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二章 水の都
エルフ攫い
しおりを挟む「人攫い?」
「そうです。人攫いというかエルフ攫いですね……」
「いや、それはどうでもいいんだけど」
ナトリちゃんも案外冗談とか言うのね。
そういえば、ロゼちゃんも妖精族で行方不明がいるって言っていたような。
結局詳しいことは聞かずに終わったんだったわね。
つまり、妖精族とエルフは同じ人攫いにあっている可能性ありと。
「もしかして、うちの里の子たちも攫われていたのかしら!」
ロゼちゃんは分かってなかったみたいです。やっぱりアホの子なのかもしれない。
「それで、エルフが誘拐されているから助けに来たと。そういうことっすよね」
「そうです」
「ひとりでっすか?」
「……そうです」
それは無茶じゃないかしら。
さすがに一人でどうこうできるようなことじゃないわ。もっと仲間を連れて来るとかできなかったのかしら。
「エルフは排他的な考え方をする人の方が多いんです。多種族との交流も最低限で……。なので今回もエルフは静観するって族長たちが決めたんです。それを破って私はここにいるんです。一人でもなんでもやるしかないんです」
「他のエルフも頼れず単身でここまで来て、そんなにする理由があるの?」
こんなにも覚悟を決めているんだ。それなりの理由があるに違いない。
まあ、ロゼちゃんみたいな本能で動いているような子もいるけど。
「……親友がいたんです。とても仲良くて、族長たちのような考え方が嫌いで、多くくなったら二人で冒険者になろうって約束していたんです。
それで村を出る数日前に、姿が見えなくなったんです。村の端から端、さらには森中探しまわったんですがどこにもいなくて。そしたら、他の村でも同じような事があったみたいで、調べたら攫われた可能性が高いって。もしそうなら、今頃何されているかわからないです。ひどい目に合っているかもしれません。そう思ったら居ても立っても居られなくて、そのまま村を飛び出してきました」
「なるほど。要するにその親友の子を助けたいってことね。話は分かったけど、どうするつもりなの?」
ナトリちゃんの話を聞く限りでは、おそらくノープランじゃないだろうか。
勢いでここまで来たみたいだし。
「幸い、冒険者登録もできて一時的にですが仲間もできました。なので手分けして情報を集めようかと……」
この少年たちとは一時的なものだったのね。
少年たちもこの話を聞いていたみたいで、その上で協力しているらしい。
なかなかいい子たちだが……。
「それじゃダメね」
「な、なんでですか」
「正直私が言えることじゃないけど、あなたたちで何とかできると思う? 人攫いをやるような連中よ。下手したら貴族とかそういうのまで関わっているかもしれないわ。そうしたら当然権力でも武力でも勝てないわ」
ましてや裏の組織とかだったら、手段は選ばないわね。
命かけても無理だわ。
「だったらどうしろっていうんですか! こうしている間にもフェルトが酷い目に合っているかもしれないんです。私たちにできることなんて」
「そこよ。あなたたちにできないことがあるなら、誰かを頼るしかないの。権力に対抗できる人、武力で勝る人、そういう人たちに協力してもらうのよ。適材適所ってやつ」
「でも、私たちは駆け出しですし、そんな知り合いなんて……」
「そういうのは私とカーナに任せなさい。こう見えてもいろいろと器用なのよ」
私がそう言うと、ナトリちゃん含め少年たちがポカーンとしている。
何よ。私たちが何もしないとでも思っていたのかしら。
「……手伝っていただけるんですか?」
「当然よ。それに、ロゼちゃんと一緒に行動している理由もそれだし」
「リリィ、できれば一言断りを入れてほしいところっすね」
「あら。断ろうとか考えていたの?」
「いや、全然。美少女エルフが困っているなら理由なんて関係なしにお助けするっすよ」
「じゃあいいじゃない」
カーナがこういう子だってわかっているから、勝手に決めてるの。
それに何だかんだ言って頼りにしてるんだからね。
「あ、ありがとう……ございます……」
少し涙ぐんでいる。思わぬ助っ人で感極まったのかしら。
まあ、私は特に何か役に立つわけじゃないけどね。
「とにかく、まずは人攫いについて探さなきゃね。忙しくなると思いなさい」
「「「はいっ」」」
少年たち、いい返事ね。気合十分って感じじゃない。
「あー、それなんすけど、たぶん探さなくても大丈夫っすよ」
「どういうことよ?」
「さっき街歩きながらいろいろ聞いてたんすけど、近々違法のオークションが開かれるとかなんとか」
「……どこで聞いてくるのよその話」
「それは秘密っすけど。まあ何が言いたいかというと、人攫いの目的ってわけで。さっきの窮鼠会?でしたっけ? あんな感じの変な裏組織の連中も集まっているみたいっす」
「つまり、オークションの商品としてエルフや妖精族が出てくるわけね」
「そういうことっす」
カーナのおかげで思いのほか早く見つかりそうです。
……せっかくみんなで気合入れたのに。台無しじゃない! もう!
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