追放歌姫の異世界漫遊譚

あげは

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一章 旅立ち

討伐完了

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 ブラウが眩い光を放ちました。
 一体何が。と、思ったが目を開けることができなかった。
 しばらくすると光は収まり視界が戻った。慌てて周囲を確認する。
 全員が同じ行動をとったようで、一点を見つめ硬直した。絶句。
 綺麗な白銀の毛を靡かせ佇むブラウの姿。神々しさすら感じる。

「……ブラウ…………よね……?」

「わん!」

 ブラウが駆け寄ってきた。
 ……わぁ。いきなり大きくなってるじゃない。頭の位置が私の上にある。私、ブラウに乗れそう。いや、余るわね。私とカーナなら二人で乗れそうなくらい大きい。
 ということでなぜか大きくなってしまいました。これじゃ宿で一緒に寝れないわ。

「ミラノさん、これどういことですか!?」

「その子はね、聖獣だったんですよ。ただ聖獣は主を見つけてから覚醒するものなのです。ですから今覚醒したのだと思いますよ」

「聖獣……もしかして、フェンリル……」

「そうですよ。私は前にもフェンリルを見たことがあるのですが、ここまで神々しくはなかった気がします。これだとまるで神獣クラスですね」

 そんなのんびり笑顔でとんでもないこと言わないでください。
 これでまた厄介な事に巻き込まれる確率が高くなった。どうして私の周りでこんなに集まるのだろうか。幻獣に聖獣とか。モフモフだからいいけど!
 というか話に全くついていけないんですけど。何よ、覚醒とか。
 知らないことばかりで頭がパンクしそう。さっきの魔人もよくわからないこと言っていたし。ほんとどうなってるのよ。

「これならグリフを呼ばなくても何とかなりそうですね」

「え。ちょっと待ってください。まだわからないことだらけなんですけど」

「それは分かるけど今は後にしなさい。先にあれをどうにかするわよ」

 突然のことで固まっていたのは私たちだけではなく、レッドドラゴンも視界を奪われていたみたい。
 視界が元に戻ったのかまた動き始めた。

「確かにそうっすね。まずはあれを倒して街に戻るっすよ」

「……わかったわよ。とにかくできることをします。ブラウは何をさせればいいんですか?」

「初めに聖獣契約を済ませてしまいましょう。聖獣は契約者の力を増幅してくれます。終わるまで皆さんで時間を稼いでください」

「了解っすよ」

 カーナがボロボロの体でレッドドラゴンに向かっていく。
 それに合わせジルさんたちも攻撃を始めた。
 無茶はさせられないので早く終わらせよう。
 それより、私とずっと一緒にいたんだから契約していたわけではないのかしら。

「まだ覚醒前でしたので、いわゆる様子見というものではないでしょうか。自分の主か確かめるためのお試し期間のようなものです。それにしてはだいぶ懐いていたみたいですが」

「そうだったんですね」

 お試し期間だったのにあんなにモフモフさせてくれたのか。
 いや、どうなんだろう。ミラノさんの言う通り少し懐きすぎじゃない。私特に何もしていないのに。

「契約の祝詞は私が教えます。あとに続いてください」

「わかりました。……ブラウはいいの? 私なんかがご主人様で……」

「わんわん!」

 ブラウが頭をこすりつけてくる。
 こんなにおっきくなっちゃって……。あとでいっぱいモッフモフさせてもらうんだからっ!

『我、汝の主となるもの。聖なる契約の元、高潔な生を誓い、我が道を征く。穢れなき心を持って、我は汝を愛そう。我が意に従うならば、答えよ――」

「わん!」

『ここに契約は成された。我の死に際まで、汝が命、我と共にあらんことを――」

 私とブラウの足元に魔法陣が現れた。乱回転する魔法陣はだんたんと縮小し、私の手に刻まれた。この紋章が契約の証らしい。
 こんな目立つところにあっていいのだろうか。
 そんなことより。

「これからもよろしくね、ブラウ」

「わん!」

 契約したことによってブラウと魂がつながったような気がした。というか実際にそうなのだろう。
 あーあ。聖獣との契約とか。もう後戻りできないところまで来ちゃったわ。

「リリナさん。これで契約は完了です。そろそろあのトカゲを倒しに行きましょう」

「いや、あれをトカゲ扱いしないでくださいよ……。明らかに威圧感が違うじゃないですか」

「いいえ。あなたが聖獣と契約したことで、あれはトカゲになりました。力を使えば実感することでしょう」

「……わかりました。とにかくやってみます」

 いつものように歌おうとして気づいた。これはまずいと。
 魔力の量が桁違いに増えている。このまま使ったら自分で制御できないかもしれない。
 危ないと思った私は咄嗟に制御しようと、支援対象を絞った。

「カーナ!今からあなたを強化するから。――頑張って」

「え?なんすか、それ。どういうことっすか。先に説明してほしいっす……ッ!?」

 私が歌い始めたことで、カーナに支援魔法がかかった。
 それを体感したのかカーナは顔を歪めていた。
 これまで体感したことのない強化を受けたみたいであちらも制御が難しいのだろう。

「これはなんなんすかね……。あとで絶対に文句を言ってやるっす」

 と、言いながらも二刀の小太刀を構えて、レッドドラゴンに直行する。
 真正面から向かっていくのでレッドドラゴンもカーナに狙いを定めてブレスを放とうとしていた。

「悪いっすけどこれで終わりっす。こんな強化されたらさっきの魔人の簡単に捕まえることができたと思うんすけど、それは後のお楽しみに取って置くっすよ。そう言うことなんで、トカゲさんここでおさらばっす!〈忍法・かまいたち〉!!」

 カーナが聞きなれない魔法を使うレッドドラゴン細切れにされた。
 鱗が固くて刃が通らないなどとさっきまであんなに苦戦していたのに。
 ……これで実感しました。私の『歌姫』の力が滅茶苦茶強くなりました……。
 とにかくこれで辺境での騒動は終わったのではないでしょうか。







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