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九章 Technological Singularity
六十六話 衝突
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一瞬で辺り一面は飛び交うレーザーや張られるバリアの光で、ネオ南都の町中以上に眩しくなる。
電気柵や有刺鉄線などの障害物が上手くロボットを阻み、コアを撃ち抜く隙を作ってくれている。
ドローンも思うように飛べず、格好の的となった。
更には地中に埋め込んであったEMP地雷も、次々と作動してはロボットを停止させていく。
本丸の狭間からは、三善と愛洲が防衛ラインの向こうから無線で操作しているRWSが、シチA3を振り回している。
このシチA3はエレクトロウェアで強化された人間の膂力でも扱えない程に大量の強化装置を積み込み、カートリッジを替える手間が要らぬよう電源に直接繋いである。
本丸と出丸から放たれ続けるレーザーは、十字砲火の形となって次々に敵を薙ぎ倒していった。
邪機が盾を構えようとも、交差する射線は必ず死角を捉えて襲い掛かる。
それでもオーオンが用意してきたロボット達は、とにかく数で勝る。
次第に電気柵や有刺鉄線は壊されていき、出丸に敵が接近してきていた。
出丸によじ登って来る敵への対処が追い付かなくなったところで、佐久良は決断する。
「通路を使う。栗栖、相馬……ここは任せた」
「はいよ。スペースが広く使えるぶん大暴れしたる!」
「了解ですっ」
由利と佐久良、そして夏目が退いた先は出丸と本丸を繋ぐ通路だった。
ただし本丸の入り口は閉じられており、由利にとっては浮見堂戦以来の背水の陣だ。
狭い一本道で、由利を背中に庇いながら二人がジャンジャン火を連射する。
通路では邪機達は大軍の利を活かしきれず、佐久良と夏目に各個撃破されていく上に、栗栖と相馬にも背中を見せることとなる。
先に栗栖と相馬を始末しようと思えば戦力が分散し、どちらにせよモノノベには都合が良い。
ドロップの逆流で佐久良が弱っているぶんも夏目が奮戦し、作戦通りオーオン側の戦力は削れている。
それでも邪機は突入せずにはいられない――オーオンの狙いが由利の生け捕りである以上、由利は護衛対象であると同時に囮の役割を持つ。
それに裏を返せば、これは邪機にとって佐久良と夏目を通路に押し込めて殺す好機とも言えるのだ。
『来たで、オーオンとマルセルが』
無線に栗栖の声が届いた。
了解、と返答すると同時に出丸の方で、他の大型邪機とは比べ物にならない程の重々しい物音を立てて暴れる気配があった。
由利達が多くの邪機を引き付けている間、栗栖と相馬はオーオンを乗せたマルセルと対峙していた。
上空ではドローン型の邪機が、壊れたバリケードの間隙を縫って次々と集まってきている。
「久しぶりね、鎗使いと銃使いのジャンクファイル」
オーオンが気さくに話し掛けてくる。
「久しぶりやけど、今日でさようならや!
