UNLUCKY?

おりのめぐむ

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不穏な短期留学紀行 1 ~出発までのエトセトラ~

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 夏休みに入って一週間の7月下旬。
 実は未だに日本に居たりする。
 てっきりすぐに出航するのかと思いきや、意外に準備に手間取ってたらしい。
 ビザだとかホームステイ先とかいろいろと。
 私としてはさっさと日本から離れて、というより少しでも早く高山から離れたかったのに!
 夏休みが近づくにつれて高山と接する時間が減った。
 まあ、仮にも教師だからいろいろとすることがあるんだろうけどさ。
 帰宅しても書斎に閉じこもってお仕事らしきことをしてたりね。
 夜もそこで眠ってるみたいで安心してベッドを独り占め。
 おかげで熟睡できてる状態でこの上ない。
 けどそのせいかふとした時、何かと触れてくるんだよね。
 それが時と場所を考えずに見境なしに。
 朝っぱらだろうが昼だろうが、学校だろうが外だろうがね。
 しかも接する時間が減ったから寂しがらせないためとかのたまいやがる。
 こっちは誰かに見られやしないかとヒヤヒヤものだっつーの!
 昨今の噂のせいで嫌な気分を味わったりだというのに腹が立つ。
 だからさっさと諸悪の根源とおさらばしたかったのにさ!
 休みに入ってからも学校の時と変わらない生活。
 高山自身も何かと忙しいらしく外出する際、私も一緒に連れ出され、地域の図書館に放り込まれた。
 留学先について調べるのに最適の場所をご提供ってことで。
 資料なら既に入手済みで必要ないのにさ。
 ま、せっかくだし、その施設を利用して夏休みの宿題なんぞを片付ける日々。
 留学だろうと何だろうと40日分の宿題はあるのは当然。
 毎日図書館に通い、一日中過ごして帰宅を繰り返したおかげで全て終了。
 そんな風にしてあっという間に時間が過ぎた今日。
 いよいよ出発の日がやってきた。
 ご親切にもオレンジ色した私のスーツケースをかかえ、高山が空港まで見送る。
 渡航手続きも済ませたチケットを渡され、後は飛行機に乗るだけ。
 これから一人の長い旅が始まる。気を引き締めてがんばろう!!
 ・・・って思ってたのに、何故だっつーの!!
 見送りにしてはいつまでついてくるんだ? とは思い始めてた。
 手荷物検査を受けて出発ロビーのベンチで横に居たりしてさ。
 まあ、初飛行機なものだからそれが普通なのかもしれないとあえて触れずに。
 電車の場合だとホームで見送るのと同じ感覚かと。
 なのにさ、気づいたら一緒に飛行機に乗り込んでいた。
 驚く私に引率に決まってると当たり前のように微笑んで。
 ちょっと待て! 引率だなんて聞いてないから。

「出発までにいろいろと済ませるのは大変だったんだぞ」

 意味不明発言。もしかして出発が遅かったのはこいつのせいとか?
 同行するために合わせてただけなんじゃ?
 結局、滞在先でも四六時中、高山と一緒ってことに・・・。
 もう離陸しちゃったからどうしようもない。
 嫌な予感がたっぷりとした留学の始まり。
 シートベルト着脱のアナウンスが流れると早速肩に手を回してきたからムッとしながら睨むと、

「落ちたりしないから安心しろ。俺の胸で」

 などと耳元で囁きながら引き寄せやがった。
 誰が怖がってるものか!! どっちかっていえば怖いのは高山の方だっ!
 とっさに身を離そうとすると意外にも簡単にほどけた。
 てっきり力を込めてると思ったのにな。
 しばらくすると高山の頭が私の肩に!!
 この~~! ふざけやがって!!
 再び引き離しアクションを起こそうとしたけど止めてしまった。
 だってさ、聞こえてきたコイツの寝息。
 多分、まともに寝てなかったんだろうなって顔色してたから。
 私だってそこまで冷たくないわよ、忙しかったの知ってるし。
 ほんの少しだけでも眠らせてあげるわよ、仕方ないからね。
 でも、今だけ。目が覚めた後は容赦しないから!
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