眠り姫のキセキ

プロローグ

　深い深い意識の奥底。
　真っ暗闇の中。
　聴き憶えのある想いが響き渡る。

　私は一体どこなの？
　私は一体誰なの？
　そして――、
　私を目覚めさせたのは一体何なの？

　永い永い眠りの中、
　ただひたすら待ち続け、
　再び出会えることを祈っていた。

　ぼんやりとした面影が鮮明になり、
　待ち望んでいたことに気づく。
　貴方に会いたかったと。


　すれ違った時の狭間。
　伝えられなかった想いの欠片。
　重なることのできなかった二人。

　はかない思いは泡となり、
　空に溶け、大気となる。
　風に流され、海に落ち、
　そしてまた、生まれる。

　空よりも高く、海よりも深い、
　貴方の想いが聴こえる。
　呼応するのを待ってるかのように。


　貴方と出会えた奇跡。
　貴方と出会える奇跡。
　ずっとずっと待ち望んでいた、奇跡。

　目覚めることで巡り合えた、奇跡―――。