夏やすみ 姉妹奇談

tomonoshin

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姉妹奇談 幼少期その1

姉妹奇談 幼少期 ゆり編①

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 気付いた頃からすでにそこに存在していた。
 友   二つ下の妹だ。

幼稚園も保育園も通っていなかったので遊び相手は必然的に妹だった。絵が上手くてよく塗り絵や画用紙に絵を描いていたと思う。

私は特にそれらに興味はなく字の勉強したりたまに二人で裏庭で遊んだりしていた。

まだ、彼女が三歳くらいの頃だったか、小さな瓶にそこら辺にいる虫を捕まえて詰めるというきみの悪い遊びをしていた。

ミッチリと詰めると、家から持ち出したマッチでそれらに火をつけて眺めている。

 その表情は恍惚としていて、こちらが気味が悪くなる。

 しばらくすると、けろっとそんなことは忘れたように野花を摘み、お花やさんごっこが始まる。
  小さな子供だから、罪の意識とか気持ち悪いとかないんだろうな、と思っていたが、ある日彼女はこういった。

「ゆりねぇ知ってる?生まれ変わりってあるんだよ
虫も死んでまた違う綺麗なお花に生まれ変わるといいね」
 「だ、だからって火をつけて殺したらダメだよ」
「どうして?虫だとゆりねぇが気持ち悪いっていうもの。綺麗なお花に生まれ変わったら気持ち悪いっていわれないよ?」

 なぜこんなことが分かるのだろう、子供は純粋だから、テレビ番組とかの影響だろう、きっとそうにちがいない。


ある夏の暑い日、おかあさんが仕事をしているスーパーの裏の駐車場でバドミントンをした。

なかなかラリーは続かず彼女は打つのが下手だった。バドミントンの羽が私をすり抜けて落ちてしまった。

「もーまたー」

 地面にうつむき羽を拾った。


彼女はこちらを見ている。

私を?なにか悩んでるような不思議な顔をしていた。


うちに帰ると
「ねぇねぇ、あの子だれかなぁ。初めてみたよ、ゆりねぇ知ってる?」

知らないし、誰もいなかった。

あの日あの場所には、私と彼女だけだったのだ。
おかあさんにも、お父さんにも同じことを聞いていた。


 あの子の表情が変わっていった瞬間だった。

友は私の知っている友では、なくなっていった。

玄関の横をすり抜けて入るようになり、いつも廊下を気にして振り向いていたし、夜中にベッドの中で小声でなにか話している。

なにもいないのに。

玄関にも廊下にもあの、駐車場にも誰もいないのに。

これからどうなってしまうのだろう。

私は六年生で彼女は四年生。

彼女の回りにいる友達はなにか彼女と似ている雰囲気の子が多い。


周りとは異質なのだ。そう。

窓から風が吹けば、叔母さんがきたといい、駐車場の奥で誰かに話しかけている。

両親があの子は頭がおかしいと陰でいっているのを聞いた。

そうなのだろうか?
最近よく聞く霊感?の持ち主なのか?



もうすぐ私は中学生になるため、新しく彼女と部屋を分けて一人部屋にするとことになった。

準備のために少しの間私は両親の部屋で寝ることになった。彼女はおばあちゃんの部屋に泊まりに言ったある晩、ひとりでベッドで本を読んでいた。

「ともー!」



玄関から彼女を呼ぶ声がした。時刻は19時。
こんな時間に誰がー?
両親の部屋は玄関から廊下を真っ直ぐなので戸をスルッと開けるとすぐ玄関だ。

戸を開けた。誰もいなかった。

ガラス越しの玄関も閉じたままだった。

すぐさま、戸を閉めてベッドに潜り込む。
「なにあれなにあれ?」
この家には自分一人きりだ。両親は仕事でいない。
ちらりと、玄関のほうの戸をみた。昔ながらの上と下が一部分すりガラスになった戸だった。

その下のすりガラスに歩く足が写ってみえた。

上のすりガラスには写っていない。

よほど小さい子ども以外、上のすりガラスに頭が写るはず。

だが、下のすりガラスに写っている足は大人だ。絶対に子どもの太さや大きさではない。

「ヒッ」

声を圧し殺しベッドに潜った。


どのくらいの時間がたったのか、おかあさんが帰ってきていた。

「ゆり、寝てたの?大丈夫?」

汗びっしょりになり半ば口を開けながら私は絶句していた。

誰が彼女を呼んだのかはわからない。

何故、私にその時だけ聞こえたのか今もわからない。

彼女には、なにか、なにかが違うのだと感じた夜だった。



ゆり編①
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