夏やすみ 姉妹奇談

tomonoshin

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姉妹奇談 幼少期その1

姉妹奇談 幼少期

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 小学三年生になる頃にはクラス替えがあり、少なからず友達が出来た。私がこの世のモノでないものが視える体質とは、まだ誰にもはなしていなかった。
 話せばみんな私を気持ち悪がり、キチガイだと思われるだろう。事実、両親はそんな目で私を見ていたのだから。
 しかし、それとは裏腹に時代は幽霊やホラー漫画がブームでテレビ番組では夏になると特集をやり、ホラー漫画は店頭にいくつも並んでいた。
 どれを読んでもテレビを観ても、特になにも感じはしないが。実際に視るものとそれらはやはりちがうのだから。
 みなさんは(こっくりさん)という、占いのような遊びを知っているだろうか?
 エンジェルさまなど呼び名は色々変わっていっているが。
 学校の帰り道すがら、誰かが言った。
 みんなでこっくりさんをやろうよ!
 学校内でやることは禁じられていたので(何故かはわからないが)誰かの家でやろうと言うことになった。
  その場にいたのは5人。みんなやろうということになり、場所は学校から近い、おうちがお寿司屋さんの子の部屋に決まった。
 両親が仕事でバレないだろうという意味もあったのだ。
 準備は簡単。白い紙に神社の鳥居のようなものを真ん中に書き、その下に、はい、いいえ、
下にはあいうえおから全ての文字を書く。十円だまを鳥居の上に置き、それに人差し指を乗せる。
一人でも二人でもいいのだが、その日は三人で指を置き残り二人は横で見ている形になった。
 漫画やテレビでは良く見ていたが、やるのは初めてだった。こっくりさんは狐の霊でなんでも教えてくれる、そんな噂で持ちきりだったが信じる気になれなかったから。
 「始めるよー!こっくりさんこっくりさん出てきてください!」
  友達の妙ちゃんが大きな声でいった。
「出てきたら、はいと進んでください!」
 声が大きいよ…心の中で思いつつ、十円だまを見つめる。
 すると、一瞬の間があり、スルーと十円だまは、はい、へ移動したのだ。 
 部外者二人は「嘘!誰か力いれてない?ねぇねぇ?」かなり興奮している。
 特に私は力を入れてないが、引っ張られる感じがした。
 何を聞くか考えておらず、適当なことを色々聞いてみた、明日の天気、誰が誰を好きかなど、それでも十円だまはスルーとゆっくりと動き出す。小学生の5人は流石に目の当たりにして喜び笑いだした。
「そろそろ止めようよ、疲れちゃった」
 部屋を貸してくれた、いくちゃんが言った。
「こっくりさんこっくりさんおかえりください」
 私達は噂で聞いたやり方で、そう言った。
「いいえ」
 十円だまは動く。
「お願いします、おかえりください!」
「いいえ」

5人、顔を見渡した。

「な、なにか間違えた…?言葉ってこれだけだよね…?」
「うん、そう聞いたけど…」

ギューン!十円だまが勝手に動き出した。なにも質問していないのに。

か、え、ら、な、い

「キャー!!」

いくちゃんが十円だまから指を離してしまった。
 まずい、そう思った時、ブォーン!!すごい風が部屋に入り、カーテンが大きく揺れて私達にめがけて飛んできた。

 そして、こっくりさんをやっていた紙はどこかへ消えてしまった。

 みなさんはやり方を知っているだろうか?
そう、やり終えた紙は燃やしてしまわなければあなたは呪われる…。

 狂ったように5人で探したが四畳半の狭い部屋のどこにも紙はなかった。

「大丈夫だよ、あんなの迷信だよ、ね?みんな」

指を離したいくちゃんがそう言った。

大丈夫、大丈夫、もう遅いから帰ろう、みんなで帰る支度を始めた。



 うちに帰り部屋で思い出したが、いくちゃんの部屋には窓が一つしかなくて、その窓は閉まっていたんだ。
 紙切れを探すのにみんな気を取られてその事に誰も気付いてなかったけど。

 そして、帰り道すがら、ある女の子の背中からキキキと笑う声が聞こえたけど、やっぱり言わなかった。
 話せばみんな私を気持ち悪がりキチガイだと思われるだろうしね…。


そのこは次の日から一週間、学校を休んでた。

こっくりさんは狐じゃなくて、顔が半分ない子供だったよ、ねぇ、みんな…。
 また今度はエンジェルさまにする?


最後は紙をちゃんと燃やしてね…。

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