22 / 48
神竜の審判
5
しおりを挟む
あれ? 今、一瞬何かが……?
そう思ったのもつかの間、悲鳴が上がり、ますますパニック状態です。
目を血走らせ、既に上がっていた人たちを蹴散らして我先に……という事態が続出している雰囲気。
確かに命がかかわってますから焦る気持ちも判らなくもないですが、自分のことしか考えていない様子で突き落とし、ついに落下者まで出てしまいました。
ひ、人が叫びながら煙の中へと消えていったんですよ!
こ、これは恐怖以外、何者でもありません。
さ、殺人ですよ、殺人!! もし落下した人が死んでしまったのならば!
そんな状況も気にすることなく、我先へと押し合いが続いています。
皆さんは確か無実で連れられてきたお仲間のはずですよね?
けれども随分と柄の悪い方々もいらっしゃるようです。
多分、事故ですよね? 冷静でいられなくなった、みたいな。
だったらと私は思わず立ち上って、大きな声を出してしまいました。
「皆さん、落ち着いてください!」
こういう時こそ冷静に、落ち着いた行動を行なわなければいけません。
学校での避難訓練を思い出しました。
リーダーとなる人がいない今、差し出がましいですけど、副部長として立ち上がります!
無実の方々が混乱しているだけと思いますからきっと耳を傾けてくれると思います。
気持ちが急いても落ち着いた行動が大事です。
少しでも多くの人が助かる方法を見出すためなのです!
冷静にしっかりと声を掲げて落ち着くように促します。
ですが誰一人として耳を貸す人は無く、螺旋階段は地獄絵図と化してます。
無実の人が無理矢理……と疑っていたのですがこの様子は。
押し合いへし合い罵り合い。落とされる人たちの声が響き渡ります。
危機迫る時、本性を現すということでしょうか?
ということは神龍の裁判はあながち間違っていないのでしょうか?
やがて黒い煙は充満し始め、周囲すら見えなくなってきました。
もう身勝手な人たちに構ってる状況ではないようです。
自分の身は自分で守る。
ただし、人を陥れてまで助かるような方法はとりたくありません。
不意に煙が目につき、焦げた臭いがします。
そうです、こういう時には!
「アニーさん、できるだけ床に近い状態に這ってください」
確か煙は上へと引き寄せられたはずです。
私はほふく前進するかのように地べたへと伏せます。
ちらりと振り返るとアニーさんも同じように行動してくれてました。
こうすることで少しでも呼吸を維持しなくては。
立っていた時よりは煙の量は少なく、まだ咳き込むまではありません。
「あの、アニーさん、確かめたいことがあるんです。どうなるか判りませんが私と離れず、付いてきてくれますか?」
異国の地で死が迫る状況。
どうせ死ぬのでしたら心を通わせられたアニーさんといたいです。
そして死体と発見されたとしても一人寂しく死んでいない。
異国の地で親しくなれた人と共に死ねたら幸せかと思います。
同じ気持ちだといいのですが、きちんと確認をとっておかないと私の行動のせいでアニーさんの命を奪ってしまう可能性も否定できません。
もちろん死ぬ気なんて満更ないのですが、ここで離れ離れになるのは避けたいところです。
アニーさんは覚悟が決まっていたらしく、大きくうなづいてくれました。
そう思ったのもつかの間、悲鳴が上がり、ますますパニック状態です。
目を血走らせ、既に上がっていた人たちを蹴散らして我先に……という事態が続出している雰囲気。
確かに命がかかわってますから焦る気持ちも判らなくもないですが、自分のことしか考えていない様子で突き落とし、ついに落下者まで出てしまいました。
ひ、人が叫びながら煙の中へと消えていったんですよ!
こ、これは恐怖以外、何者でもありません。
さ、殺人ですよ、殺人!! もし落下した人が死んでしまったのならば!
そんな状況も気にすることなく、我先へと押し合いが続いています。
皆さんは確か無実で連れられてきたお仲間のはずですよね?
けれども随分と柄の悪い方々もいらっしゃるようです。
多分、事故ですよね? 冷静でいられなくなった、みたいな。
だったらと私は思わず立ち上って、大きな声を出してしまいました。
「皆さん、落ち着いてください!」
こういう時こそ冷静に、落ち着いた行動を行なわなければいけません。
学校での避難訓練を思い出しました。
リーダーとなる人がいない今、差し出がましいですけど、副部長として立ち上がります!
無実の方々が混乱しているだけと思いますからきっと耳を傾けてくれると思います。
気持ちが急いても落ち着いた行動が大事です。
少しでも多くの人が助かる方法を見出すためなのです!
冷静にしっかりと声を掲げて落ち着くように促します。
ですが誰一人として耳を貸す人は無く、螺旋階段は地獄絵図と化してます。
無実の人が無理矢理……と疑っていたのですがこの様子は。
押し合いへし合い罵り合い。落とされる人たちの声が響き渡ります。
危機迫る時、本性を現すということでしょうか?
ということは神龍の裁判はあながち間違っていないのでしょうか?
やがて黒い煙は充満し始め、周囲すら見えなくなってきました。
もう身勝手な人たちに構ってる状況ではないようです。
自分の身は自分で守る。
ただし、人を陥れてまで助かるような方法はとりたくありません。
不意に煙が目につき、焦げた臭いがします。
そうです、こういう時には!
「アニーさん、できるだけ床に近い状態に這ってください」
確か煙は上へと引き寄せられたはずです。
私はほふく前進するかのように地べたへと伏せます。
ちらりと振り返るとアニーさんも同じように行動してくれてました。
こうすることで少しでも呼吸を維持しなくては。
立っていた時よりは煙の量は少なく、まだ咳き込むまではありません。
「あの、アニーさん、確かめたいことがあるんです。どうなるか判りませんが私と離れず、付いてきてくれますか?」
異国の地で死が迫る状況。
どうせ死ぬのでしたら心を通わせられたアニーさんといたいです。
そして死体と発見されたとしても一人寂しく死んでいない。
異国の地で親しくなれた人と共に死ねたら幸せかと思います。
同じ気持ちだといいのですが、きちんと確認をとっておかないと私の行動のせいでアニーさんの命を奪ってしまう可能性も否定できません。
もちろん死ぬ気なんて満更ないのですが、ここで離れ離れになるのは避けたいところです。
アニーさんは覚悟が決まっていたらしく、大きくうなづいてくれました。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる