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11.地図に隠されていた秘密
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地図を頼りにトビーと森を歩き続ける。
トビーと一緒ならどんな困難でも乗り越えられるという気持ちになる。
トビーが私に勇気をくれる。
おかげで、いつもよりずっと長い距離を歩くことが出来た。
歩き疲れた私はトビーに言った。
「ここらで少し休みましょう。少し疲れたわ」
シルクの申し出にトビーも素直に従った。
二人で木陰に腰を下ろした。
ふいにトビーの唇が私の口を塞いだ。
「ずっとこうする隙を狙ってた」
トビーがいたずらっ子の顔で笑って言った。
急にキスされて驚いた私は、
手に持っていた水を地図にこぼしてしまった。
「アッ。地図が濡れちゃったわ!」」
トビーにそういいながら地図に目を落とすと・・・・
それまで地図には載っていなかった一本の道が浮かび上がってきた。
えっ・・・
これってもしかして!?
大急ぎで地図をトビーに見せる。
まだ隙あらばキスをしようとしていたトビーだったが、
地図を見たとたん。
「これってもしかして、ブラータの小瓶への道のりなんじゃないか!」
そう言って食い入るように地図をみた。
「君の両親は本当に君を大切に思っているんだな。
地図にこんな細工してるなんて。
よっぽど君を助けたかったんだな」
何のへんてつもないただの地図だと思っていたのに。
まさかこんな仕掛けがあっただなんて。
改めて両親からの愛情に感謝した。
でもきっと、
トビーと出会わなければこのブラータの小瓶も洞窟も見つけることが
出来なかっただろう。
地図が示していた場所は森のはずれにある洞窟だった。
辿り着いた洞窟の周りには植物が生い茂り入り口をふさいでいた。
まるで来客を拒むように・・
トビーと共に恐る恐る洞窟の中に足を踏み入れる。
明かりはトビーの持つたいまつのみ。
小さな物音にもビクついてしまう。
沢山のコウモリが行きかう洞窟は暗くて薄気味が悪い。
トビーの背中にぴったりとくっ付いて足を進める。
「なんだか薄暗くて気味が悪いわ。」
そう言った私にトビーは
「俺から絶対に離れるなよ」
力強い返事をくれる。
洞窟の奥の方へ行くと人の気配がした。
どうやら先客がいたらしい。
「何者だ!!」
トビーが声をかける。
すると声をかけられた先客が振り返る。
暗闇の中、黒い服を着ていたので性別が分からなかったが
どうやらそこに立っていたのはしわがれた声の老婆だった。
「おやおや、怖いね~。
お前さんたち、何をしにこの洞窟にやってきた。」
老婆は落ち着いてそう答えこちらを見た。
「おや?あんた見覚えのある顔だねぇ。」
老婆がこちらを振り返ってそう言った。
誰だろう?
見たことのない老婆だった。
しかし老婆は語り続ける。
「もしかして、あんたシルクじゃないかね?」
見たこともない老婆の口から私の名前が飛び出してくる。
「そろそろ来る頃じゃないかと思って、ここで待っていたんだよ。」
「あんたの親から、あんたに持たせた地図の秘密に、もしも気づいたら
ここにやってくるだろうから、
その時はこのブラータの小瓶を渡して欲しいと頼まれていたんだよ。
それにしてもずいぶん待たされたがね。」
老婆は話続ける。
「あんた、セロビナ王国の王室に住み着いてる奴らに嵌められて
追放されたんだって?
あいつらもあんたの事を知ってか知らずか、城から追い出すだなんて。
さすがドブネズミ達のやりそうな事さ。」
「どういう・・・こと・・?」
「あいつらは人間じゃない。奴らは魔物さ。
魔物は魔力の力を借りて姿を変え、
セロビナ王国の王族の人間に成り代わって住み着いているのさ」
「そんな!!じゃぁ・・・ゾロ王子やセシールは人間じゃなかったの!?」
「おそらく奴らはお前の持つ力に気づいて、お前を追放したのさ」
「どういうこと?私の持つ力?」
「お前の持つ力に何か気づくことがなかったかね?」
そう老婆に尋ねられるも何も心当たりがない。
魔力・・・
「私は婚約発表をする日に王子の妹に嫉妬されて追放されただけ・・・
何も・・・
あっ!そういえば、婚約発表の日に王家の紋章入りの靴を履いてくるように
言われて、その靴を履いていったわ。」
「それじゃ。
おそらくその王家の紋章とやらは嘘で、
お前さんはその靴を履いた瞬間に靴にかけられていた呪いによって
本当は殺されていたはず。
その妹とやらはお前さんに確かに嫉妬していたはずたろうけど、それ以上に
お前さんに奴らの呪いが効かないことを恐れて、
おそらく国外追放することにしたんじゃろう・・・」
まさか、そんな。
私に呪いが効かないってどういうこと?
