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魔法少女の特権
しおりを挟む「――はぁ!」
アイが力いっぱい大剣を振り下ろす。
アイの目の前に立ち塞がっていた岩のゴーレムが抵抗なく両断された。
「お見事! 頑丈な岩のゴーレムを両断するだなんて、やるじゃないか。マイの支援も悪くなかったよ。ちゃんと時間をかけて鍛えれば、二人でアリスに届くかもしれないね」
「「二人で……?」」
「うん、二人で」
二人で、という言葉に反応したアイとマイ。
ミルフィの言い方では、暗に二人一緒でなければアリスには敵わないと言っているようなものだ。
確かに今の実力では私の足元には及ばないということを二人とも理解している。
生憎だが経験値が圧倒的に違う。それに彼女たちも自分でそう言っていた。
そんなことを言われることがなかったから、否定しつつも少し嬉しかった。
しかし、二人はミルフィの言葉に納得いかない様子だった。
時間をかけて訓練したのなら、二人一緒でなくても私に追いつけると思っているのだろう。
私もそう思う。さすがにこの二人が強くなったら、二人同時では相手にならないだろうなぁ……。
ぼんやりとそんなことを考えていると、ミルフィが相変わらず私の思考を読み否定する。
「残念だけど、アリスの思っている通りの結果にはならないよ。いつも言っているだろう? 魔法少女と普通の人間では力の差が歴然なんだ。何のために超特別な使い魔のボクが付いていると思っているんだい?」
「ただのマスコットじゃない?」
「……確かにそれは否定できないね。愛らしいマスコット枠はボク以外には必要ないさ」
「あーはいはい。そういうのいいから」
「最近のアリスはボクに冷たすぎる気がするよ……。話を戻そうか。つまり、アリスは他にはない特別な力を持っているわけだ。いくらアリスに追いつこうと努力しても、人の力では限界がある。魔法少女となったアリスはもう簡単に人と比較できないような力を持っているんだよ」
「ふーん……」
魔法少女だけの特権、みたいなものかしら。
そう言われると、ここ最近他の人があまり強く思わなくなってきた。
金ランク以上の探索者くらいじゃないと張り合いがないというか、なんというか……。
魔法少女というものがわかっていない二人は、頭にはてなマークを浮かべ首を傾げていた。
魔法を使うから自分も魔法少女じゃないか。そう思うマイの気持ちはわかる。
私も未だに魔法少女と魔法を使う少女の区別がつかないから。
まあ、この話はここまでにして先に進みましょうか。
そう思った矢先、アイが大きな声を上げた。
「アリスさん、危ない!!」
「? 大丈夫よ」
私の後ろでゴーレムが攻撃しようとしていた。
無防備に背を向けている私の身を案じて、アイもマイもゴーレムを牽制しようと武器を構えた。
しかし、その必要はない。気配には気づいていたから。
私は二人に軽く笑いかけ制止する。
ゴーレムが振り下ろした岩の腕にタイミングを合わせ、後ろを振り返らずに拳を当てる。
私の裏拳とゴーレムの腕が当たった瞬間――パァン!
「「えっ!?」」
腕から伝う衝撃で、ゴーレムが粉々に弾けた。
対して強くはなかったし、まあこんなもんかな。
チラリと粉々になったゴーレムを確認し、私は二人を促した。
「さあ、先へ行きましょうか。このダンジョン意外と大きいし、”侵略者”もかなりいるから気を付けてね」
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