる時に巣作り初めてお昼寝始めて可愛いし、掃除頑張ってるのに逆に散らかして落ち込んでる姿とかまじで尊いし」

「昊さん??」

 途中から洋のドジっ子エピソードが始まった。

「エッチの時とか俺にだけドスケベ淫乱ボディだし、俺にだけすげぇいい匂い出てくるし、恥ずかしがってるくせに感じて喘いでる顔とか超可愛いし」



「身内に何言ってんだテメェエェエエ!!」




 洋の赤裸々暴露話にとうとう洋が顔を真っ赤にさせて右ストレートで昊を殴り飛ばした。

「そりゃ殴られて当然だろう」と、冷静に昴が呟いた。



「洋君、ごめんねうちの愚弟が。これでも‪α‬のはずなんだけどね····」

「······あ、いえ····」

 顔を真っ赤にしたまま目を逸らし返事をする洋に昴は父の言った言葉とはかけ離れている事は理解した。

 むしろだ。


「二人の大好物だな」

「····はい?」




 昊両親の大好物とは·····?



「父さん達には洋君の事ちゃんと伝えとくから安心して?」

「はい??」


 ニコリと笑みを浮かべた昴の瞳は昊に向けて言う。


「番は大事にしろよ」

「わーってるよ!」


 兄に言われなくても自分の番である洋は誰よりも大事にしている。
 今もこれからも。


「ジジイになっても愛し続けますぅ~!」

「·····あの····昊さん」


 公共の場で愛を叫ぶのはやめて欲しい。

 人が見ている。


「本当の事だからいいだろ?」
 
 そんな事を平気で言う昊に顔を真っ赤にしたままの洋は俯いて顔を両手で覆った。


 耳まで真っ赤になっている。



「じゃあ、俺はもう行くから後は二人でごゆっくり」

「もう帰るのかよ?」

 昊がそう聞くと昴はふっと笑い「観光してから帰る」と、言いテーブルに五千円札を置いて席を立つ。

「洋君」

「あ、はい」


「昊をよろしく」と、言って昴は洋の頭を撫でた後にラウンジから出ていった。

「人の番の頭を気安く触んなし」

 嫉妬丸出しの昊に洋は呆れ返るしかなかった。
 



「··················」



 昊の「ジジイになっても愛し続ける」発言を思い出した洋の心臓は激しく脈打っていた事は昊に内緒である。

 
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