っていうか、このおばあさんは私の事知ってるみたいだけど、
一体どうなってるの?
トビーと一緒ならどんな困難でも乗り越えられるという気持ちになる。
トビーが私に勇気をくれる。
おかげで、いつもよりずっと長い距離を歩くことが出来た。
歩き疲れた私はトビーに言った。
「ここらで少し休みましょう。少し疲れたわ」
シルクの申し出にトビーも素直に従った。
二人で木陰に腰を下ろした。
ふいにトビーの唇が私の口を塞いだ。
「ずっとこうする隙を狙ってた」
トビーがいたずらっ子の顔で笑って言った。
急にキスされて驚いた私は、
手に持っていた水を地図にこぼしてしまった。
「アッ。地図が濡れちゃったわ!」」
トビーにそういいながら地図に目を落とすと・・・・
それまで地図には載っていなかった一本の道が浮かび上がってきた。
えっ・・・
これってもしかして!?
大急ぎで地図をトビーに見せる。
まだ隙あらばキスをしようとしていたトビーだったが、
地図を見たとたん。
「これってもしかして、ブラータの小瓶への道のりなんじゃないか!」
そう言って食い入るように地図をみた。
「君の両親は本当に君を大切に思っているんだな。
地図にこんな細工してるなんて。
よっぽど君を助けたかったんだな」
何のへんてつもないただの地図だと思っていたのに。
まさかこんな仕掛けがあっただなんて。
改めて両親からの愛情に感謝した。
でもきっと、
トビーと出会わなければこのブラータの小瓶も洞窟も見つけることが
出来なかっただろう。
地図が示していた場所は森のはずれにある洞窟だった。
辿り着いた洞窟の周りには植物が生い茂り入り口をふさいでいた。
まるで来客を拒むように・・
トビーと共に恐る恐る洞窟の中に足を踏み入れる。
明かりはトビーの持つたいまつのみ。
小さな物音にもビクついてしまう。
沢山のコウモリが行きかう洞窟は暗くて薄気味が悪い。
トビーの背中にぴったりとくっ付いて足を進める。
「なんだか薄暗くて気味が悪いわ。」
そう言った私にトビーは
「俺から絶対に離れるなよ」
力強い返事をくれる。
洞窟の奥の方へ行くと人の気配がした。
どうやら先客がいたらしい。
「何者だ!!」
トビーが声をかける。
すると声をかけられた先客が振り返る。
暗闇の中、黒い服を着ていたので性別が分からなかったが
どうやらそこに立っていたのはしわがれた声の老婆だった。
「おやおや、怖いね~。
お前さんたち、何をしにこの洞窟にやってきた。」
老婆は落ち着いてそう答えこちらを見た。
「おや?あんた見覚えのある顔だねぇ。」
老婆がこちらを振り返ってそう言った。
誰だろう?
見たことのない老婆だった。
しかし老婆は語り続ける。
「もしかして、あんたシルクじゃないかね?」
見たこともない老婆の口から私の名前が飛び出してくる。
「そろそろ来る頃じゃないかと思って、ここで待っていたんだよ。」
「あんたの親から、あんたに持たせた地図の秘密に、もしも気づいたら
ここにやってくるだろうから、
その時はこのブラータの小瓶を渡して欲しいと頼まれていたんだよ。
それにしてもずいぶん待たされたがね。」
老婆は話続ける。
「あんた、セロビナ王国の王室に住み着いてる奴らに嵌められて
追放されたんだって?
あいつらもあんたの事を知ってか知らずか、城から追い出すだなんて。
さすがドブネズミ達のやりそうな事さ。」
「どういう・・・こと・・?」
「あいつらは人間じゃない。奴らは魔物さ。
魔物は魔力の力を借りて姿を変え、
セロビナ王国の王族の人間に成り代わって住み着いているのさ」
「そんな!!じゃぁ・・・ゾロ王子やセシールは人間じゃなかったの!?」
「おそらく奴らはお前の持つ力に気づいて、お前を追放したのさ」
「どういうこと?私の持つ力?」
「お前の持つ力に何か気づくことがなかったかね?」
そう老婆に尋ねられるも何も心当たりがない。
魔力・・・
「私は婚約発表をする日に王子の妹に嫉妬されて追放されただけ・・・
何も・・・
あっ!そういえば、婚約発表の日に王家の紋章入りの靴を履いてくるように
言われて、その靴を履いていったわ。」
「それじゃ。
おそらくその王家の紋章とやらは嘘で、
お前さんはその靴を履いた瞬間に靴にかけられていた呪いによって
本当は殺されていたはず。
その妹とやらはお前さんに確かに嫉妬していたはずたろうけど、それ以上に
お前さんに奴らの呪いが効かないことを恐れて、
おそらく国外追放することにしたんじゃろう・・・」
まさか、そんな。
私に呪いが効かないってどういうこと?
っていうか、このおばあさんは私の事知ってるみたいだけど、
一体どうなってるの?
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