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一章 旅立ち
ギルドへ
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私は今、ギルドに向かって王都の中央通りを歩いている。
部屋を貸してくれた食堂のおばちゃんには、感謝と旅に出ることを伝えた。
おばちゃんは満面の笑みで応援してくれて、旅に出るまでの期間、食堂のお手伝いをすることを条件に部屋を貸してくれるそうだ。
本当にいい人だ。思わず泣きそうになった。
こういう人との出会いは大切にしなきゃ。
……………。
……………それにしても、今日は何か視線を感じる。
私が通ると人が避けていく。不思議な現象。変な物でもついているのかな。
すれ違ってからわざわざ振り返る人もいる。
そんなに気になるものはありませんよ?
――オーク肉のサンドを売っている屋台を発見。
ちょうど何か食べたいと思っていたところだ。
「おじさん!おひとつくださいな」
「まいどっ!」
そう声を出し、顔をあげて私を見ると――硬直。
どうしたのだろうか。
「……おじさん?」
声をかけると、おじさんは我に返った。
「おっと、すまんすまん。
えらいきれいな嬢ちゃんだったからびっくりしちまったぜ!
こんな別嬪さんにゃおまけしてやんなきゃ罰が当たるってもんだ。
ほれっ、もってきな!」
「わぁ!おじさん、ありがとう!」
オーク肉を増量したサンドに果実水までつけてくれた。
おじさんにお礼を言い、その場を離れようと――足に何かが触れた。
「ニャァ~」
甘えるような鳴き声。
なんと!私の足元には、美しい毛並みの黒猫さんがおりました。
そのモフモフに一瞬で心を奪われた。
そうです!私は動物大好きです!!モフモフさいこーっ!!!
おっと、失礼。少し興奮してしまいました。落ち着け私。
……それにしても見たことあるような。
「あら?あなた前にご飯あげた猫ちゃん……?」
「ニャッ」
肯定の鳴き声。
以前にも出会った猫だったみたいだ。
どうやら懐かれたらしい。
前見たときは、尻尾三本もなかったような……。
真っ黒、縞々、雷のような模様の尻尾が生えていた。
――そんなことよりモフモフを堪能したい!
どこかに座れる場所がないか探す。
「嬢ちゃん。脇に台があるからよかったら使っていいぞ」
「ほんと?じゃあ、お言葉に甘えて……」
おじさんナイスっ。
いそいそと移動し、できるだけ早くオーク肉サンドを食べる。
黒猫さんは軽やかに私の膝へ着地。そして丸くなる。
食べ終わった私は、十分ほど時間をかけてモフモフに癒された。
これまでのストレスがなくなっていくような感覚――ギルドに行くんだった。
本来の目的を思い出す。
名残惜しいが、黒猫さんを地面におろし、再びギルドへ向かう。
もちろんおじさんにお礼は言いました。
歩いていると、後ろからついてくる気配。
振り返ると黒猫さんがいた。なぜいるのだろうか。
「あなたおうちは?帰らないの?」
「ニャー」
「家はないと……。飼い主は?」
「ニャーニャー」
「飼い主もいない。仲間は?猫の会合とかあるんじゃないの?」
「ニャニャッ」
「それも不参加……。どこの子なのかしら」
「ニャァ~」
そう言って体をこすりつけてくる。
え?なんで会話できるのかって?
それはもちろん――愛ですっ!!!
嘘です。ごめんなさい。調子に乗りました。勝手に解釈してるだけです。謝ります。謝りますから、お願いだから引かないで……。
さて、この黒猫さんどうしようかしら。
放っておいたらずっとついてくるんじゃないかしら。
それならいっそ私が面倒みるべき?尻尾三本生えている猫とか普通じゃないものね。
変な人に捕まえられたらかわいそうよね。うん。
一人旅も寂しいかもとか思ってたからちょうどいいかもしれない。
よし、そうしよう。
「……一緒に来る?」
「ニャッ!」
黒猫さんは私の肩に飛び乗ってきた。
――あっ、ちょっと重い。乙女にはつらいわこれ……。
でも、モフモフからの頬ずり。
はぁぁ……。たまらん……。
とにかく面倒を見ると決めたのだから、まずは名前よね。
この子の性別は……メスね。
あんまり考えすぎても決まらないから、こういうことは直感で決めるのが私。
「あなたの名前は――ルナ。
ルナ、これからよろしくね!」
「ニャァ~!」
またもや頬ずり。
さいこ―です……。たまらんです……。ありがとうモフモフ……。
そうしてルナを引き連れ歩いていると、視線の先に見えてきた。
追放されてから初めての――冒険者ギルド。
部屋を貸してくれた食堂のおばちゃんには、感謝と旅に出ることを伝えた。
おばちゃんは満面の笑みで応援してくれて、旅に出るまでの期間、食堂のお手伝いをすることを条件に部屋を貸してくれるそうだ。
本当にいい人だ。思わず泣きそうになった。
こういう人との出会いは大切にしなきゃ。
……………。
……………それにしても、今日は何か視線を感じる。
私が通ると人が避けていく。不思議な現象。変な物でもついているのかな。
すれ違ってからわざわざ振り返る人もいる。
そんなに気になるものはありませんよ?
――オーク肉のサンドを売っている屋台を発見。
ちょうど何か食べたいと思っていたところだ。
「おじさん!おひとつくださいな」
「まいどっ!」
そう声を出し、顔をあげて私を見ると――硬直。
どうしたのだろうか。
「……おじさん?」
声をかけると、おじさんは我に返った。
「おっと、すまんすまん。
えらいきれいな嬢ちゃんだったからびっくりしちまったぜ!
こんな別嬪さんにゃおまけしてやんなきゃ罰が当たるってもんだ。
ほれっ、もってきな!」
「わぁ!おじさん、ありがとう!」
オーク肉を増量したサンドに果実水までつけてくれた。
おじさんにお礼を言い、その場を離れようと――足に何かが触れた。
「ニャァ~」
甘えるような鳴き声。
なんと!私の足元には、美しい毛並みの黒猫さんがおりました。
そのモフモフに一瞬で心を奪われた。
そうです!私は動物大好きです!!モフモフさいこーっ!!!
おっと、失礼。少し興奮してしまいました。落ち着け私。
……それにしても見たことあるような。
「あら?あなた前にご飯あげた猫ちゃん……?」
「ニャッ」
肯定の鳴き声。
以前にも出会った猫だったみたいだ。
どうやら懐かれたらしい。
前見たときは、尻尾三本もなかったような……。
真っ黒、縞々、雷のような模様の尻尾が生えていた。
――そんなことよりモフモフを堪能したい!
どこかに座れる場所がないか探す。
「嬢ちゃん。脇に台があるからよかったら使っていいぞ」
「ほんと?じゃあ、お言葉に甘えて……」
おじさんナイスっ。
いそいそと移動し、できるだけ早くオーク肉サンドを食べる。
黒猫さんは軽やかに私の膝へ着地。そして丸くなる。
食べ終わった私は、十分ほど時間をかけてモフモフに癒された。
これまでのストレスがなくなっていくような感覚――ギルドに行くんだった。
本来の目的を思い出す。
名残惜しいが、黒猫さんを地面におろし、再びギルドへ向かう。
もちろんおじさんにお礼は言いました。
歩いていると、後ろからついてくる気配。
振り返ると黒猫さんがいた。なぜいるのだろうか。
「あなたおうちは?帰らないの?」
「ニャー」
「家はないと……。飼い主は?」
「ニャーニャー」
「飼い主もいない。仲間は?猫の会合とかあるんじゃないの?」
「ニャニャッ」
「それも不参加……。どこの子なのかしら」
「ニャァ~」
そう言って体をこすりつけてくる。
え?なんで会話できるのかって?
それはもちろん――愛ですっ!!!
嘘です。ごめんなさい。調子に乗りました。勝手に解釈してるだけです。謝ります。謝りますから、お願いだから引かないで……。
さて、この黒猫さんどうしようかしら。
放っておいたらずっとついてくるんじゃないかしら。
それならいっそ私が面倒みるべき?尻尾三本生えている猫とか普通じゃないものね。
変な人に捕まえられたらかわいそうよね。うん。
一人旅も寂しいかもとか思ってたからちょうどいいかもしれない。
よし、そうしよう。
「……一緒に来る?」
「ニャッ!」
黒猫さんは私の肩に飛び乗ってきた。
――あっ、ちょっと重い。乙女にはつらいわこれ……。
でも、モフモフからの頬ずり。
はぁぁ……。たまらん……。
とにかく面倒を見ると決めたのだから、まずは名前よね。
この子の性別は……メスね。
あんまり考えすぎても決まらないから、こういうことは直感で決めるのが私。
「あなたの名前は――ルナ。
ルナ、これからよろしくね!」
「ニャァ~!」
またもや頬ずり。
さいこ―です……。たまらんです……。ありがとうモフモフ……。
そうしてルナを引き連れ歩いていると、視線の先に見えてきた。
追放されてから初めての――冒険者ギルド。
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