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一章 旅立ち
エピローグ
しおりを挟むあれから一週間。
特に何事もなく平和な日々を過ごしていた。
事の顛末を語ろうと思う。
私たちがダンジョンから街に戻った後、騎士団がダンジョンの調査に向かった。
結局ダンジョンは私たちが探索した一階層しかなく、階層主部屋の先にあったのはダンジョンコアだったらしい。
それを破壊したことでダンジョンはなくなり、元の洞窟に戻ったみたいだ。
ギルドマスターと領主には全て報告をした。
魔人と遭遇したこと。魔人を逃がしてしまったことダンジョンが各地に造られているかもしれないこと。
二人とも頭を抱えていた。正直辺境だけの問題に収まらなかったからだ。
国やギルド本部にどう報告するか考えていた。これからいろいろと忙しくなるだろう。
私には関係のないことだが。
それより私はあの後宿に入れなかった。ブラウが大きくなってしまったからだ。
今はゲンゾウさんの家でお世話になっている。なぜかカーナも一緒に。
「嬢ちゃん、できたぞ。これでしばらくは大丈夫じゃろう。しっかり手入れはせんといかんぞ」
「いやぁ、自分でもしてるっすけどね。やっぱ本職には敵わないっすわ」
カーナはゲンゾウさんに小太刀のメンテナンスを頼んでいた。
自分でもできるくせに、最近は怠っていたらしい。刃こぼれが酷いと言っていた。
「これは、お嬢さんのじゃ。受け取ってくれんか?」
「え。これって……」
真っ白な鞘に納められた刀を渡された。
どうして私に刀なんか。戦えないって知ってるはずなのに。
カーナが勝手に抜いて確認している。
「おぉ~。打刀っすね。美しい刀身に鮮やかな波紋。いい刀っすね。でも刀身が真っ白なのはどうしてっすか?」
「それは魔白石という鉱石を使っておるからじゃ。魔力伝導率が上がり、頑丈な武器を作ることができる。それに軽いから魔剣士の上位冒険者はこの鉱石を使った武器を好むのじゃ。今回はミスリルを主にアダマンタイトを少量混ぜ込んである。熟練の剣士であれば刃こぼれすることなく扱うことができるじゃろう。わしの最高傑作じゃ」
「そんな……どうして私に?」
「最初に言うたじゃろう。お嬢さんに合う武器を作れると。今は確かに戦えんかもしれんが、わしはおそらくお嬢さんなら立派な剣士にもなれると思うてる。じゃから持っていってくれんかの」
「剣士って……私どちらかというと歌姫なんですが……」
「まぁ、いいんじゃないっすか。ダンジョンでも言ったっすけど、リリィが歌いながら戦えるようになればいいんすよ。それができたらたぶん最強っすよ」
「私にそんなことできるかしら」
「やってみなきゃわからないっすよ。こんないい刀もらえるんすから練習あるのみっす。剣術なら自分が教えられるっすよ」
「……カーナ。あなたまさかついてくる気?」
「もちろんすよ!リリィについていった方が面白――楽しそうっすからね。それに自分たち友達じゃないっすか」
「ちょっと面白いって今言ったわよね?ごまかされないんだから。私についてくれば退屈しないとか考えているのね。そうはいかないわよ
私は平和に旅したいの!おいしいもの食べて、珍しい物見て、私の知らない世界をこの子たちとみるの。今回みたいな厄介事には巻き込まれたくなんてないんだからね!」
「……リリィ。現実逃避はよくないっすよ。ちゃんと自分と向き合うっす。どこに行ってもリリィの周囲では厄介事が起きる運命なんすから」
「それを言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
カーナが言ってはならないことを言った。
それじゃフラグになっちゃうじゃない。あなたが教えたことよ。わかってて言っているわねこいつ。
そうしてまた私とカーナの口喧嘩が始まる。お決まりの流れになった気がする。
そしてまた怒られることになるのだろう。
「またやってるのあなたたち。懲りないわね」
メイさんが戻ってきた。ミラノさんと魔法の特訓をしていたのだ。
「仲が良くてよろしいではありませんか。それよりリリナさん。次はどこに向かう予定なのですか?」
「次ですか?ここから南に山を越えた先にある国に行きます」
「それって中立国の?」
「そうです。――水の都アタランティアへ」
この大陸で唯一いろいろな種族が住んでいる国。
それがアタランティアだ。そこならママの情報ももしかしたらあるかもしれない。
それに私の知らないものがたくさん見つかるかもしれない。
メイさんたちとはここでお別れになるが、また会えるだろう。少し寂しいけどね。
それでも私は足を止めることはない。そう決めたから。
だから私は旅を続ける。ルナとブラウと共に。……一人おまけがついてくるけど。
まあいいや。これからも楽しくなりそうだ――。
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