物理最強信者の落第魔法少女

あげは

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ダンジョンの異変

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 ゆっくりだが、着実にダンジョンを進んでいく。
 ほぼほぼ一本道。時々分岐や階段を下るだけでダンジョンの奥へ奥へと入り込む。
 遭遇する”侵略者”もロックゴーレムのみ。
 アイマイ姉妹の連携がちゃんとしているから、ゴーレムも難なく倒すことができている。
 この調子なら何日もかかることなく攻略できるだろう。
 それよりも気になることがあった。

「……二人とも、さっきからひそひそとどうしたの?」

「な、何でもないですよぉ~……」

「そ、そうです! 別にこそこそなんてしてないですからっ」

 私がゴーレムをワンパンしてから、二人の様子が変わった。
 チラチラと私を見たと思ったら二人で顔を寄せ何か話している。
 小声だから何を言っているかまではわからない。
 時々怪訝そうな顔を浮かべたり、納得したような表情をするのは気になる。

「まあまあ。そう気にしなくてもいいと思うよ。アリスの悪口を言っているわけじゃないんだから」

「アンタ、あの子たちが何言っているか分かっているなら教えなさいよ」

「それはルール違反だろう。……それよりも他に気になることがあるんだよね」

 突然ミルフィが神妙な顔つきでそう言う。
 何かおかしなことでもあったのかな。
 ミルフィがこういう顔をするときは、大抵ヤバイことになっている時だ。

「ここは既に攻略済みのダンジョンだ。”侵略者”もロックゴーレムだけで、一本道の三階層。比較的簡単なダンジョンだから、新人探索者向けの修練所みたいになっている。それがケイトから聞いていたここの情報だよ」

「別に間違ってないじゃない。ゴーレムしか出ないし、道もほぼ一本道。新人のあの子たちにとっていい練習場所になっていると思うけど」

「途中何度か分岐点があっただろ? あんなもの存在していなかったはずなんだ。一本道。その言葉通り、このダンジョンはただ真っ直ぐ歩いて階段を数回下るだけ。なのに一階層から分岐点があった。明らかにこのダンジョンは攻略してから何らかの変化が起きている」

 未攻略のダンジョンは、常にその内情を変化させるものも存在するという。
 しかし、攻略済みのダンジョンが形を変えるなんて話は聞いたことがない。
 つまり何らかの問題が発生していると考えられるのだ。

「……とはいえ、難易度的には特に変わっていないんじゃない? それなら、多少ダンジョンの中が変化していたって気にすることはないと思うけど……」

「……そういうことほどもっと気にしてほしいのだけど。確かにアリスの言う通り、今のところ問題はないかもしれない。でも、この先はどうなるか分からない。探ってみたところ、どうやら階層も増えているみたいだ。もしかすると、何かあるかも――」

「アリスさん、ゴーレムです! それも……今までと何か違います!」

 ミルフィの言葉を遮って、マイの焦ったような声が飛び込んできた。
 私はすぐにマイたちの側まで駆け寄り、現れたゴーレムと対峙する。
 目の前のゴーレムは、光沢のある艶やかな金属でできていた。
 これまでのロックゴーレムとは、纏う雰囲気が違う。
 それを見て、ミルフィは納得したような声を上げた。

「ああ、やっぱり。これで確信したよ。このダンジョンは攻略後も変化を続けている。あれはブロンズゴーレム。銅の体を持つロックゴーレムの上位個体だ。力も硬度も岩と桁違いだと思った方が良いね。アリス、ここから先は少し真面目に頑張ろうか」




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