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神竜の審判
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「これより、神龍の審判を行なう」
金属音が途切れ、低い声が響き渡ります。
Aさんの手の力が緩み、ようやく顔を上げることができました。
見上げると神殿中央部に白いローブをまとった男の人が片手を揚げていました。
あれどうみても人間ですよね? 竜ではないですよね?
ということは神主さん、みたいな方なんでしょうね。
で、石段に並んだ方は巫女さんというところでしょうか。
何となく、この国の職業が判ってきましたよ。神社って感じですよね、この場合。
日本とは随分とかけ離れた様子ですけど。
そしてまた、金属音が鳴り響きます。
それを合図に私たちは強引に立たされ、誘導されます。
石段から降りて来た巫女さん周辺に集められ、Aさんたちは周囲を囲うようにして見張っている様子。
巫女さんを先頭に随分とボロボロになったワンピース姿の容疑者であろう私たちがぞろぞろと付いて行くみたいです。
どこに行くのか何をするのか全く分からずしまいですが従うしかありません。
ただただ指示に従っての行動あるのみ。
どのくらい移動させられるんだろうと思っていたら割と近く、そこはちょうど神殿脇にある水辺。
やっぱり石造りとなっていてまるでプールのようです。
水面から見下ろすと底が見えるきれいな水が張っていました。
対岸沿いに階段があり、そこを通って浸かっていくようです。
私たちは一列に並んだ順に一人一人中へ入るよう促されていきます。
清めの儀式だと巫女さんが呟きました。
せっかくのきれいな水なのに日ごろから薄汚れた私たちが入ったら真っ黒になりそうでもったいないとつい余計なことが過ぎります。
同じような立場の人たちがざっと数えたところ20人ぐらいでしょうか?
続々と階段に足をかけ、入っていきます。
ついに私の番が来てしまいました。後ろはアニーさんです。
足を浸けると思ったより冷たくありません。
段差を下りるにつれ、徐々に身体が沈んでいきます。
綺麗だった水が心なしか濁ってきている感じがします。
けれどお風呂さえ、入っていなかった日常。
少しは綺麗になるのかななんて不謹慎なことが過ぎりながら歩みを進めていくと、階段が無くなった途端、背丈より水が上に!
そのショックで大量の水が口に入ってきました。
突然、背伸びをしないと水面には届かない深さ。
油断した途端、これですよ。
……やっぱりこれって殺す気満々ってことですよね?
ゲホゴホと咳き込みながらどうにか対岸に着くことができました。
見回せば何人かは同じ目にあっているようですね。
私よりちょっと背が高いアニーさんはどうにか無事のようでした。
心配はかけてしまったようですけど。
でも飲まず食わずだった私にとっては充分な水分補給でしたよ、ふん。
清めの儀式が終わると今度は神殿の裏手の方へと導かれました。
とはいえ、水を含んだ服が急激に重く感じます。
これも嫌がらせの一つなのでしょうね。
猫背になりながら歩みを進めていくと目の前に大きな塔が現れました。
金属音が途切れ、低い声が響き渡ります。
Aさんの手の力が緩み、ようやく顔を上げることができました。
見上げると神殿中央部に白いローブをまとった男の人が片手を揚げていました。
あれどうみても人間ですよね? 竜ではないですよね?
ということは神主さん、みたいな方なんでしょうね。
で、石段に並んだ方は巫女さんというところでしょうか。
何となく、この国の職業が判ってきましたよ。神社って感じですよね、この場合。
日本とは随分とかけ離れた様子ですけど。
そしてまた、金属音が鳴り響きます。
それを合図に私たちは強引に立たされ、誘導されます。
石段から降りて来た巫女さん周辺に集められ、Aさんたちは周囲を囲うようにして見張っている様子。
巫女さんを先頭に随分とボロボロになったワンピース姿の容疑者であろう私たちがぞろぞろと付いて行くみたいです。
どこに行くのか何をするのか全く分からずしまいですが従うしかありません。
ただただ指示に従っての行動あるのみ。
どのくらい移動させられるんだろうと思っていたら割と近く、そこはちょうど神殿脇にある水辺。
やっぱり石造りとなっていてまるでプールのようです。
水面から見下ろすと底が見えるきれいな水が張っていました。
対岸沿いに階段があり、そこを通って浸かっていくようです。
私たちは一列に並んだ順に一人一人中へ入るよう促されていきます。
清めの儀式だと巫女さんが呟きました。
せっかくのきれいな水なのに日ごろから薄汚れた私たちが入ったら真っ黒になりそうでもったいないとつい余計なことが過ぎります。
同じような立場の人たちがざっと数えたところ20人ぐらいでしょうか?
続々と階段に足をかけ、入っていきます。
ついに私の番が来てしまいました。後ろはアニーさんです。
足を浸けると思ったより冷たくありません。
段差を下りるにつれ、徐々に身体が沈んでいきます。
綺麗だった水が心なしか濁ってきている感じがします。
けれどお風呂さえ、入っていなかった日常。
少しは綺麗になるのかななんて不謹慎なことが過ぎりながら歩みを進めていくと、階段が無くなった途端、背丈より水が上に!
そのショックで大量の水が口に入ってきました。
突然、背伸びをしないと水面には届かない深さ。
油断した途端、これですよ。
……やっぱりこれって殺す気満々ってことですよね?
ゲホゴホと咳き込みながらどうにか対岸に着くことができました。
見回せば何人かは同じ目にあっているようですね。
私よりちょっと背が高いアニーさんはどうにか無事のようでした。
心配はかけてしまったようですけど。
でも飲まず食わずだった私にとっては充分な水分補給でしたよ、ふん。
清めの儀式が終わると今度は神殿の裏手の方へと導かれました。
とはいえ、水を含んだ服が急激に重く感じます。
これも嫌がらせの一つなのでしょうね。
猫背になりながら歩みを進めていくと目の前に大きな塔が現れました。
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