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不穏な短期留学紀行 2 ~積極的なご挨拶~
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・・・ほんの少し、肌寒いかも。
飛行機から降り、タクシー乗り場に来た時そう感じた。
だけど天気は良くってすごく晴れた空。
日本から約9時間かけて辿り着き、訪れた場所はオーストラリア。
カンガルーやらコアラで有名な南半球の大陸。
7月でこれから夏本番の日本だっていうのにこっちでは季節が正反対となる。
とはいえ、半袖でもどうにか大丈夫な感じ。
春先の暖かい日みたいな気温で薄手の羽織りものがあればどうにかなりそう。
さすが比較的暖かい南の大陸、オーストラリア北部だわ。
同じ大陸でも場所によって気候がかなり違うみたいだけどね・・・。
時差的には日本から1時間しか違わなくて全く違和感が無い。
早速タクシーに乗り込むとホームステイ先へ。
ブリスベン空港から約1時間かけて長い海岸線を連ねるゴールドコーストへ移動。
車窓から広大な自然の景色とともに近代化された街並みも見えてくる。
車はやがて街から離れ、落ち着いた雰囲気の住宅街へと進む。
「ここからは日本語、一切禁止だ」
高山はタクシーから下りると片目を閉じて私に言う。
それもご丁寧に英語でね。
主に語学目的で来てるからそれはそれでいいんだけどさ。
そんなこんなでこれからお世話になるお宅へと到着っぽい。
以前、高山自身がお世話になったことがあるらしく、今回もそこだとか。
芝生を敷き詰めた広い空間の先には立派な建物が見える。
高山は慣れた様子で避暑地にありそうな別荘風の建物へと足を進める。
慌ててその後を追う私はその家の広さに圧倒される。
植樹された木々や植え込みがあり、まるで庭園のよう。
しかもウッドデッキもあり、その先には水面が見える。
・・・もしかしてあれはプールだったりして。
ドアを叩く高山の後ろですごいところに来てしまった気持ちで一杯になる。
「おぉ~、カズ!! 久しぶり!!」
勢いよくドアが開いた途端、甲高い声が響き渡る。当たり前だけど、英語。
出てきた女性が高山めがけて抱きついたかと思うと頬に無数のキス!!
目の前で繰り広げられるご挨拶に凝視してしまう私。
「テイラー! 元気だったか?」
高山も負けじと彼女を一瞬、力強く抱きしめた後、私の方を振り返る。
ようやく拝めることの出来た女性の顔。
赤茶かがった髪に色白の肌。ホリが深くて細長い瞳は透明がかった茶色。
意外に大きな鼻と膨らみを帯びた唇でグラマラスな体型。
露出の高い洋服を身にまとってとってもとっても色っぽい感じのお方。
「アナタがミクなの?」
怖いまでの視線で上から下までじっと凝視され、固まってしまう。
圧倒されて口を噤んでいると魅惑的な唇で微笑んできた。しつこいけど、英語で。
何となく小バカにされてるような雰囲気があるような?
コクンと頷くと彼女は近寄ってきて手を差し出す。
「ワタシはテイラー、よろしくね」
痛いと感じるまで力強く握られたかと思った瞬間、軽いハグ。
ふくよかな身体を押し付けられ、私はドッキリ。
体格差がはっきりわかるっつーの!
「中に入って部屋を案内するわ」
二十歳だというテイラーに肩を抱かれたまま、私は室内へと誘導される。
変な感じだけど靴のままなんだよね。
キッチンとバスルーム、トイレの場所を案内された後、階段を上って2階へ。
「ここがそうよ」
開かれたドアの向こうに巨大なベッドが目に入る。
「・・・二人じゃ狭いかもしれないけど」
テイラーは投げやりに呟く。
はぁ? ・・・ってか、二人? ・・・同じ展開を前にも経験したことがあるじゃんか!
「サンキュー、テイラー。ミクの荷物、片付けたら下に行くから」
高山はスーツケースを運び込むとパタンとドアを閉める。
「ちょっと、どういう・・・」
「ご質問は英語でどうぞ」
興奮して言いかけた日本語を遮るように高山。
くぅ~~~!! こいつ~~!! ふざけやがってぇええ~!
「・・・ま、提供できる部屋がここしかなかったんだろうから仕方が無いよな、未来? それとも無理言って別室にしてもらう? お世話になる家に迷惑をかけてまで? あと今度から日本語使ったら罰ゲームだぞ?」
ニッコリ笑う高山に何も言えない私だった。
飛行機から降り、タクシー乗り場に来た時そう感じた。
だけど天気は良くってすごく晴れた空。
日本から約9時間かけて辿り着き、訪れた場所はオーストラリア。
カンガルーやらコアラで有名な南半球の大陸。
7月でこれから夏本番の日本だっていうのにこっちでは季節が正反対となる。
とはいえ、半袖でもどうにか大丈夫な感じ。
春先の暖かい日みたいな気温で薄手の羽織りものがあればどうにかなりそう。
さすが比較的暖かい南の大陸、オーストラリア北部だわ。
同じ大陸でも場所によって気候がかなり違うみたいだけどね・・・。
時差的には日本から1時間しか違わなくて全く違和感が無い。
早速タクシーに乗り込むとホームステイ先へ。
ブリスベン空港から約1時間かけて長い海岸線を連ねるゴールドコーストへ移動。
車窓から広大な自然の景色とともに近代化された街並みも見えてくる。
車はやがて街から離れ、落ち着いた雰囲気の住宅街へと進む。
「ここからは日本語、一切禁止だ」
高山はタクシーから下りると片目を閉じて私に言う。
それもご丁寧に英語でね。
主に語学目的で来てるからそれはそれでいいんだけどさ。
そんなこんなでこれからお世話になるお宅へと到着っぽい。
以前、高山自身がお世話になったことがあるらしく、今回もそこだとか。
芝生を敷き詰めた広い空間の先には立派な建物が見える。
高山は慣れた様子で避暑地にありそうな別荘風の建物へと足を進める。
慌ててその後を追う私はその家の広さに圧倒される。
植樹された木々や植え込みがあり、まるで庭園のよう。
しかもウッドデッキもあり、その先には水面が見える。
・・・もしかしてあれはプールだったりして。
ドアを叩く高山の後ろですごいところに来てしまった気持ちで一杯になる。
「おぉ~、カズ!! 久しぶり!!」
勢いよくドアが開いた途端、甲高い声が響き渡る。当たり前だけど、英語。
出てきた女性が高山めがけて抱きついたかと思うと頬に無数のキス!!
目の前で繰り広げられるご挨拶に凝視してしまう私。
「テイラー! 元気だったか?」
高山も負けじと彼女を一瞬、力強く抱きしめた後、私の方を振り返る。
ようやく拝めることの出来た女性の顔。
赤茶かがった髪に色白の肌。ホリが深くて細長い瞳は透明がかった茶色。
意外に大きな鼻と膨らみを帯びた唇でグラマラスな体型。
露出の高い洋服を身にまとってとってもとっても色っぽい感じのお方。
「アナタがミクなの?」
怖いまでの視線で上から下までじっと凝視され、固まってしまう。
圧倒されて口を噤んでいると魅惑的な唇で微笑んできた。しつこいけど、英語で。
何となく小バカにされてるような雰囲気があるような?
コクンと頷くと彼女は近寄ってきて手を差し出す。
「ワタシはテイラー、よろしくね」
痛いと感じるまで力強く握られたかと思った瞬間、軽いハグ。
ふくよかな身体を押し付けられ、私はドッキリ。
体格差がはっきりわかるっつーの!
「中に入って部屋を案内するわ」
二十歳だというテイラーに肩を抱かれたまま、私は室内へと誘導される。
変な感じだけど靴のままなんだよね。
キッチンとバスルーム、トイレの場所を案内された後、階段を上って2階へ。
「ここがそうよ」
開かれたドアの向こうに巨大なベッドが目に入る。
「・・・二人じゃ狭いかもしれないけど」
テイラーは投げやりに呟く。
はぁ? ・・・ってか、二人? ・・・同じ展開を前にも経験したことがあるじゃんか!
「サンキュー、テイラー。ミクの荷物、片付けたら下に行くから」
高山はスーツケースを運び込むとパタンとドアを閉める。
「ちょっと、どういう・・・」
「ご質問は英語でどうぞ」
興奮して言いかけた日本語を遮るように高山。
くぅ~~~!! こいつ~~!! ふざけやがってぇええ~!
「・・・ま、提供できる部屋がここしかなかったんだろうから仕方が無いよな、未来? それとも無理言って別室にしてもらう? お世話になる家に迷惑をかけてまで? あと今度から日本語使ったら罰ゲームだぞ?」
ニッコリ笑う高山に何も言えない私だった。
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