相馬は離れてドローンを片付けといて、このデカブツは私がやるから」
栗栖はそう言ってシチA3を背負うと、池月を抜く。
鎗一本で、身の丈の数倍はあるマルセルに突っ込んで行った。
鋼鉄の触手でマルセルは栗栖を迎え撃つ。
池月を縮めて栗栖が後退った一瞬、彼女に隙が出来た。
藤色の光が辺りを包む――オーオンのグレアだ。
オーオン配下のロボット達はジャミングを受けている筈だが、オーオンの見た映像を送り込まれているので、視点は異なるもののある程度周囲が見えているらしい。
空間認識能力を失ってたたらを踏む栗栖に、無数の触手が巻き付く。
硬い物を砕く音が本丸にまで届いた。
「なっ……」
呆然とするオーオンに向けて、栗栖は飄々と言う。
「ボタンを押すくらいやったら……フラフラのぐるぐる巻きでも出来るからなあ」
勢いを付けて急に長く伸びた池月が、マルセルの触手を串刺しにしていた。
隙を見せた所から、全てが栗栖の作戦通りだったのだ。
大部分の触手を栗栖の拘束に使っていたせいで、それらを一気に封じられたこととなり、使役しているオーオンに焦りが滲む。
栗栖を振り解く為だけに触手の大半を自ら切除してこの先戦えるのか、迷いが生じた。
栗栖はオーオンの逡巡を衝いてマルセルの足元へ走り出す。
マルセルは触手を振り乱してどうにか栗栖を吹き飛ばそうとするが、一向に離れない。
そうこうしているうちにグレアの持続時間が切れた。
今度は触手を貫いたままの鎗をピッケル代わりにして触手をよじ登り、どんどん栗栖はマルセル本体に迫る。
栗栖の掌中には、実は池月以外にももう一つ武器があった。EMP装置だ。
どうにかしてEMPの有効範囲内にオーオンを入れ、スイッチを作動させればモノノベの勝ちだ。
そして、あと少し触手を手繰れば有効範囲に入る。
「ああもう、修理したばっかりだったのに!」
オーオンが喚くと同時に、頭上が明るくなった。
栗栖は落ち着いてバリアを張る。
オーオンのグレアの範囲外に立ちドローンを狙撃し続けていた相馬も、栗栖をバリアで包んでくれた。
お陰で栗栖自身は無事だったが、ドローンから放たれたレーザーの弾幕がマルセルの触手を引き千切り、栗栖の作戦を挫く。
「ま、オーオンが易々とやられてくれる訳ないもんな」
弾幕が止むと栗栖は立ち上がり、べっと舌を出した。
「マルセルは随分やられちゃったけど、まあ構わないわ。
データを手に入れれば損傷のぶんは十二分にペイするもの」
オーオンはなおも余裕だった。
すかさず人型のロボットが集まってくると、盾を構えてマルセルを囲む。
金具を上下左右に連結することで、それらは大量の盾というよりも城壁のようになる。
盾と盾の間隙から邪機達が銃を突き出し、相馬と栗栖を阻んだ。
その中心でマルセルが何かをしようとしている。
オーオンの作戦が新たな段階に進んだことを、通路に居た由利達も感じ取っていた。
襲い掛かってきていたロボット達が突如攻撃を止め、通路の半ば程に集まっていく。
落ちていた邪機の死骸をも掻き集め、バタバタと折り重なって行く様は、まるでマルセルから由利を守っているかのようだ。
電気柵や有刺鉄線などの障害物が上手くロボットを阻み、コアを撃ち抜く隙を作ってくれている。
ドローンも思うように飛べず、格好の的となった。
更には地中に埋め込んであったEMP地雷も、次々と作動してはロボットを停止させていく。
本丸の狭間からは、三善と愛洲が防衛ラインの向こうから無線で操作しているRWSが、シチA3を振り回している。
このシチA3はエレクトロウェアで強化された人間の膂力でも扱えない程に大量の強化装置を積み込み、カートリッジを替える手間が要らぬよう電源に直接繋いである。
本丸と出丸から放たれ続けるレーザーは、十字砲火の形となって次々に敵を薙ぎ倒していった。
邪機が盾を構えようとも、交差する射線は必ず死角を捉えて襲い掛かる。
それでもオーオンが用意してきたロボット達は、とにかく数で勝る。
次第に電気柵や有刺鉄線は壊されていき、出丸に敵が接近してきていた。
出丸によじ登って来る敵への対処が追い付かなくなったところで、佐久良は決断する。
「通路を使う。栗栖、相馬……ここは任せた」
「はいよ。スペースが広く使えるぶん大暴れしたる!」
「了解ですっ」
由利と佐久良、そして夏目が退いた先は出丸と本丸を繋ぐ通路だった。
ただし本丸の入り口は閉じられており、由利にとっては浮見堂戦以来の背水の陣だ。
狭い一本道で、由利を背中に庇いながら二人がジャンジャン火を連射する。
通路では邪機達は大軍の利を活かしきれず、佐久良と夏目に各個撃破されていく上に、栗栖と相馬にも背中を見せることとなる。
先に栗栖と相馬を始末しようと思えば戦力が分散し、どちらにせよモノノベには都合が良い。
ドロップの逆流で佐久良が弱っているぶんも夏目が奮戦し、作戦通りオーオン側の戦力は削れている。
それでも邪機は突入せずにはいられない――オーオンの狙いが由利の生け捕りである以上、由利は護衛対象であると同時に囮の役割を持つ。
それに裏を返せば、これは邪機にとって佐久良と夏目を通路に押し込めて殺す好機とも言えるのだ。
『来たで、オーオンとマルセルが』
無線に栗栖の声が届いた。
了解、と返答すると同時に出丸の方で、他の大型邪機とは比べ物にならない程の重々しい物音を立てて暴れる気配があった。
由利達が多くの邪機を引き付けている間、栗栖と相馬はオーオンを乗せたマルセルと対峙していた。
上空ではドローン型の邪機が、壊れたバリケードの間隙を縫って次々と集まってきている。
「久しぶりね、鎗使いと銃使いのジャンクファイル」
オーオンが気さくに話し掛けてくる。
「久しぶりやけど、今日でさようならや!
