婚約破棄され異国の地へ追放された令嬢が闇の力を手に入れて猛烈な復讐を果たします!!

ポラリス

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2.国外追放

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裸足で小石が転がる道を歩くたびに、傷口はひろがって血がにじんだ。
セシールの勝ち誇ったような微笑みが忘れられない。

悲しみと絶望が押し寄せてくる。
セシールの口車に乗せられて、まんまとセシールの罠に嵌ってしまった。
最初からセシールの仕組んだ罠だった。
それなのに私はセシールは心を入れ替えたのだ。
そう思ってしまうだなんて。
お人好しにもほどがある。
愚かな自分にも腹がっ立った。


とにかく傷付いた心と体を休めたい。
重たい体を引きずるように屋敷へと帰った。

メイドのルナに迎えられ屋敷へ足を踏みいれた。
出迎えてくれた両親は私を哀れそうに見つめながら、
辛そうに口を開いた。


「シルク・・・悪いが屋敷を出て行ってくれ・・・」
そう告げると部屋を後にした。


ルナの手には粗末な黒い服が握られていた。

「お嬢様、申し訳ありません・・・。
そちらのドレスを脱いで、こちらの服にお着替えください。」

ルナが申し訳なさそうに粗末な服を渡してくる。

一瞬何が起こっているのか、訳が分からなかった。
驚いた顔でルナを見つめると、ルナが小声で私に教えてくれた。

「先ほど、王家の使者がやって参りました。
王子さまは勿論のこと、セシール様もひどくお怒りのご様子とのこと。
シルク様を国外追放することが決まったとの伝言がありました。」

「ご主人様たちも誤解を解こうとしてくださいました。
この決定に何とかならないかと、掛け合ってくださってはおりましたが・・・
取り付く島もございませんでした。
このまま、シルク様をこの屋敷においておけば、いずれ打ち首にされる
との事で・・・
せめてシルク様のお命だけでも、お救い出来るのならと・・・
お二人も苦渋の決断で、国外追放を受け入れることにされたようです。」

「どうかお二人の苦しい胸の内をご理解ください・・・」

伏し目がちに苦しげに話すルナ。

私の大切な人たちまでも
こんなに苦しめてしまうことになるだなんて・・・
自分の愚かさがゆえに、しでかしてしまったことの大きさに気づいた。

私は言われるがままに粗末な黒い服に着替えた。
顔が目立たぬようにと黒い服についていたフードを目深に被った。

私はもう、この屋敷の人間ではない。
今日、この時から私の大切なものは全て失われ、
居場所も無くなった・・・
何もかも失ってしまったのだ・・・


今日まで人の善意や優しさを信じてきた。
人の心や思いやりを大切に生きてきた。
誠実でありたいと思っていたし、周りの人を大切に生きてきた。
でも、そんなものなんの意味もなかった。
自分を陥れるだけ。
何もかも無駄だったのだ。



ここに居ては殺されるかも知れない。
家族にも迷惑をかけてしまう。

出ていくしかない。
私は渡された地図を手に、深い森を超えて、
隣の王国を目指すことにした。
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