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10.二人の決意
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私はドビーに抱きしめられたまま、眠ってしまった。
そっと目を開けると、トビーの綺麗な寝顔があった。
規則正しい寝息を立てるトビー。
とても愛おしくてずっと見ていられるような気がした。
罠に嵌められ、ズタボロになった私が、
こんなに愛しい人に出会えるだなんて、夢にも思わなかった。
出会ってまだ、ほんの数日だというのに
トビーとの恋は本物のように感じた。
トビーの唇にそっと口づけをする。
すると、トビーがゆっくりと目を開けた。
「目が覚めた?」
と聞いてきた。
「ええ。」
そう答えたとたん、さっきの行為を思い出して恥ずかしくなる。
慌てて前を向いた私を
トビーがもう一度後ろからギュッと抱きしめてきた。
トビーの息遣いを感じる。
トビーは優し口調でこう言った。
「頭のおかしい奴だと思われても仕方ない。
でも俺の真剣な話を聞いてくれ。
君のピンチを何度も助け、弱っちい君を守っているうちに
いつの間にか君を好きになってしまった。
出会ってまだ数日だというのにおかしいよな。
でも、自分でも止められないんだ。
君を見ると触れたいし、抱きしめたい。
君と離れるなんて考えたくないんだ。」
「一緒に旅に出よう。君を離したくないんだ」
「これ以上君を危険な目に合わせたくない。君を俺は一生守りたい」
夢のようなトビーの申し出に舞い上がるような気持ちになった。
けれど私は国外追放された身。
そんな私がトビーを受け入れることなんて出来るのだろうか・・・
「トビーあなたの申し出はすごく嬉しいわ。
けれど、私は国外追放された身。
私を罠に嵌めた奴らの事をとても憎んでいるし、もしブラータの小瓶を手に入れたら
私を陥れた奴らを地獄に突き落とすとそう決めてるの。
怖い女でしょ。
ごめんなさい・・・」
ドビーは私の話を黙って聞いていた。
そして
「今はまだ話せないけれど、僕も君と同じ気持ちさ。
僕もこの森でブラータの小瓶を探さなければならないように
仕向けた奴らを恨んでる。
お互い、ブラータの小瓶を見つけそれぞれの思いを遂げることが出来たら
も一度ゆっくり話し合おう」
トビーは優しくそう言った。
そして、
「そうと決まれば、今からまた旅に出よう!」
そう言ってトビーは立ち上がった。
「ええ。」
「けれど、小瓶はどこにあるのかしら。
この森は広いわ。探すにしても時間がかかりすぎるわ。」
そうつぶやく私に、
「シルク、その地図をもう一度見てくれないか」
トビーに言われて地図を開く。
描かれているのは隣町までの道のりだけ。
何も新しい情報は見当たらない。
「やっぱりそうか!」
私と一緒に地図を見ていたトビーが声を上げた。
「この地図、なんか変だと思ったんだ。
森を抜けるなら、こっちの道の方が早いのに、
なんでか、かなり回り道させるように書いてある。
ここに何かがあるようなんだけど、それが何か分からない・・」
取り合えず、この地図を頼りにこっちの方向へ行ってみよう!
トビーと私はまた旅に出ることにした。
そっと目を開けると、トビーの綺麗な寝顔があった。
規則正しい寝息を立てるトビー。
とても愛おしくてずっと見ていられるような気がした。
罠に嵌められ、ズタボロになった私が、
こんなに愛しい人に出会えるだなんて、夢にも思わなかった。
出会ってまだ、ほんの数日だというのに
トビーとの恋は本物のように感じた。
トビーの唇にそっと口づけをする。
すると、トビーがゆっくりと目を開けた。
「目が覚めた?」
と聞いてきた。
「ええ。」
そう答えたとたん、さっきの行為を思い出して恥ずかしくなる。
慌てて前を向いた私を
トビーがもう一度後ろからギュッと抱きしめてきた。
トビーの息遣いを感じる。
トビーは優し口調でこう言った。
「頭のおかしい奴だと思われても仕方ない。
でも俺の真剣な話を聞いてくれ。
君のピンチを何度も助け、弱っちい君を守っているうちに
いつの間にか君を好きになってしまった。
出会ってまだ数日だというのにおかしいよな。
でも、自分でも止められないんだ。
君を見ると触れたいし、抱きしめたい。
君と離れるなんて考えたくないんだ。」
「一緒に旅に出よう。君を離したくないんだ」
「これ以上君を危険な目に合わせたくない。君を俺は一生守りたい」
夢のようなトビーの申し出に舞い上がるような気持ちになった。
けれど私は国外追放された身。
そんな私がトビーを受け入れることなんて出来るのだろうか・・・
「トビーあなたの申し出はすごく嬉しいわ。
けれど、私は国外追放された身。
私を罠に嵌めた奴らの事をとても憎んでいるし、もしブラータの小瓶を手に入れたら
私を陥れた奴らを地獄に突き落とすとそう決めてるの。
怖い女でしょ。
ごめんなさい・・・」
ドビーは私の話を黙って聞いていた。
そして
「今はまだ話せないけれど、僕も君と同じ気持ちさ。
僕もこの森でブラータの小瓶を探さなければならないように
仕向けた奴らを恨んでる。
お互い、ブラータの小瓶を見つけそれぞれの思いを遂げることが出来たら
も一度ゆっくり話し合おう」
トビーは優しくそう言った。
そして、
「そうと決まれば、今からまた旅に出よう!」
そう言ってトビーは立ち上がった。
「ええ。」
「けれど、小瓶はどこにあるのかしら。
この森は広いわ。探すにしても時間がかかりすぎるわ。」
そうつぶやく私に、
「シルク、その地図をもう一度見てくれないか」
トビーに言われて地図を開く。
描かれているのは隣町までの道のりだけ。
何も新しい情報は見当たらない。
「やっぱりそうか!」
私と一緒に地図を見ていたトビーが声を上げた。
「この地図、なんか変だと思ったんだ。
森を抜けるなら、こっちの道の方が早いのに、
なんでか、かなり回り道させるように書いてある。
ここに何かがあるようなんだけど、それが何か分からない・・」
取り合えず、この地図を頼りにこっちの方向へ行ってみよう!
トビーと私はまた旅に出ることにした。
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