蟲籠の島 夢幻の海 〜これは、白銀の血族が滅ぶまでの物語〜

二階堂まりい

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三章

二章までのあらすじ

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 二ツ河島に、赤松深夜美みやびなる赤い目の美青年がハウスキーパーとしてやって来る。
 彼は人当たりが良く、すぐに周囲に馴染んだ。
 島で恐れられ、避けられている家の青年、荒津楼夫たかおにも彼は分け隔てなく接するのだった。

 
 一方、鎮神しずか真祈まきを玖美の計画から守るために、超能力で玖美を傷つけてしまう。
 玖美は鎮神や、宇津僚うつのつかさ家の人々を化け物だと侮蔑し、島から逃げようとする。
 しかし島から逃げようとしたことで、玖美は真祈の謎の力で殺されてしまうのだった。

 鎮神は母を傷つけたことを悔いて、自身の首を鉈で切ってしまう。
 しかし与半よはんまどかに発見されて一命はとりとめ、看護士の路加ろかに出会う。


 真祈は鎮神に、島の秘密を知りたいかと訊ねる。
 真祈曰く、島の秘密は鎮神の心を救うかもしれない。しかし秘密を知れば、鎮神は島を出られなくなる。

 鎮神は、今秘密を知らなければ自分は再び死を選んでしまうだろうと考え、灯台へ赴き真祈の話を聞く。
 

 そして聞かされたのは、宇津僚家の血筋にも関わる、二ツ河島の創世神話だった。


 かつて地上に生きていた呪術を得意とするルルーの民なる存在。

 二ツ河島に突如降臨してルルーの民を殺し、その死体を用いてカルーの民を生み出した、帝雨荼ていあまた阿巫子あふすなる夫婦神。

 そしてそのカルーの民こそが宇津僚家であり、銀の髪や超能力、また真祈の両性具有の由来はそこにあった。

 宇津僚家の目的は、近親婚によって血を濃くし、古代の人間や神々との争いで遠ざかってしまった天国のような概念「 空磯からいそ」への扉を開く子を産むことであった。


 さらに意外なことに、真祈は空磯に興味など無く、鎮神を傷つけてまで子を為すつもりはないと告げた。
 鎮神は自分のことだけでなく真祈のことも少し知ることになり、少しではあるが心を開くのだった。
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