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悪役侍女、真実を知る
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グリフィス領にマーデリンが訪れる! それを耳にしたのは少年たちの会話から。
学園は夏期休暇に入り、保養も兼ねた実質婚姻前の下検分の名目でグリフィス領に来ることになったそうだ。
昨年から拝める機会が無くなり、入学してからは全く関わりが無くなったので心のどこかに不安は残っていた。
ものすごく心配になっていたがここへ移ってからもようやく太陽姫との関わりを耳にすることができて良かった。
王都にいないと接点がないものと思い込んでいたから、そういえば今はまだ婚約者という肩書があったと気づく。
でもブランディンが快くこの領地に訪れることを了承していたのかは疑問だ。
現在進行形での流れの中、ここまでマーデリンとアーデンの接触がないとは思いもしなかった。
お互い立場的にも会う機会が限られてるし、妨害も入ってしまうことが多い。
だからアーデンにとってどん底な状態へ落とされても救い出してくれる太陽姫の存在が輝きを増していくのは当たり前だと納得する。
ブランディンの非道な部分を認識できてるのは二人だけだし、少しずつ立ち向かおうとしている。
そうやってお互いの共通認識を理解して会えない時間が気持ちを育ててるのかもしれない。
小説ではほんのひと時の対面が救いとなり、試練があって乗り越えてこそのハッピーエンドだから。
前世でいうと二人は年齢的にも中学生と高校生。こんな年若で苦労が絶えないカップル。
結末を知っている分、アーデンとマーデリンには少しでも早く幸せになってほしい。
だけど現状では今回対面するような機会があるのだろうか。この領地はアーデンには四面楚歌に近い。
滞在はどのくらいなのか分からないが、現在、お迎え準備に屋敷中が忙しい雰囲気だ。
食事時にはその話題が持ちきりで私は聞き耳を立てているだけだけど。
厩舎でもお迎えの後、少し王宮の馬を休ませるというだけで念入りに掃除が進む。
といっても普段から手入れされているので問題なく、あるとすれば馬場までの道筋。
玄関先から馬場までを少年たちが危なくないようにと一生懸命指先程度の小石すら拾っていた。
私はというとしばらく厩舎内から離れないようにとジェフさんから注意され厳戒態勢中。
きっとマーデリンに見かけられないための配慮だと思う。まだ来訪すらしてないのに。
そもそも王女が馬小屋まで来ることは有り得ない。手入れする少年たちの期待も泡になると思う。
それはともかく、私は厩舎内で世話に明け暮れている。
餌やりと汚物処理のみでも馬たちは私のことを覚えてくれたらしい。
直接触る機会はなく、近づく程度だが警戒することなく大人しくしてくれている。
私の何倍もある大きさの肉体。最初はぎょっとしたが顔つきは優しくてすぐに慣れた。
朝晩必ず1頭ずつ挨拶をしながらの周辺掃除。いつか触らせてもらえればいいかな。
といってもその辺は少年たちが管理しているから厳しいだろうけど。
そんなこんなで太陽姫の滞在の日が近づいてきている。
アーデンには全くそのようなことは知らされていないらしい。
きっとブランディンが関わらないようにしてるのだろう。
私も盗み聞く形でしか情報を得ていないことだし、蚊帳の外に違いない、けど……。
「嫌だ。今まで通りで過ごす」
王女来訪となると警備も厳しくなるからと滞在中はここへ来ないようアーデンに提案した。
只でさえ悪い噂が絶えないのだ。夜な夜な抜け出しているところが見つかると碌なことがない。
ありもしない容疑をかけられて追い出されかねない。ブランディンにとって格好のチャンスとなってしまう。
「アーデンのためです! だったら私がここから出ていきますよ」
「……わかった」
納得のいっていない表情でどうにか頷くアーデン。
どんな形であれアーデンはグリフィス家の一員。いつ招集がかかるか分からない。
