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一章 旅立ち
話し合い
しおりを挟む私たちはギルドで聞いた情報を共有すべく、スペードさんの部屋に集まっていた。
部屋には護衛の冒険者、スペードさん、商隊の商人さん数名とスペードさんの知り合いで他の商隊を率いているクローブさん。
街で偶然出会ったらしい。彼にも関係している話なので同行していただいた。
「ジャイアントホーンの群れか………。確かに妙だな。こんなところに出てくるような魔物ではない。それに人を襲ったなんてのも聞いたことないぞ」
「そうですね。それ以外の魔物も増えているせいで、街道を進むのは危険。辺境に向かえないのは困りましたね」
「護衛の冒険者を増やすのはどうだ?護衛が増えれば危険も減るだろう」
「いえ、それをするにも予算が心もとないですね。それ以前に、雇える冒険者もいない状況でしょう」
「つまるところ、魔物をどうにかしないと先には進めないってわけだな」
話し合いは進んでいく。
ジルさんとスペードさんを中心に、クローブさんや他の商人さんたちが意見を出し合っている。
『紅』の子たちもさすがに話に入れないみたいだ。グリッドなんかは最初に「俺たちで討伐すればいい!」とか言っていたけど、ジルさんに却下されていた。
まだ魔物の種類も完全に把握できていないのに、討伐に向かうのは自殺行為だ。
グリッド君はまだまだ未熟ということがわかった。これからだぞ少年!
ん?嫌いなんじゃないかって?そんなことはありません。
絡まれるのが面倒なだけです。無理して強がってるのなんてかわいらしいじゃないですか。と、お姉さんぶってみる。
そんなことは今はいいのです。まずは魔物についてどうするかですよ。
「そもそも、なんでこんなに魔物が増えたんですかね?」
「どういうことだ、嬢ちゃん?」
クローブさんが聞いてくる。
「皆さんもご存じの通り、ジャイアントホーンはこんなところに出るような魔物じゃない。もっと山奥に住んでいるはずです。
それにジャイアントホーンがいるからといって他の魔物が増える理由にはなりません」
「そうだな。近いところだと辺境の山か。山からジャイアントホーンに追われたと言っても、ジャイアントホーンはそんなに強い魔物ではないな」
「そうです。それなのにここにいるということは何か理由があると思いませんか?」
「……確かに。だが、その理由とやらはわかるのか?」
問題はそこなのだ。
理由が分かれば対処も簡単なのだが、その理由となる情報はない。
「あくまでこれは私の推測でしかないのですが、思い当たるとしたら三つです。
一つ目は、山に強力な魔物が住み着いたということ。これが一番可能性としては高いです。それなら魔物の大移動も考えられます。
二つ目は、この街の近くに魔物をおびき寄せる何かがあるということ。正直これはないとは思いますが……候補の一つとして考えてください。
三つ目は、辺境で何かが起こったのではないかということ。何が起こったかはわかりませんが、辺境から魔物が逃げてくるような事態になっているかもしれないと思ってください」
どれも確証はない。実際に何が起こっているかなんて当事者しかわからないのだから。
だが、参考程度に考えてもらえればいい。
商人さんは、魔物についての対策はするが、魔物の行動についてまで考えることはないのだ。
「なんだよ。それっぽいこと言ってるけど、なんにもわからねーじゃん」
グリッドめ。いちいち絡んでくるんじゃない。
そんなことは言ってる私でもわかってるわ……。
「しかし、今のこの状況の中辺境に向かうのは避けるべきですね。それが分かっただけでもいいと思います。無茶を通して進むという選択肢はなくなりました」
「そうだな。ここは解決策が見つかるまで待つべきだろう。いずれ領主様も動き出すと思う」
そこまで待つのは長すぎではないだろうか。
領主が動き出すのにはまだ時間がかかると思う。
「とはいえ、ただ待つのは良くないですね。ジルさん。街にいる間護衛はいいので、この街の冒険者の方々に協力してあげていただけませんか?」
「それはもちろん構わない。俺たちも冒険者だからな。魔物についての問題を放置しておくことはできない」
「では、よろしくお願いします。何か進展があれば教えてください。こちらでもできることがあれば協力します」
「ありがたい。ぜひ頼るとしよう。
――ということだ。明日は俺たちも魔物の調査をする。全員準備はしっかりな」
そういって、今回の話し合いは終了し解散となった。
急遽明日は魔物の調査をすることになった。
何事もなければいいのだが。こういうときにカーナがいれば楽になるのに。
……まぁいないのでどうしようもないのだが。
とにかく、明日に備えて今日は休むことにする。当然ルナちゃんをモフモフしながらですが!
「ねぇねぇ、ミミ。魔物を操っている人がいるとかだったら怖くない?」
「えー、こわーい。でもでも、キキ。そんな人がいたらすごいよね。魔物たくさん操り放題ってことでしょ。すごいすごい!」
後ろでなんか不思議な会話が。双子ちゃんたちはいつでも仲良しらしい。
それは気にせず、私は自分の部屋に戻った。
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