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12.ついに見つけたブラータの小瓶

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「シルク、あんたは自分の事をよく分かってないようだね。
あんたは魔物の呪いを跳ね返すすごい力を授かっているんじゃよ。」

「その首にかけてある水晶の事は覚えているかい?」

老婆はそう言ってシルクの首にかかっている水晶を指差した。

これは両親が私が幼いときに
大聖堂の神父様から授けられたもとして贈られたものだった。

私は両親から贈られたその日から肌身離さず、ずっと身に着けていた。

「これは幼いころに両親から授けられました。
肌身離さず、ずっと身に着けるようにと言われ、
ずっと身に着けているんです。」

「そうじゃな。お前の両親はお前の持つ力にいち早く気づいた。
そこで大聖堂の神父様のところに相談に行った。
私はその時、神父様にお仕えしていたんだ。
今までに聞いたことのない相談事でよく覚えておるわ」

「この水晶はずっと私を守ってくれていたんだ・・・」
シルクは首からかかる水晶を指でそっと撫でた。

「さて、楽しいおしゃべりはこのくらいにして、そろそろ本題に入ろうかね」

老婆はそう言うと更に洞窟の奥へと進んで言った。

トビーと私も慌てて老婆の後に続く。

こんな暗がりなのにスタスタと歩く老婆に驚きを覚えつつ
老婆を見失わないようにトビーと奥へと進む。

老婆の足がピタッと止まった。
祭壇のようなものが祭ってあり、そこだけ明かりが灯っていた。

祭壇の真ん中には紫色の液体の入った綺麗な小瓶が飾ってあった。
不思議な液体で中の液体自体が発光しているように見える。

あれがラブータの小瓶なんだろうと直感的に感じた。

老婆がその紫の小瓶を指差して、こちらを向いた。

「さて、これがお前たちが探し求めていたもの。
ラブータの小瓶だ。
この小瓶の中にはすごい魔力が閉じ込められている。
だがしかし、この小瓶は普通の人間には触ることすら出来ない。
お前たち以外にもこの小瓶を探し求め、この小瓶を見つけたものが
居たが、この小瓶に触れることすらできず死んでいった。」

「普通の人間がこの小瓶に触れてしまうと、この小瓶に詰められている
強烈な魔力に負けて殺されてしまう」

「だが、魔物の呪いすらも跳ね返す力のあるお前さんなら
この小瓶を手に入れることも出来るだろう。」

「そして、お前」

老婆は私の隣に立っていたトビーを指差してこう言った。

「お前さんもあの魔物の呪いにかけられているのだな。」

トビーは老婆を見てゆっくりとうなずいた。

「僕も呪いがかかっています。けれど詳しくお話しすることは出来ません」
トビーは悲しげな眼をこちらに向ける。

「なるほど。だがおそらくお前たち二人は出会うべくして、出会ったのだろう」
「そしてこれから先の未来もきっと・・・」

「これから先もどんなことがあろうと決して二人離れるでないぞ」

老婆はそう言ってラブータの小瓶を手に取るように促した。
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