できるだけ不安要素を取り除いておかないと怖いし、少しでもマーデリンと接触する機会を得てほしいと思うのも本音かな。
学園は夏期休暇に入り、保養も兼ねた実質婚姻前の下検分の名目でグリフィス領に来ることになったそうだ。
昨年から拝める機会が無くなり、入学してからは全く関わりが無くなったので心のどこかに不安は残っていた。
ものすごく心配になっていたがここへ移ってからもようやく太陽姫との関わりを耳にすることができて良かった。
王都にいないと接点がないものと思い込んでいたから、そういえば今はまだ婚約者という肩書があったと気づく。
でもブランディンが快くこの領地に訪れることを了承していたのかは疑問だ。
現在進行形での流れの中、ここまでマーデリンとアーデンの接触がないとは思いもしなかった。
お互い立場的にも会う機会が限られてるし、妨害も入ってしまうことが多い。
だからアーデンにとってどん底な状態へ落とされても救い出してくれる太陽姫の存在が輝きを増していくのは当たり前だと納得する。
ブランディンの非道な部分を認識できてるのは二人だけだし、少しずつ立ち向かおうとしている。
そうやってお互いの共通認識を理解して会えない時間が気持ちを育ててるのかもしれない。
小説ではほんのひと時の対面が救いとなり、試練があって乗り越えてこそのハッピーエンドだから。
前世でいうと二人は年齢的にも中学生と高校生。こんな年若で苦労が絶えないカップル。
結末を知っている分、アーデンとマーデリンには少しでも早く幸せになってほしい。
だけど現状では今回対面するような機会があるのだろうか。この領地はアーデンには四面楚歌に近い。
滞在はどのくらいなのか分からないが、現在、お迎え準備に屋敷中が忙しい雰囲気だ。
食事時にはその話題が持ちきりで私は聞き耳を立てているだけだけど。
厩舎でもお迎えの後、少し王宮の馬を休ませるというだけで念入りに掃除が進む。
といっても普段から手入れされているので問題なく、あるとすれば馬場までの道筋。
玄関先から馬場までを少年たちが危なくないようにと一生懸命指先程度の小石すら拾っていた。
私はというとしばらく厩舎内から離れないようにとジェフさんから注意され厳戒態勢中。
きっとマーデリンに見かけられないための配慮だと思う。まだ来訪すらしてないのに。
そもそも王女が馬小屋まで来ることは有り得ない。手入れする少年たちの期待も泡になると思う。
それはともかく、私は厩舎内で世話に明け暮れている。
餌やりと汚物処理のみでも馬たちは私のことを覚えてくれたらしい。
直接触る機会はなく、近づく程度だが警戒することなく大人しくしてくれている。
私の何倍もある大きさの肉体。最初はぎょっとしたが顔つきは優しくてすぐに慣れた。
朝晩必ず1頭ずつ挨拶をしながらの周辺掃除。いつか触らせてもらえればいいかな。
といってもその辺は少年たちが管理しているから厳しいだろうけど。
そんなこんなで太陽姫の滞在の日が近づいてきている。
アーデンには全くそのようなことは知らされていないらしい。
きっとブランディンが関わらないようにしてるのだろう。
私も盗み聞く形でしか情報を得ていないことだし、蚊帳の外に違いない、けど……。
「嫌だ。今まで通りで過ごす」
王女来訪となると警備も厳しくなるからと滞在中はここへ来ないようアーデンに提案した。
只でさえ悪い噂が絶えないのだ。夜な夜な抜け出しているところが見つかると碌なことがない。
ありもしない容疑をかけられて追い出されかねない。ブランディンにとって格好のチャンスとなってしまう。
「アーデンのためです! だったら私がここから出ていきますよ」
「……わかった」
納得のいっていない表情でどうにか頷くアーデン。
どんな形であれアーデンはグリフィス家の一員。いつ招集がかかるか分からない。
できるだけ不安要素を取り除いておかないと怖いし、少しでもマーデリンと接触する機会を得てほしいと思うのも本音かな。
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