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マッサージ
しおりを挟む一体目と同じ要領で、二体目のスケルトンナイトも粉砕した。
粉々になった骨の残骸は忽然と消え、その場にはひと際大きな魔石と頑丈そうな骨のみが残った。
ダンジョン内で倒した”侵略者”は、核となっている魔石と何かの素材を残して消えてしまう。
原因は不明。何百年も研究されているが、未だに答えは出ないらしい。
「何はともあれ、これでやっと休めるね。アリスも転身を解くと良いよ。ずっとその状態では疲れてしまうからね」
「……どうやって解くのよ」
「〈解除〉と唱えれば解けるはずさ」
ミルフィに言われるままに、〈解除〉と呟くと、私の纏っていた”チャイナドレス”は光となって消え、元の服装に戻っていた。
そして、転身を解除した瞬間、どっと疲れが押し寄せてくる。急激に体が重くなり、立っているのが精一杯だ。
「転身は思いのほか魔力を消費したみたいだね。まあ、それ以前に転身した上で身体強化を最大まで引き上げたんだ。魔力消費は半端ではないと思うよ」
「……ええ、そうね。ちょっと、無理したかもぉ……」
私は限界を感じ、崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。
動くのも億劫でやる気が出ない。お腹は減っているが、食べる気力すら起きず、うつ伏せに横になった。
すると、寝転がる私の上にミルフィが乗っかり、小さな手で私の背中を揉み始める。
「あぁ~、気持ちぃ……」
「それは良かった。今回は満点の活躍の上、ボクの理想通りの戦い方を見せてくれた。その労いだと思ってくれたまえ」
何よ、たまにはいいところあるじゃない。
ご主人様を労うだなんて、殊勝な心掛けだわ。
そうして、ミルフィのマッサージに体を委ねていると、便乗するように王女様まで私の足を揉み始めた。
「え、ちょっ、ま、マリーさん? 何を……」
「私からの感謝の気持ちだと思ってください。とても気持ちの良い戦いぶりでした。随分と謙遜していましたけれど、アリスさんってやはりお強いのですね」
褒められている。それは分かるのだが、お、王女様にマッサージしていただくなんて、いいのかしら……。
絶対に良くない気がするのだけど。不敬だ! とか言われたらどうしよう。
チラリとメイドのアリーさんに視線を向ける。
いつものごとく、あわあわしている。
どうにかしてほしいのだが、アリーさんはどこか頼りない。
「せっかくですから、このままここでしばらく休憩していきましょう。アリー、食事の用意をしてくれる?」
「か、かしこまりました!」
王女様の御命令を受け、あわあわしていたアリーさんが動き出す。
肩から下げた小さな魔法鞄を開き、大型のコンロや調理器具、食材を取り出し料理をし始めた。
さすが王女様付きの専属侍女。手際よく調理していく姿はまさに熟練メイドの業。
徐々に漂い出すいい匂いを堪能しつつ、マッサージの気持ちよさに目を閉じた私が、眠りにつくのは当然のことだった。スヤァ……。
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