追放歌姫の異世界漫遊譚

あげは

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二章 水の都

『暗殺姫』

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 あの後私たちはみんなで夜ご飯を食べに行った。
 行ったのは普通の酒場よ。カフェのパンケーキはおやつだもの。
 ご飯はしっかりたべないとね。とか言ったらカーナに、太る確定っすね、なんて言われました。
 おかしくない。そんなに食べていないのに太るとか言わないでほしいわ。
 結局酒場で食べたのだって、パスタ三人前くらいよ。ちょっとだけじゃない。
 なので私は太ることはありません。大丈夫なんです。

 まあそれは置いといて。今日の話をしましょう。
 昨日決めたのは、分担です。オークションの情報を集める人と協力者を増やす人に分けました。
 私ロゼちゃんナトリちゃんが後者です。カーナと少年たちは見た目危ない人たちに聞き込みに行くそうです。なんでも、カーナ秘伝の情報源があるとか。
 私もそれ教えてほしかったのだけど。今回は我慢するわ。
 とにかく、私たちのやるべきことをしましょう。
 そんなわけで、今日もまたギルドに来ました。
 そうです。皆さんご存じのあのお姉さんに会いに来たんですよ。あの人なら何とかしてくれそうな予感がしますし。
 ただ、昨日と同様視線が煩わしい。いちいち注目しなくてもいいと思うのよね。
 なぜか、ロゼちゃんは誇らしげだけれど。

「ここの連中は分かっているのね。誰が一番可愛いということが!」

 視線を集めているのがよっぽどうれしいみたいです。
 変なのが絡んでくる前に早く行こう。

「おっと、嬢ちゃんたち。こんなところでなにやってるんだ? 暇なら俺様の相手でもして――」

「めんどい! 絡んでくんな! ブラウ!」

「アオォ―――――ン」

 邪魔なので瞬殺します。ブラウが。ただ周辺にも少し影響が出てしまったようだが構いません。
 これで変な奴も絡んでこなくなるでしょう。

「はーい、リリナちゃん。こっち、いらっしゃい」

 ……あれ? なんか怒ってる。笑っているはずなのにとても怖いわ。
 そういうところほんとミーシアさんとそっくり!


 ◇◇◇



「――別に自衛するのはいいんだけどね。あのバカが悪いんだから問題ないんだけど、限度ってものがあると思わない? ねぇ、リリナちゃん?」

「……おっしゃる通りでございます」

「聖獣の吠声なんてDランク以下の冒険者なんて失神ものよ。Cランクだって場合によってはそうなるかもしれないんだから。これに威圧までされたらこのギルドの冒険者じゃほとんど対抗できないわよ。それが分かったらちゃんと考えてから自衛すること。わかった?」

「ハイ。気を付けます」

 小一時間ほどマキナさんのお説教を受けることになりました。
 なんでも新人のギルド職員さんまで倒れてしまったらしい。ごめんなさい。
 次からは吠えさせるんじゃなくて物理的にどうにかしよう。
 そのほうが被害も少なくなるだろう。ちゃんとブラウにも教えとかないとね。

「それで、今日はどうしたのかしら? 昨日の今日で何かあったの? ってまあ、なんとなくは分かるんだけどね」

「……まだ何も言ってませんよ」

「妹から聞いているからね。リリナちゃんはトラブル体質だって。だから何かしらのトラブルにでも関わっているんでしょう? 昨日の窮鼠会の連中のことだって、ね?」

 情報が早すぎるのではないでしょうか。
 まだ半日くらいしかたっていないと思うのですが。
 そこまで知られているのなら、話が早くて助かるけどね。

「実は……」

 そして私たちの事情を説明した。
 そのためにロゼちゃんとナトリちゃんを連れてきたのだから。
 まあ説明はほぼナトリちゃん一人でしていたけど。ロゼちゃんは自分がいかに可愛いかの話しかしなかったので、少し静かにしてもらった。(物理的に)

「なるほどね。事情は理解したわ。協力……というか、ギルド側としても看過できない話なのよね。闇オークションとか、この国でそんなことさせるわけにはいかないのよ」

「そんなんですか?」

「ここは一応中立国として成り立っているのよ。それなのに闇オークションの会場として何か問題でも起こったら……。場合によっては戦争の引き金になりかねないもの。人身売買は人大陸全体で禁忌とされているから、それを犯したとか言って各国が攻め込んでくるかもしてない。ましてやエルフに妖精さんでしょ。獣大陸に喧嘩を売っているようなものだわ」

「それは確かにまずいかもですね」

「ギルドでも闇オークションについては探っていたのよ。情報を集めて現行犯で捕らえるのが一番楽だからね。それにしてもどこから情報が出てきたのかしら」

「私の相方のカーナがどこからか聞きつけたみたいなんです」

「カーナ……ってもしかして『暗殺姫』のカーナちゃんかしら?」

「『暗殺姫』? なんですかそれ?」

「知らなかったの? Aランク冒険者『暗殺姫』カーナ。同じパーティーにいたからてっきり知っているものかと思っていたけど。あの子単独で高難度の討伐をこなし、魔物の倒し方がまるで暗殺者みたいだって冒険者の間では有名なのよ。それに加えて見た目がお姫様みたいじゃない? そんな感じでつけられた二つ名が『暗殺姫』」

 へ~~~~~~~~~~~~~~~~。
 そーんなに有名人だったのねぇ。あの子ったら教えてくれればいいのに。まったく水臭いんだからっ。
 マキナさん、とてもいい情報をありがとう。あとでいじり倒しておきます。
 それにしても『暗殺姫』ねぇ。確かに黙っていれば深窓の令嬢のような見た目だけど。『暗殺姫』ねぇ。
 待って。どうしても頬が緩んでしまうわ。抑えきれない。
 あー、早くカーナに会いたいわ~~。






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