相馬は離れてドローンを片付けといて、このデカブツは私がやるから」
栗栖はそう言ってシチA3を背負うと、池月を抜く。
鎗一本で、身の丈の数倍はあるマルセルに突っ込んで行った。
鋼鉄の触手でマルセルは栗栖を迎え撃つ。
池月を縮めて栗栖が後退った一瞬、彼女に隙が出来た。
藤色の光が辺りを包む――オーオンのグレアだ。
オーオン配下のロボット達はジャミングを受けている筈だが、オーオンの見た映像を送り込まれているので、視点は異なるもののある程度周囲が見えているらしい。
空間認識能力を失ってたたらを踏む栗栖に、無数の触手が巻き付く。
硬い物を砕く音が本丸にまで届いた。
「なっ……」
呆然とするオーオンに向けて、栗栖は飄々と言う。
「ボタンを押すくらいやったら……フラフラのぐるぐる巻きでも出来るからなあ」
勢いを付けて急に長く伸びた池月が、マルセルの触手を串刺しにしていた。
隙を見せた所から、全てが栗栖の作戦通りだったのだ。
大部分の触手を栗栖の拘束に使っていたせいで、それらを一気に封じられたこととなり、使役しているオーオンに焦りが滲む。
栗栖を振り解く為だけに触手の大半を自ら切除してこの先戦えるのか、迷いが生じた。
栗栖はオーオンの逡巡を衝いてマルセルの足元へ走り出す。
マルセルは触手を振り乱してどうにか栗栖を吹き飛ばそうとするが、一向に離れない。
そうこうしているうちにグレアの持続時間が切れた。
今度は触手を貫いたままの鎗をピッケル代わりにして触手をよじ登り、どんどん栗栖はマルセル本体に迫る。
栗栖の掌中には、実は池月以外にももう一つ武器があった。EMP装置だ。
どうにかしてEMPの有効範囲内にオーオンを入れ、スイッチを作動させればモノノベの勝ちだ。
そして、あと少し触手を手繰れば有効範囲に入る。
「ああもう、修理したばっかりだったのに!」
オーオンが喚くと同時に、頭上が明るくなった。
栗栖は落ち着いてバリアを張る。
オーオンのグレアの範囲外に立ちドローンを狙撃し続けていた相馬も、栗栖をバリアで包んでくれた。
お陰で栗栖自身は無事だったが、ドローンから放たれたレーザーの弾幕がマルセルの触手を引き千切り、栗栖の作戦を挫く。
「ま、オーオンが易々とやられてくれる訳ないもんな」
弾幕が止むと栗栖は立ち上がり、べっと舌を出した。
「マルセルは随分やられちゃったけど、まあ構わないわ。
データを手に入れれば損傷のぶんは十二分にペイするもの」
オーオンはなおも余裕だった。
すかさず人型のロボットが集まってくると、盾を構えてマルセルを囲む。
金具を上下左右に連結することで、それらは大量の盾というよりも城壁のようになる。
盾と盾の間隙から邪機達が銃を突き出し、相馬と栗栖を阻んだ。
その中心でマルセルが何かをしようとしている。
オーオンの作戦が新たな段階に進んだことを、通路に居た由利達も感じ取っていた。
襲い掛かってきていたロボット達が突如攻撃を止め、通路の半ば程に集まっていく。
落ちていた邪機の死骸をも掻き集め、バタバタと折り重なって行く様は、まるでマルセルから由利を守っているかのようだ。
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