ダンジョンで騙されたけど、伝説の剣を手に入れて復讐しながら冒険する。

第間話

　ロットがラーセンシティに着いてから次の日。
　ここはロットが生まれ育った町、ソーラ村。

「ふわぁ～……」

　朝の朝刊を取りに眠気と戦いながらポストへと向かう二十歳ほどの白い髪の女性、シーラ・グラングド。ロットの祖母だ。
　ダンジョンの宝の効力で永遠に若い体で止まっているため、説明されないと誰もロットの祖母だとは思わないだろう。

「はぁ～」

　腰をボリボリと掻きながら溜息を吐く。
　シーラは生きる気力が失っていた。最愛の孫であったロットから全く音沙汰がない。二年も手紙がなければ誰でも察しが付く……ロットは死んだのだろう。
　朝食の準備をしながらロットが村を出て行った時の事を思い出す。

『ばあちゃん！俺、じいちゃんよりも早く探索を制覇した者トレジャーズマスターになってみせるよ！』
『その前に、ギルドに登録したら私に報告しに戻って来な。爺さんにも報告したいからね』
『うん！わかってるって！行ってきます！』
『気をつけて行くんだよ！』

　視界が霞んでくる。シーラは袖で目を擦り朝食の準備を再開する。

「…………」

　朝食を食べながら朝刊を読む。この新聞は近くにある街の情報しか載っていない、王都などのニュースが知りたいのであれば取り寄せなければいけない。

「ふん……」

　シーラはある記事を見つける。山賊で有名なダイケツ捕まる！英雄爆誕！
　馬鹿な記事だと思い読み飛ばそうとしたが、ダイケツを倒した英雄の写真に目がいった。

「なっ……！！」

　写真に写っている女性たちに囲まれている英雄、それは紛れもなくロットであった。

「まさか……！ダイケツを倒し、ドーラ男爵が暗躍する魔の手から大商会ファリアス商会の娘キアナを見事に救出したロット・グラングド氏は……」

　記事を口にしながら読み上げ、途中で止まる。

「ロット……そうかい。生きていたのかい。はっはっはっは！」

　シーラの目から涙が流れる。嬉しくて涙が流れるのはいつ以来だろうか。

「馬鹿孫め、道草食ってないでさっさと帰ってきな！」

　新聞に載っているロットに笑い掛ける。隣に居る小さな女の子はロットの仲間だろうか？近くまで来ているのなら、きっと帰ってくるだろう。その時に詳しく聞かせてもらうとしようとシーラは考えた。

「ガングのやつにも教えてやるとしようかね」

　シーラは朝食を食べる。今日の朝食はいつもよりも美味しかった。